絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

テレビドラマに見るアメ車あれこれ特設美術館Part3

2014年01月31日 | プラモデル
アメリカ軍によるボックスアート奪還大作戦
       ※このストーリーはフィクションです


カリフォルニア州サンディエゴ海軍基地




「俺たちはどこへ行くんだ?」


「心配することはねえぞ
 地獄の一丁目に決まってんだろ」














つづく

テレビドラマに見る
アメ車
あれこれ


特設美術館


オールズモビルのつづき…
それでもロケットは飛ぶ!


第二次世界大戦後の1950年代、アメリカは未曾有の
繁栄を謳歌していた。
国際的には米ソの対立・冷戦があり、朝鮮半島では
血みどろの戦いが展開されていたが、これらの広告を
見るかぎり「不安な時代」であったことをミジンも感じさせない。
生活水準が高く、知的で都会的なクルマのある暮らし、すなわち
世界に冠たるアメリカンライフを楽しみましょう…
そういった夢とその夢が実現できる世界が語られるだけなのだ。

1955年型

GM


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1954年型

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1953年型

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CORALOX


GM
有翼機に乗った男女が描かれているが、それ以前の広告だと
V-2らしきロケットに乗った男女となっている。

オールズモビルお得意のロケットに乗った
男女が登場する1953年のテレビ広告から。

YouTube


YouTube
YouTubeのクレジットには1953年のテレビ広告とあるのだが、
登場するクルマは1950年型のような気がする。
http://www.youtube.com/watch?v=DmabQ3MvXQQ

1952年型

GM



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GM


GM


GM


GM


GM
ロケットがやたらと登場するのが、1950年代オールズモビルの
広告の特徴だ。
広告の文面から判断すると、最新ロケット工学の技術がクルマに
反映されているというわけではなさそうで、ロケットエンジンのようなパワフルな
V-8エンジンが搭載されています…だから胸のすくような加速感が
味わえますよ…的なイメージ戦略を全面に出したものらしい。

ところで、今回はこのロケットにこだわってみたい…


Wikipedia
GMのロケット・イラストの広告は、アメリカが世界で初めて
サルを宇宙に送り込んだときの写真(上)を参考にしたものと思われる。
アメリカは1949年6月14日、V-2の先端の
カプセルにアルバート2世と呼ばれるアカゲザルを
乗せて、世界で初めて宇宙に送り出した。
大気圏を突破して宇宙にたどり着いたものの、
その後サルが乗ったカプセルは地球に帰還する際
パラシュートが開かず、地上に激突してしまった。
カプセル回収には失敗したものの、動物を生きた状態で宇宙へ
送り届けたことは人類の宇宙進出に大きな足がかりを
作った。

なお、画像手前のピラミッド風建物は分厚いコンクリートで
造られており、内部はロケット打ち上げ用の管制室となっている。


NASA
ロケットお猿のアルバート2世。
この金属の骨組みごと円筒形の気密カプセルに
入れてフタをすればスタンバイOKとなる。

ちなみに、アルバート1世はアルバート2世の前に
打ち上げられたサルだが、窮屈なカプセルに起因した呼吸困難のため
死亡。アルバート3世は打ち上げ後ロケットが爆発し死亡。
アルバート4世はカプセルのパラシュート不開傘事故で死亡している。

アメリカに渡ったV-2のプラモ


ロケット先端内部に搭載されたカプセルのパラシュート回収
システム実験用プログラム「ブロッサム計画」に使われたV-2。
この計画は1946年からスタートした。
サルを乗せたカプセル回収システムの確立という目的があった。




1947年から1950年にかけて実施された
アメリカの高高度気象観測計画(バンパー計画)に
使われたロケットで、V-2本体の先端にアメリカで開発した
WACコーポラル小型ロケット(地対地ミサイル・コーポラルとは
別物)を装備した2段式タイプのもので,バンパーロケットと呼ばれた。


White Sands Missile Range
上のボックアートを描くのに参考にしたと
思われる画像。


Wikipedia


空飛ぶ巨大十字架みたいなスタイルがオモシロい。
ラムジェットエンジンテスト用のもので、1947年に
打ち上げられた。V-2発射後、先端の巨大十字架部分(?)が
ラムジェットによって高速飛行する。


US.Army
上のボックアートを描くのに参考にしたと
思われる画像。


Youtube
1946年のアメリカ・ニュース映画より、
V-2の発射映像。このロケットには
カメラが搭載されており、地上や宇宙の
様子が撮影されている。
飛行の後半はロケットの安定性が失われ、
スピンしているので撮影映像が回転した
状態でメチャ目が回る。
https://www.youtube.com/watch?v=i8wWQWfcyeI


Youtube
バンパーロケット打ち上げ映像。
https://www.youtube.com/watch?v=xlEPxKrqklg

ソ連に渡ったV-2のプラモ




戦後ソ連が開発したV-2改良型各種。

ドイツ軍御用達のV-2プラモ






上のボックアートはこの画像をそのまま描いたと思われる。
画像左端に放置されたドラム缶があるが、これも省略されずに
ちゃんとボックスアート化されているのがうれしい。
この画像は、かつてサンケイ新聞社出版局が出していた
第二次世界大戦ブックス「V1号V2号・恐怖のドイツ秘密兵器」に
掲載されていた。





KORAモデル脱線・資料編
こんなものまで!


広島に投下された原爆「リトルボーイ」の
プラモ。


こちらは長崎に投下された
「ファットマン」のプラモ。
1/72スケールなので完成しても
小柄のものだが、このような核爆弾が
単独でリリースされるのは珍しい。
通常ならB-29のプラモにオマケで
付属するくらいのものだろう。

その他V-2プラモ


発売以来50年近く経過しているのにもかかわらず、
その輝きは少しもあせていない。
ミサイル内部の構造をリアルに再現したところなど、
さすがはレベル。




1/35スケールとなると、かなりデカい。
ミサイル本体と発射台だけだが、欲をいえば
運搬用トレーラーもほしいところだ。
価格を抑えるため、泣く泣く省略したのか?


ミサイルや運搬用トレーラーばかりでなく、
牽引車両、指揮車、レーダーなどがセットと
なっており、そのにぎやかさに涙してしまう。
ミサイル本体と簡単な発射台だけというプラモも
多いが、支援車両と一緒にすることで楽しさが
倍増する。ミサイルプラモのひとつのあり方を
示したものといえる。






GM



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1951年型

GM


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華やかな広告のなかで、チョッと異色なものがコレ。
オレンジ色の空が不安をかき立てる。
核戦争を予感させるといったら考えすぎか。

参考資料
核戦争を予感させるボックスアート



GM


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1950年型

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Wikipedia
1940年代末頃のオールズモビル販売店のイラスト。
非常に現代的な建物で、古さを感じない。


Wikipedia
こちらも1940年代後半から1950年代にかけての
オールズモビルとジャガーの販売店イラスト。
上と同様メチャ現代的なデザインだ。

1949年型

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GM


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1949年の広告からロケットのイラストが登場するようになる。
1949年6月14日、V-2によって世界で初めてサルを宇宙に
送り込んだアメリカでは、このニュースにマスコミが飛びついた
であろうことは容易に想像がつく。
サルが宇宙に行けたということは、遅かれ早かれ人間も宇宙へ行くことができる
ということだから、このことは確かにニュース性はバツグンだと思う。
これら報道にオールズモビルの関係者は何かを「感じた」のではないだろうか。

宣伝に使える!

それ以来、オールズモビルの広告にはロケットが乱舞するようになる。


GM
1949年型はオールズモビルにとって、画期的なものとなっている。
GMの中級車モデルであったオールズモビルに、初めてハイパワー
V-8レシプロエンジンを搭載したのだ。
これによってロケットのような強力な加速感を体感できるように
なった…らしい(私は運転したことがないので、わからんが)。


GM


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オールズモビルの広告には「ロケット」と「ハイドラマチック」の文字が
必ずといってよいほど登場する。
「ロケット」とは高馬力を発生させるV-8レシプロエンジンのことで、
「ハイドラマチック」とはオールズモビルに装備された全自動変速機のことだ。
とくにこの「ハイドラマチック」は現代のATの元祖といわれているもので、
クラッチや変速レバーの操作から運転者を解放するものとして、
画期的な存在だった。
オールズモビル1940年型からオプション装備されるようになったが、1950年代には
大いに普及し、パワーステアリングの実用化と相まって巨大な車体にもかかわらず
運転しやすいというのがアメ車の特徴となった。

参考資料 1940年型
おそろしくレトロなスタイルのクルマだが、広告を見ると
変速のためのシフトレバーやクラッチの操作がいらないと
誇らしげに謳っている。いまの日本では乗用車のAT化など当然のことと
されているが、アメリカではオプション装備とはいえ実用的な
ATがすでに開発されていたことに驚く。
1940年型の発売が1939年、日本では昭和14年であり
太平洋戦争突入の2年前のことになる。

ちなみに1939年の出来事を列挙してみると
 4月 スペイン内戦フランコ将軍側の勝利
 5月 満蒙国境付近で日ソ両軍激突 ノモンハン事件
 9月 ドイツのポーランド侵攻 第二次世界大戦勃発
11月 ソ連のフィンランド侵攻 冬戦争
12月 ドイツのポケット戦艦「グラーフ・シュぺー」交戦ののち自沈

これだけ見ても戦争のオンパレードだ。


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オマケ
YouTubeで見つけた1950年代のニューヨーク
観光案内映画。航空会社のTWAが制作したもので、
カリフォルニアに住む女子大学生サリーが友人とヒコーキに乗って
ニューヨークを訪れ、各地の観光スポットを見て回るというもの。
当時、TWAではスーパー・コンステレーションの導入により
アメリカ大陸無着陸横断飛行が可能となっており、
アメリカ東部と西部を結ぶ空の架け橋として搭乗客の増加を
狙ったキャンペーン促進映画を制作しセールスを展開した。
映画の冒頭、サリーのニューヨーク旅行は「遠隔地で心配」だとして
いい顔をしない母親を説得するシーンが登場する。
サリーはいった。
「おかあさん!(西)海岸から(東)海岸までたった8時間で行けるのよ!」

ちなみに長距離バスで有名なグレイハウンドバスを使った場合、
バス乗りっぱなしでも最短3日はかかるらしい。
アメリカは途方もなく広大である。


YouTube


YouTube
サリーの愛車(?)
彼女は免許取り立てらしく、ブレーキングが荒っぽい。
映画用の演出だとしたらメチャ芸が細かい。


YouTube
古き良き時代のアメ車が顔を出す。
フロント部分には動物的表情があり見ていて楽しい。


YouTube
機体の流麗なデザインは、今見ても非常に新鮮だ。


YouTube
スーパー・コンステレーションにはTWAの塗装が一番似合うし、
背景には摩天楼が樹立するマンハッタンが一番似合う(…と思う)。


スーパー・コンステレーション搭乗記念にどうぞ!


YouTube
映画のなかで自社のネオン広告を使って
チャッカリ宣伝しているのがオモシロい。
当時のTWA主力旅客機スーパー・コンステレーションの文字が見える。


YouTube
観光スポットを巡るサリー(右)と友人の2人。
左の人物が着るセーラー服風ドレスは、
現在ではコスプレ関係者くらいしか着用
しないのではないだろうか。
http://www.youtube.com/watch?v=Mo1IX2ILbfY

もうひとつは…


YouTube


YouTube


YouTube

1957年にニューヨークで開催された自動車ショーの様子。
http://www.youtube.com/watch?v=WCfva8EeWX0

次回の更新は、平成26年3月31日夜の予定。


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