「復讐なんてイヤです。趣味じゃありません」
私はキッパリと言う。
死神はグズグズと、なおも丸め込もうとウダウダ言う。
「復讐は気持ちいいよ。それに復讐するなら今だ。若いうちに復讐しとかないと年とってからきっと後悔するよ。あー、あの時に復讐しとけば良かったって」
「私には復讐なんかする理由がありません」
「理由なんか後付けでいいんだよ。まずは行動あるのみ。何事もネガティブに常に後ろ向きで鬱々としつつも即座に行動。言うなれば後ろ向きで全速前進!
いや、違うな。
人間には裏表がある。
そして、目ん玉とおへそのついてる方が前である。
人間は前にしか歩けない。
よって、ソレがどっちであろうと、進む方が前だ。
そう、人間は常に前向きにしか生きられない。
だからこそ、前向きにポジティブに笑顔で『復讐』しようよ」
「じゃあ、私は後ろ向きに歩きながらネガティブに『復讐』から撤退させていただきます!」
「おいこら。そんなこと言うなら、俺はカニ歩きでちょっきんちょっきんと『復讐』へ追い込むぞ!」
「どうやってですか?」
「まずは、柿の種をまこう。ようするに色だ。大人の魅力でみたらす。
ってのは。
うーん。
やっぱり、俺には、無理なので、他の手を考えよう」
ふーん。
「でも。死神さんってカッコいいですよね。理性的で論理的で頭もいいし、憧れちゃいます!」
「えっ。ぇ」
「正直言って、すっごい好感が持てます。でも、復讐を語るときの死神さんはちょっぴり悲しいかなぁ。復讐とさえ言わなきゃ、死神さんて誰よりも素敵なのに」
「そっ、そぅかなぁー」
「そうですよ。もっと自分に自信を持って。私は死ぬまで死神さんのファンですから!」
驚いた事に。
死神の目が潤んでいた。
オイオイと思っているうちに、ブワッと死神の目から涙があふれ出て来た。
「すまん。嘘と分かっていても、マジ泣けてきた。すまん」
死神はズルルッと鼻をすする。
罪悪感。
「最後通達だ。そういうわけで復讐しなさい!」
「イヤです!」
キッパリ。
「じゃぁ、仕方ないか」
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