墨汁日記

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平成マシンガンズを読んで 81

2006-10-17 19:26:34 | 

「復讐なんてイヤです。趣味じゃありません」

 私はキッパリと言う。

 死神はグズグズと、なおも丸め込もうとウダウダ言う。

「復讐は気持ちいいよ。それに復讐するなら今だ。若いうちに復讐しとかないと年とってからきっと後悔するよ。あー、あの時に復讐しとけば良かったって」

「私には復讐なんかする理由がありません」

「理由なんか後付けでいいんだよ。まずは行動あるのみ。何事もネガティブに常に後ろ向きで鬱々としつつも即座に行動。言うなれば後ろ向きで全速前進! 
 いや、違うな。
 人間には裏表がある。
 そして、目ん玉とおへそのついてる方が前である。
 人間は前にしか歩けない。
 よって、ソレがどっちであろうと、進む方が前だ。
 そう、人間は常に前向きにしか生きられない。
 だからこそ、前向きにポジティブに笑顔で『復讐』しようよ」

「じゃあ、私は後ろ向きに歩きながらネガティブに『復讐』から撤退させていただきます!」

「おいこら。そんなこと言うなら、俺はカニ歩きでちょっきんちょっきんと『復讐』へ追い込むぞ!」

「どうやってですか?」

「まずは、柿の種をまこう。ようするに色だ。大人の魅力でみたらす。
 ってのは。
 うーん。
 やっぱり、俺には、無理なので、他の手を考えよう」

 ふーん。

「でも。死神さんってカッコいいですよね。理性的で論理的で頭もいいし、憧れちゃいます!」

「えっ。ぇ」

「正直言って、すっごい好感が持てます。でも、復讐を語るときの死神さんはちょっぴり悲しいかなぁ。復讐とさえ言わなきゃ、死神さんて誰よりも素敵なのに」

「そっ、そぅかなぁー」

「そうですよ。もっと自分に自信を持って。私は死ぬまで死神さんのファンですから!」

 驚いた事に。
 死神の目が潤んでいた。

 オイオイと思っているうちに、ブワッと死神の目から涙があふれ出て来た。

「すまん。嘘と分かっていても、マジ泣けてきた。すまん」

 死神はズルルッと鼻をすする。

 罪悪感。

「最後通達だ。そういうわけで復讐しなさい!」

「イヤです!」

 キッパリ。

「じゃぁ、仕方ないか」


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