死神は目を閉じた。
次に目を開けなおした時には、目からまた感情が消えうせていた。
放心し、なにも見ていないかのような穴ぼこみたいな目。
死神は頭を下げて、その目を私の足元を向けた。
表情はあいかわらずまったくなく、頭をやや下げ顔は動かさずに眼球だけをキョロキョロ動かし何かを探している。何を探しているのだろうか、この闇の中に落ちている物など何もない。この空間には私と死神しか存在しないのに。
あっ。
口にこそ出さなかったものの、私は気がついた。
死神は「言葉」を探している。
私をだまくらかして利用する為の「言葉」を。
沈黙は数秒だった。
死神は再びパクリと口を開いた。
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