「しゃべりにけぇから、こっからは地で話させてもらうよ。たださ、タメグチだからって俺はあんたの事を中学生だからってなめてるワケじゃないんだ」
死神はいきなりタメグチだ。
「分かるかな、これは親愛の表現なんだよ。あんたとフレンドリーでありつつも、なおかつコインランドリーにドリームとお話したいってことなんだ。分かるかな? 分っかんネェだろうなぁ」
私は答えた。
「解りますよ。松鶴家千とせでしょ」
死神は上半身をかるくゆすって言う。
「ちげぇーよ。心意気の問題だ。ってか松鶴家千とせが出るとは、近ごろのガキはマイナーでマニアックだねぇ」
あ。私の事をガキッって呼んだ。差別発言だ。好きで若いんじゃないやい。
死神は変な機械を出現させて言う。
「これは、憎悪を探知する電波探知機だ。俺ら死神業界じゃ『憎たん』って呼んでるんだが、まぁ、『ドラゴン・ボール』のドラゴン・レーダーみたいな物だと思ってもらいたい。って、アレ最近の中学生は『ドラゴン・ボール』って知ってんのかな?」
私は答える。
「知ってますよ。再放送で観たことがあります!」
死神が機械を振り回しながら言う。
「そうか、なら話は早い。この機械はドラゴン・ボールではなくて憎悪のありかを探知する機械だ。この機械に付属しているこのカウンターをこうやって人に向けると、その人の憎悪エネルギー量、よーするに暗黒さ加減が数値にピピピって表示されるって寸法だ」
死神は、探知機の電源を入れてパイロットランプが緑に変わるのを確認してから、機械を私に手渡した。
「ためしに、カウンターを俺に向けてみ」
私は、右手で機械を支えながらコードの先についてる傘をひっくり返したみたいな部分を左手で死神に向ける。
ピピピ。
数字が液晶にデジタル表示される。「+035・009」。
「ようするに、死神である俺の暗黒さ加減は35程度って事だ。ちなみに普通の人間の平均値は12から13。散歩に連れて行ってもらえないストレスたまった犬で、5から6ぐらいかな。ちなみにってかんじでカウンターを自分に向けてみな」
面白そう。つい、何気ないかんじでカウンターを私に向けた。
ピピピピピピッ!!!!!!
みるみる数値が上がって行く。+999・999を表示しても機械はピピピと計測を続け、やがてエラーの表示が点滅する。
「計測不可能ってことさ。あんたの憎悪は死神の俺をはるかに超えている。あえて言うな君の天職は人殺しだ!」
そんな天職はイヤ!!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます