絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

オーロラ・ボックスアートギャラリーPartⅡ 不思議な異次元空間、オーロラ・ワールドへ、ようこそ!

2009年11月30日 | プラモデル


聞け

選ばれし勇敢なる兵士たちよ
全ドイツ国民、いや全人類の貴重な財産であるボックスアートを、
ルーヴル美術館まで安全に運ぶのが任務だ


諸君の活躍に、全世界が注目している


任務を達成すれば、2週間の特別休暇が与えられる

失敗すれば、ただちに東部戦線送りだ
厳寒のロシアで、のたれ死にが待っているぞ

すべては、お前たちの活躍にかかっているのだ

かかれ!

パリは兵士たちにとって、憧れだ

美しきマドモアゼルと、シャンゼリゼ通りでデートを楽しむ…なんて
考えただけでも、ワクワクする

野郎ばかりの殺風景な軍隊生活で、
国費でパリ旅行なんて、こんな時しかありゃしない

特別仕立ての装甲列車で、出発だ


パリで会おうぜ

                  ……続く

不思議な異次元空間
オーロラ・ワールドへ、ようこそ!







レッドバロン戦死を伝える新聞記事を使っているのが
印象的。
オーロラの広告は、かなり凝った作りのものが多い。
優秀なアドマンがいたんだろうね。
アメリカ大手プラモメーカー(当時)の中で、一番輝いた
広告を打っていたのが、このオーロラなんですよ。


マルサンがコピーしていましたね。
エンジン内蔵というのが、リアルで良かったです。
地面のパーツと整備員のオマケも、ジオラマ風で面白かった。
可動プラモ全盛の当時の日本で、スケールモデルとはこうだ、
という方向性を示しているところに、アメリカを感じたものです。


この手に汗握る迫力あるボックスアートは、御大ジョン・スチール先生の作品。
背後から攻撃を受け、まさに危機的状況。
でも、ベテランパイロットなら何とか敵を振り切るだろうし、チャンスがあれば
逆に一撃を喰らわすこともできるだろう。


ナント、空対空ミサイルを装備している!
まさにハイテク装備である。
ケツから火を吐く秘密兵器にドイツ機パイロットは、さぞやタマゲタに違いない。
ただ、無誘導なので当然のことながら、激しく逃げ回る敵機には当たらない。
ウスノロの飛行船専用だろう。
















SE-5も、マルサンのコピー品でおなじみ。
私もマルサンのを買いましたよ。
同じヒコーキでありながら、先のアルバトロスと比較すると、国によってこんなに
デザインが違うのかと、子供心にも思いました。ホント
























WWⅠモノのボックスアートでは、ドッグファイトをイメージしたボックスアートが
非常に多い。手に汗握る‥‥みたいな感じで、1966年公開の
映画『ブルー・マックス』的雰囲気。
特に、ドイツ機のカラフルな塗装は、見ていて楽しい。

























次回、12月15日夜更新予定。


オーロラ・ボックスアートギャラリーPartⅠ 不思議な異次元空間、オーロラ・ワールドへ、ようこそ!

2009年11月15日 | プラモデル




今日は、ドイツ国民にとって特別な日になるであろう。
総統から重要なメッセージが発せられるのだ。


ドイツ国民へ告ぐ

余は決定した……


パリのルーヴル美術館において、人類史上最初で最大の
全ヨーロッパ・ボックスアート展を
開催する

われわれの知性が、いかに深淵で、かつ高貴なものか
世界のクソどもに知らしめるのだ!

ドイツ万歳!


ジーク・ハイル!

      ジーク・ハイル!

            ジーク・ハイル!


失敗は許されんぞ

カイテル、君が直接指揮をとりたまえ
必要があれば、フランス駐留の国防軍全部隊を
動員してもかまわん

特別列車にボックスアートを積み、ベルリンから
パリへ輸送するのだ
妨害には、断固対処せよ
情けは無用だ
敵への慈悲は、手榴弾となって返ってくるぞ

                     ……次回へ続く


いま、よみがえるオーロラ・ワールド
不思議な異次元空間へ、ようこそ



なつかしいオーロラプラモの数々。


オーロラカタログ・ドイツ語バージョン
左下にギロチンのボックスアートが見えます。
表紙の部分に、こうした処刑道具が堂々と
掲載されているところに、オーロラの特異性が
うかがえる。


オーロラのボックスアートの特徴のひとつに、空の描き方がある。
このH21はその典型なのだが、地上近くの空は明るく、天空は
やたらと暗黒、そんな不思議な情景がよく見られる。
夜明け、または夕暮れをイメージしているのかな、と思うけれども
全体的に暗い雰囲気は、オーロラ独特。
こうした特徴をもったボックスアートを、オーロラ絵画と勝手に呼んでいる。
これからご紹介するボックスアートも、何となく暗いものが多い。
イラストレーターの個性なのでしょうか。


頭でっかちのヘンテコな面白さが妙に印象的。
1/48スケールで出してくれないかな、タミヤさん。
ヤッパ、ムリか。






超マイナーな初等ジェット練習機。珍品といえるかも。






テレビドラマ『爆撃命令』便乗商品(?)




この全体的に暗いムードは、いかにもオーロラ的。
チョッと不気味で神秘的な世界は、一種独特。
典型的なオーロラ絵画。


















スペースシャトル…といっても、NASAでおなじみのヤツじゃなくて
こちらは映画「2001年宇宙の旅」に登場したもの。
このシャトル、いま見ても妙に現実的なスタイルで違和感がないのがスゴイ!
時代を超越したデザインとは、このことか。


被弾したメッサーから、パイロットが脱出しようとする瞬間を描いた逸品。
このスピード感と緊迫感が、素晴らしい。
でも、主役をこんなボコボコにしていいの?


ゲッ、この塗装は一体何じゃ!
フライングサーカスじゃあるまいし…
練習機の塗装を見て、勝手にデッチ上げたのだろうか。
それとも、黄色人種に対する当てこすりなのか。

でも、絵の雰囲気は最高!
上のメッサー同様、スピード感と緊迫感がいい。

驚きの憎しみボックスアート


主役が…
主役が燃えている。
パイロットの断末魔の叫びが聞こえそうだ。

こんなボックスアートが存在するなんて…
日本人の感覚では、とても考えられない。

「ドイツ憎し」モロ出しだ。
売り上げを度外視したところが、チョーすごい!


今度は、「ソ連憎し」のボックスアート。
被弾し、ナント主翼がちぎれている。
左側に米軍機の姿が見えるが、これでは
どちらが主役か、わからなくなってしまう。

本来、お客さんに商品を買ってもらうため、
各メーカーはいろいろ知恵をしぼるものだが、
こんなボックスアートで、はたして売り上げはどうだったのだろう。
他人事ながら気になってしまう。

ちなみに、本当のYak25は下の写真ように双発機。
これはオーロラのデッチ上げではなく、当時「鉄のカーテン」から
流れ出てきた乏しい情報に、様々な情報がこんがらがった結果のもの。
当時、リンドバーグも同じ機体をモデル化して発売していましたっけ。
ただ、リ社は当初からミグ19として表示しており、
オーロラも、その後のパッケージにはミグ19という表示に改めていました。
……それでも、間違いは間違いなのだが。

参考資料①

Wikipedia Yak25より  ホンモノの画像です。

参考資料②

うーむ、どう見てもミグ19ではないのだが、当時西側の軍事筋もそう思っていた
のだから、オーロラばかりを責められない。
でも、ミグ19の正体が判明したあとも、かなり長い期間販売されており
オーロラの神経のズ太さには脱帽してしまう。
一方のリンドバーグが、早々に引っ込めたのと対照的だ。

参考資料③

リンドバーグのミグは、スピード感ある
ダイナミックな構図で素晴らしい!
架空の機体でありながら、こうも堂々と
やられてしまうと、存在を信じてしまう。


こちらは、「日本憎し」のボックスアート。
これもスゴイ!
砲塔上の戦死者まで描いてある。こんな絵は、初めて!
しかも、あのジョン・スチール先生という大御所の作品なのだから
驚いてしまう。
一連の「○○憎し」のボックスアートを見ていると、採算を度外視した
オーロラ経営陣の強烈な愛国心が、ビンビン伝わってきてしまう。
感動しちゃいます。

次回の更新は11月30日夜の予定。