
「空手バカ一代」
1977年 日本 91分
■監督:
山口和彦
■出演:
千葉真一
室田日出男
本郷功次郎
石橋雅史
夏樹陽子
内田朝雄
ミスター珍
エディ・サリバン
スネーク奄美
米村勉
鶴見五郎
リップ・タイラー
●あらすじ
時代は昭和30年代、猛牛を一撃で殺し、熊にまで挑戦した大山倍達の凄まじい破壊力を恐れた日本の空手界は、
彼を“ケンカ空手”“売名家”と決めつけ、破門した。
そんな大山に目をつけたプロモーターが大山に、沖縄にわたってプロレスの試合を行うよう勧める。
借金に苦しめられていた大山はやむなく承諾、同行者に、これまた金に困っていた講道館の鬼・藤田修造六段がいた。
プロモーターは二人をグレート・山下と名乗るプロレスラーに紹介した。
山下は沖縄のGI相手に“悪役”の異名を持つショーマンだった。
巨漢レスラー相手に善戦した二人だったが、反則がとびだすや、藤田が血を吹いて倒れた。
怒った大山は相手の一人の目を突いた。
大山の活躍とはうらはらに、興行者や外人観客は怒り、試合はめちゃめちゃになった。
山下らは金儲けのために対日感情を利用した八百長試合を組んでいたのだった。
契約違反に問われた二人は興行を続けるハメに陥り、その都度、横暴な外人プロレスラー相手に怒りをぶちまけ続け、
その結果、沖縄の興行を牛耳っている暗黒組織のボスから命を狙われるようになる…。
(日本映画製作者連盟より)
★感想など
前2作から時間が経ったせいか、随分と赴きが違う作風になっていた。
と言うよりほとんど別物と言ってもいいくらいで、内容を一言で言うと
香港映画版「沖縄やくざ戦争」って感じでした!
まず前2作に出ていた多岐川裕美も大山倍達も出ていないため
千葉真一の大山倍達感がかなり薄い。と言うか大山倍達である必要がなくなっている。
ストーリーの方は一言で言うと大山倍達が沖縄に渡り、相変わらず譲ることの出来ない性格から
現地のやくざと揉めることとなり、自身が関わった人たちが次々と死んでいくという、死神のようなキャラにされている。
そんな脚本を香港映画のような映像で彩っているのだ!
冒頭に空手道場に乗り込んでいき百人組み手を行うシーンは、
まるでブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」のようだし
ラストにやくざの親分の邸宅に乗り込むのだが、この邸宅が同じくリーの「死亡の塔」みたいな雰囲気のあげく
なんとクライマックスでは
「燃えよドラゴン」の鏡の間を再現しているのだ!
ご丁寧に音楽まで本家に似せているこのシーンは、完全にブルース・リーへのオマージュ。
大山倍達の話と思うとスカされるが、香港功夫映画や東映カラテ映画が好きな人には満点な出来ではないだろうか!
ただ劇中で大山倍達が「正義をともなわない力は暴力なり。力をともなわない正義は無力なり」の台詞を言うが
それって「少林寺拳法」の宗道臣の名言だぞ!
まあ千葉真一は本作の前年に「少林寺拳法」で宗道臣役を演じてるけどね。