私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

東野圭吾のパラドックス13

2010年02月23日 13時07分34秒 | ファンタジー


まったくの予備知識なしに図書館でかりたこの本、大変満足な出来であった。

前もってあらすじを知らなかったので素直に話に入ることができた、あらすじを知っていたらきっと敬遠していたであろう。
ジャンルをいえばSFなのだろうと思う。SFなのだけれど、おもいっきり人間臭い。人間の本能や自然の摂理を唱える一方で、危機状態において、私たちは文明や人としての叡智を保つことができるのかという問いにもなっている。スピード感もまんてんで、私は一晩で読み終わった。

あらすじを言えば3/13の13時13分13秒にPー13という現象がおき、すべてのものが(宇宙全体が)13秒時空的に跳躍してしまう。10人を残して。その10人はなぜかこの世界に取り残されてしまい、どうにかして生き残ろうと逃げ惑う。全ての人間が消えてしまったこの世界は、地震、洪水、台風などにおそわれ、東京の地盤は沈下、どこにも動けない状態になってしまう。そんな危機に直面する中で、どうやって人間性をたもちながら生き残れるのかというのが問題となってくる。ビルや家屋などは暴風雨や洪水のためアスファルトにのみ込まれ、もちろん電気、水道、などの供給もない。高齢者や赤ちゃんをかかえたこの10人は、こんな状況でどうするのか? っとまあ、海外ドラマのLOSTのような感じに似てるかなとも思う。

ひとつ難点をいうなら、リーダー格の久我がなぜだか、すごく生に固執し、アダムとイブとなり人間社会をふたたび10人でつくるという壮大なゴールをかかべて、みなを激励するのだが、これはちょっとひいた。Pー13現象の前の彼らのことが全然書かれていないため、この久我の妙なポジチィブ思考に違和感をおぼえる。

当分、文庫になることは無さそうなので、図書館でみかけたらどうぞ。

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