「ごめんな。そこまでイヤだと言う事を無理強いするワケにもいかんもんな。俺は帰るよ。すまなかった。じゃぁ、後は良い夢でも見てくれ。もう2度とあらわれないから」
死神は闇の切れ目に空き缶やらゴミやら投げ込んで帰り支度をはじめた。
本気でもう帰る気らしい。
よかった。
死神が言う。
「嘘をついてまであんたを『復讐』に巻き込む気はない。力や嘘で他人を思いどおりにしようとする人間は最悪だ!」
その時、死神は不自然な行動をとった。
右足で左足の靴ひもを踏みつけ、靴ひもを自らほどいた。
「じゃぁ、帰るね。さよなら」
と、言ったとたんに死神はわざとらしく気がついた。
「うおぉぉ。靴ひもがほどけている!」
「結び直したら、転んだら大変」
「ありがとう。そうさせてもらう」
死神は自分で踏んづけてほどいた靴ひもを不器用に結び直す。
驚くほど不器用で不手際な手。かた結びになりかけている。
「すまないが、このマシンガンを持っていてはもらえないだろうか。こいつを抱えてると上手く結べない」
「うん」
私はなにげなくマシンガンを受け取った。
そして、死神はハロゥインのカボチャみたいに笑った。
「やっと受け取ったな、復讐のマシンガンを!」
あぁー。
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