絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

ジュピターC編「ボックスアートを楽しむ2:広がるレベルの世界」

2006年10月30日 | プラモデル



喝!!
居眠りは許るさん!



プラモデル野次馬考古学

「ボックスアートを楽しむ2:広がるレベルの世界」





側面のボックスアートを見ていきます。
左から、KC-135、ルーン(アメリカ製V1)装備原子力潜水艦ノーチラス、155ミリカノン砲、有人月ロケットXSL-01、それにレベルの塗料、接着剤の広告が続きます。
KC-135のボックスアートは、B52に空中給油を行うシーンを描いていますが、この時代は空中給油がまだ珍しかったこともあり、この絵は購入者にかなり強いインパクトを与えたのではないかと思います(もしかしたら、ついでにB52も買ってくれるかもしれないしね)。それに、ボーイング707と同じじゃないかとお客さんにいわせないためにも、空中給油の絵が必要だったのでしょう(商売がうまいなア)。

ノーチラスのキットはルーンを装備していますが、最初はルーン未装備で発売されていました。これも、見た目の問題でやはりルーンがあった方が、お客さんは喜んだでしょう。いくら「原子力」という看板をつけてはいても、潜水艦のイメージはなんとなく地味ですから、飛び道具をもたせることによって地味さを払拭しようとしたのでしょうね。
ところで、ジュピターCが発売された1958年は、ノーチラスにとって記念すべき年でした。同年8月3日、北極海を潜行したまま北極点を無事通過したのです。そのまま、進めば先はソ連。沿岸近くまで、アメリカの原子力潜水艦がやってくるということを知って、ソ連は大いにあわてたことでしょう。

155ミリカノン砲は、その大重量をカバーするため、ムカデ(チョッとオーバーか)のような足回りが特徴で、それを高速トラクターで強引に引っ張る豪快さがたまらないのですが、この絵には高速トラクターが描かれていなくて、残念(遠くに、申し訳程度に描かれています)。主役は大砲だから、やむを得ないのでしょう。でも、米陸軍の優秀な大砲は、雪の上でもスイスイ走行できるんだ、ということがしっかり描かれているのは、Good。

有人月ロケットは、アポロが実際に月に到達する10年以上も前に考えられていたもので、当時の技術ではこうなります、といういい見本です。
月着陸船などを内蔵したカプセルは、かなりの大重量物だったはずで、当時これを宇宙空間に打ち上げるための強力パワーのロケットがアメリカにはなく、やむなく三つのロケットを束ねるソ連流の作りにしています。ボストークのアメリカ版といったところでしょうか。このキットは、科学的リサーチに基づいて作られており、けっして模型会社のでっち上げではないところがいいですね。
10年後に人類が月に到達したことを考えると、科学の進歩は早かった、ということなのでしょう。



                                                                                                                 
左からS-55、ポンティアック・クラブ・デ・メール、P2V、外輪船ロバート・E・リー。

S-55は、グンゼ/レベル時代に陸上自衛隊仕様でリリースされていたので、私のようなオジサンには、なつかしいキットです。その他、グンゼ/レベルでフロート装備の救難ヘリ(米空軍仕様)もありましたっけ。
ホイストに遭難者の人形がぶら下がるようになっていて、面白かったですね。

ポンティアック・クラブ・デ・メールは、リンカーン・フューチュラを取り上げた際、ご紹介しましたが、テレビアニメ「スーパージェッター」の流星号みたいなノリで、いいですね。

P2Vのボックスアートを見てください。
背景が日の出(あるいは日没か)のイメージで描かれていますが、これはRichard Kishady氏(文献紹介の際、ご紹介しましたウォルト・ディズニー風のオジさまです)の絵の特徴で、こうした日の出・日没の背景が個人的に好きだったみたいで、彼の作品を見ると、共通する背景がけっこう多いです。

外輪船ロバート・E・リーは、19世紀中ごろの有名なショーボートで、南北戦争当時の南軍司令官にちなんで命名されました(この司令官の名は、M3中戦車でもお馴染みです)。ミシシッピー河流域の都市ニューオーリンズとセントルイス間を運行しており、その豪華な設備は、浮かぶホテルとして話題の的だったそうです。
ライバル船会社の船とのスピードレース(ニューオーリンズ・セントルイス間)で優勝したことにより、その名を全米にとどろかせたことでも知られています。
ところで、このキットは当初モーターライズで発売されていました。おそらく、外輪を回転させることで、水上走行ができるようになっていたのでしょう。
のちに、ディスプレイモデルとして再リリースされました。


下は、クーポン券の台紙とクーポン券、それにデカールです。
ドイツレベル創業50周年記念キットに入っているクーポン券を集めると、帽子やTシャツがもらえるそうです。
でも、かなり買い集めないと、なかなかもらえそうにありません。
ジュピターCには、クーポン券が2枚入っていました。
‥‥ということは、いくつ買わなくてはいけないのでしょうか。





オマケ

下はグレンコ社のジュピターC(1/48)です。

元々は、ホーク社が発売していたもので、ここの金型を引き継いだもの。
ボックスアートは、Jack Lyeenwood氏の作。
レベルのボックスアートとは、また一味ちがった迫力ある絵で、Good!



中身は、人工衛星、ロケット本体、発射台で、レベルのようにガントリータワーは付属していません。
1/48スケールなので、完成するとけっこう大きいです。
発射台の構造をみると、基本的にはドイツのⅤ2のものと同じで、Ⅴ2の影響がいかに大きかったかがモロにわかります。
大きなパーツが多いので、一見大味な雰囲気ですが、実物が円柱に羽根をつけたような単純な形なので、手抜きをしたわけではないのです(メーカーに対する弁護?)。





続く


チクショーッ! 

みんな逃げやがった。

大隊長は、司令部から呼び出しがあったといって姿を消した。

中隊長は、大隊に報告するといって姿を消した。

小隊長は、中隊に応援を要請するといって姿を消した。

分隊長は、偵察に行くといって姿を消した。

伍長は、弾を運んでくるといって姿を消した。

上等兵は、衛生兵を呼んでくるといって姿を消した。

一等兵は、母親が危篤だといって姿を消した。

そして‥‥オレは、ブログの取材があるといって姿を消した‥‥。

次回は、ジュピターCの組立図をやりまっせ!ヨロシク!






次回のチラリズム

ドヒャー、すごい迫力。プラモデルを作る醍醐味、満載!





                               プラモデル野次馬考古学


ジュピターC編「ボックスアートを楽しむ:輝くJohn Steelの世界」

2006年10月23日 | プラモデル



野次馬考古学主任教授のオイゲンじゃ!
呼ぶときは、敬称を忘れるでないゾ 喝!

今回の発掘品は『Kit No1819 ジュピターC 1958年製』です。


ドイツレベル創業50周年記念の限定バージョンを、早速入手しましたので、これを見ていきたいと思います。
過去に、ヒストリーメーカーシリーズで再版されたことがありますが、それから10年近い年月を経ての再登場です。
今回は、初版発売当時のボックスアート(ヒストリーメーカーシリーズは、キットの完成写真でした)でリリースされているので、野次馬考古学担当にとって、涙、なみだのキットとなりました。だって、1950年代後半の香りが、プンプンしてくるんですから!

テーマ 「ボックスアートを楽しむ:輝くJohn Steelの世界」


キーワードは「幻想的」、「」、「月の光」、「スパイ」。

このボックスアートは、なんて「幻想的」なんでしょうか。
夜を効果的に描いた、John Steel氏の力量が光ります。

エクスプローラー1号を搭載したジュピターCは、夜間打ち上げられたので、イメージ的には当時と同じ状況を、再現しているのだと思います。
ただ、そこにはこの絵を劇的に盛り上げる、ある要素が加味されていました。
それは‥‥「山」と「月の光」です。
夜の山肌を照らす月の光、それによって浮かび上がる山。
このふたつの相乗効果が、見る者を幻想的な世界に引き込みます。
同氏は、背景の山と月の光に照らされた山肌を丁寧に描くことによって、このジュピターCをより効果的に描き出すことに成功しています。
背景が山の場合、平地の場合、同じ「夜」、「月の光」で条件設定してみると、山があった方が、平地の場合より見る側に強い印象を残すと思いますが、いかがでしょうか。
また、ボックスアートには山に囲まれた秘密基地っぽいイメージもそれとなく描かれており、この幻想的な雰囲気をかもしだすのに、十分効果をあげています。

それから、このボックスアートは、画面構成上原画の一部をカットしています。
ノーカットでそのままボックスアートにしたら、多少印象が違ってきたでしょう(原画は組立図に掲載されています)。

原画





原画には、ボックスアートにも一部見えていますが、左側にロケット運搬用のトレーラーが位置し、トレーラー自体はロケット据付のため、引き起こされた状態のなっています。
発射準備が、順調にすすめられて間もなく発射されるのでしょう。

でも、ちょっと待ってください。
スパイが覗いていますよ。気をつけて!

わかりにくいかもしれませんが、原画の左下端に岩らしきものが少し見えます。
これに注目してください。
どういう状況なのかというと、あなたが月明かりの荒野を歩いているとします。
すると、岩陰から作業灯のあかりが見えてきました。周囲は何となく騒がしい。

何だろう?

岩陰から、こっそり覗いてみると‥‥
そこは、ジュピターCの発射現場だったのです。
そうです。スパイは、あなただったのです。
原画には、ビックリするようなどんでん返しが盛り込まれていたのです。


なお、下はヒストリーメーカーズで再版されたときのパッケージで、キットの完成写真になっています。



ガントリータワーは、なんとなくレトロな雰囲気。現在の複雑な構造の整備塔に比較すれば、いたってシンプル。時代を感じさせます。



続く


「次回は、ジュピターCの側面ボックスアートを取り上げます。

よろしく!」




次回のチラリズム

側面ボックスアートは、こんな感じ。



原子力潜水艦ノーチラスがあるではないですか!
日本のプラモデル史上、ノーチラスは切っても切れない関係です。


レベル学 参考文献紹介パート2

2006年10月16日 | プラモデル

レベル学 参考文献紹介パート2


下記写真下の部分に、John Steel氏の写真が出ています。
頭はスキンヘッドで、腕にはイレズミらしきものがチラホラ、ガッチリした体格も手伝って、チョッと怖そう。彼がイラストレーターだなんて、とても想像できません。軍服を着せたら、モロに鬼軍曹ですよ、ホント。
でも、その体格からオーラのようにほとばしり出るパワーが筆に入魂されると、驚くほどダイナミックで迫力ある絵が生まれるのです。
私は、同氏の大ファンです。
ボックスアートに、こだわりをもつようになったのも、同氏の作品に多大なる影響を受けたからでした。

右上のスカイレーダーのボックスアートは、最高!(でも、主役はスカイレーダーよりデッキクルーの方みたい)
グンゼレベル版でも、リリースされてましたっけネ。





下写真左上から、オートラマ・ギフトセット(レベルの商標右隣にAMTの商標が見えます)、リンカーン・フューチュラ、これもドリームカーのポンティアック・クラブ・デ・メール、タンクローリーの販売促進用ディスプレー(ガソリンスタンドをイメージさせる作り物は、よくできていますね)。

右下の子ネコのキットは、どんな出来なのでしょう?
また、帽子をかぶったネコは童話の主人公?(アメリカでは、メジャーな物語なのでしょうか、チョッとわからん)





下写真上部左から、中距離弾道ミサイル・ソア、昔のスペースシャトル(デザインは古いけれど、基本構想は現代のシャトルと同じなのは、スゴイ)、空母フォレスタルの販売促進用ディスプレー(ゴールデンゲートブリッジをイメージした背景は、傑作!フォレスタルは、当時世界最大の空母でアメリカの国威の象徴だったので、レベルもすぐに飛びついた‥‥ということでしょう)。
その下は、コロンブスのフネで有名なサンタ・マリア号。
歴史的絵画をイメージさせる描き方は、秀逸。
新大陸に向けて出港するサンタ・マリア号を見送る資金提供者のスペイン女王一行も、しっかり描かれていますネ。
左ページ中段には、マルサンというか日本初のプラモデルを世に出すのに大きく貢献した(?)原子力潜水艦ノーチラス。このキットは、ルーンや収納コンテナを装備していないもので、最初に発売されたバージョン(‥だと思う)。





下は、この文献の裏表紙。
アメリカのプラモデル小僧が写っています。
国や時代が違っても、プラモデル好きの子どもたちは同じですね。

一番下のヒゲのオジサンは、この文献を書いた人です。



                                                               


オマケ

日本プラモデル創生期に関する参考文献

入手しやすいものを、セレクトしてみました。

ともに文春文庫で、左から‥‥

田宮 俊作 著  「田宮模型の仕事」

井田 博   著   「日本プラモデル興亡史」

くらじたかし 著  「マルサンーブルマァクの仕事」


「田宮模型の仕事」は、ご存知世界に冠たるタミヤ模型社長の自叙伝。

「日本プラモデル興亡史」は、モデルアート社社主が書いた日本プラモデル史。

「マルサンーブルマァクの仕事」は、マルサンーブルマァクの興亡の歴史。
(ブルマァクは、マルサンの関係者が設立した会社だったんですね)

そのうち、文献紹介で詳しく取り上げたいと思います。


続く


テメェーッ!!

いい加減、ミサイルものをやれってんだ!

ブッ飛ばしてやる!

エッ!?、ジュピターCをやるの?




ホナ、サイナラ‥‥」




※この兵士は、トミーガンを持っているのに、マガジンパウチはM1ライフル用。
 トミーガンの弾を撃ち尽くしたら、どうするのでしょう。

①すぐに降伏する

②マガジンパウチの中は、トミーガン用の弾が入っているので、弾を一発一発装填      
  する

③プラモデルなので、こんな質問はナンセンス

 ① ② ③のどれでしょうか(どうでもいい質問でした)



次回の主役は‥‥




「50周年」の文字が輝く、ドイツレベルのジュピターC
このボックスアートが、すばらしい! 
                     
次回は、ジュピターCを取り上げます。

 


レベル学 参考文献紹介

2006年10月06日 | プラモデル

レベル学 参考文献紹介


今回は、「プラモデル野次馬考古学」講座の基本テキストを、ご紹介いたします。

Thomas Graham 著

『REMEMBERRING  REVELL  MODEL  KITS』

Schiffer Publishing      2002刊  

※英文のみで、邦訳はありません(残念!)。


レベル社のキットを取り上げた文献は多数ありますが、レベル社創業から現在までの社史を詳細に記述したものは、なかなかありません。
比較的入手しやすいものとなりますと、上記のものがベストでしょう。

内容は、創業から現在までの社史が中心ですが、当時発売していたキットのボックスアートがカラーで多数紹介されており、見ていて非常に楽しいものです。
1950年代後半に発売されたキットのボックスアートを多く手がけた、レベル社アートディレクターであったRichard Kishady氏の作品や、そのリアルで迫力ある画風で多くのファンを魅了したJohn Steel氏やJack Leynnwood氏の作品などが収録されていて、ボックスアート集的性格も持ち合わせています。


いろいろなエピソードも紹介されていますが、なかでも印象的なのはあまりに精密なキットを開発したばかりに、とんだトラブルに巻き込まれた話です。
皆さんは、内部構造まで細かく作り込んだポラリス潜水艦「ジョージ・ワシントン」のキットを、ご存じかと思われますが、これが1961年アメリカ議会で取り上げられ、当時の最新兵器の内部がこんな形で公開されるのは、利敵行為(当然、相手はソ連)につながる、ケシカラン、などとやり玉にあげられ、マスコミ各社がレベル社に殺到してテンヤワンヤの騒ぎになった、という事件がありました。
たかがプラモデル、されどプラモデル、‥‥でプラモデルひとつで政治問題化(本件の場合は、政治問題になりそうだった、というのが正確なところですが)することもあるのですね。

 文献の内容を、いくつかご紹介します。
1950年代後半当時の社史やキットが、掲載されている箇所を見ていきます。





上記写真の下の部分に、ウォルト・ディズニー風のオジさまの写真がありますが、レベル社アートディレクター、Richard Kishady氏です。
1950年代後半から1960年代初めまでのボックスアートの大半は、彼の作品です。繊細さを秘めた画風は、この写真を見てナットク。
右ページ上右部分のB52のボックスアートは、彼の処女作で1954年(!)のリリースです。
次回ご紹介しますが、この文献にはJohn SteeL氏の写真も掲載されています。
とてもイラストレーターには見えません。頭はスキンヘッドだし、腕にはイレズミがチラホラ‥‥。
でも、大胆で迫力ある画風は、彼の写真を見て、これまたナットク。

右下のDC7の絵は、マルサンがリリースしたDC7の初期ボックスアートとウリふたつです。
違いは、ヒコーキの向きでレベルが右向きで、マルサンは左向きになっています。
















上記写真右上の105mm榴弾砲のイラストは、今回ドイツレベル創業50周年記念でリリースされたキットのボックスアート原画。商標やロゴを除いた原画を見ると、一風違った印象を受けます。
右下の写真は、スナークの販売促進用ディスプレー。飛行するスナークをイメージさせた背景は、見ていて楽しい。
現代の販売促進用ディスプレーとの違いを見ていくのも、野次馬考古学的楽しみ方のひとつです。
それから、上にシャーマンのボックスアートがありますが、あの絵は三和のシャーマンのボックスアートと、これまたウリふたつです。
DC7のボックスアートもそうですが、レベルをはじめとする外国(とくにアメリカ)キットは、日本のボックスアートに多大な影響を与えたのは間違いないですネ。








上記写真左上は、ナイキ・ハーキュリーズの原画。
飛来する敵機を迎撃する対空ミサイル部隊を、臨場感たっぷりに再現。
ソ連との全面戦争を、当時のアメリカ人はこんなふうにイメージしていたのでしょうね。そういえば、レンオールのナイキ・アジャックスもこんな感じのボックスアートでした。

左下端は、X17のボックスアート原画。
背景の夕焼けが、なんとなく核戦争をイメージさせます。
このキットは、再版されていないようなので、いま残っていれば超貴重品です。
X17のとなりは、レギュラスⅡ。
これも、背景が赤く描いてあり、これも核戦争的イメージです。当時のミサイルもののボックスアートは、わりと核戦争をイメージさせるものが多く、ミサイル=核戦争という構図ができていたのですね。

写真中央のアトラス販売促進用ディスプレイは、ICBMタイプ。のちに、マーキュリー/アトラスに変更されてからは、ICBMタイプは販売されていません(多分)。


どうですか、このすばらしいボックスアートの数々。
当時のプラモデル小僧は、こうしたボックスアートを見ては、完成後のキットに思いをはせるのでした。 
                                                 完

「次回も続きます。

オレ、戦うフリして、ラクしてます。

オレって、天才?」 





自由研究脱線編:リンカーン・フューチュラの巻3

2006年10月02日 | プラモデル

『リンカーン・フューチュラ』のつづき  組立図&パーツ編




組立は、いたってカンタン。
足回りの処理も、ずいぶんとアッサリですね。
いまなら、ブレーキ関係やサスペンション、車体下部、エンジン関係などしっかり再現するのでしょうが、フューチュラの方はかなりおおらか。
足回りも、金属棒の両側に車輪を差し込んで、車体に噛ませる方法は、かつての日本でも、よくとられた方法です。
これらを見ても、オモチャ的要素をもったプラモデルから、本格的ディスプレイモデルへの、過渡期的作品という印象が強いです。

ヘッドライトは2灯式で、この当時の標準的装備。これが翌年から4灯式が標準になってしまうとは、流行とはわからないものです。
また、ヘッドライト周辺のエッジは、これも当時の流行でした。

風防は、ジェット戦闘機タイプで3分割方式。
クルマへの乗り降りは、風防の中央部を上部に跳ね上げ(これもジェット戦闘機と同じ!)、さらにドアを開けて行います。チョッと、面倒ですね。それとも、ドアと風防は開閉が連動しているのでしょうか。
この手の風防ですと、360度周囲が見渡せてよさそうですが、夏場などは運転席内部が温室のようになり、かなり強力なエアコンがないと暑くて暑くて死にそう、てなことになりそうです。第二次大戦中のアフリカ戦線に派遣されたMe109などは、風防の天井部分に日よけを装備していたものがありましたが、これと同じような日よけが必要になりそうです。
また、曲面ガラスのため視界に歪みができて、見にくいのではないか、という気がしますが、どうなんでしょうね。
でも、一度は乗ってみたいクルマです。まさに、永遠のドリームカーです。ホント。






そろそろ、ダーリンの当惑の原因をお話します。

虫メガネを、ご用意ください。できるだけ、拡大率の大きいものがいいです。
それを使って、女性の人形の胸をよく見てください。
乳首が、うっすらと見えます。
これは、ホントです。
レベル開発スタッフの、ちょっとしたイタズラでした。

それから、これら2体の人形は、とても不思議な関係です。
ボックスアートに描かれた男女は、とてもハッピーそう。
男性は、運転中なので前を向いていますが、一方の女性は男性の方を向いて、ほほえんでいます。
でも、実際キットを組み立てて、運転席(左側)に男性、助手席(右側)に女性を座らせると、女性はなんと!ソッポを向いているではありませんか。
ケンカでもしたのでしょうか。それとも、離婚寸前なのでしょうか。
あまり、ハッピーそうには見えません。
それはそれは、不思議な関係です。






こうやって、ふたりをよく見ると女性は怒っているようにも見えますし、男性はなんだか悲しそう。

「ダーリン。
わたしたちは、もうオワリね。」

「‥‥‥‥」



永遠のドリームカー、リンカーン・フューチュラ。
その中で語られる別れ話。
なんと、皮肉な光景なんでしょう!
                                               完









「よォッ!

お前サン、この次は、レベルの文献紹介をするんだって?

タレ込屋のサミーがいうには、もうネタがつきたって話じゃねエか。

同情するねェ。」  



オマケ

レベルの、もうひとつのドリームカー・キットを、ご紹介します。

『GM、ポンティアック・クラブ・デ・メール』


1956年の自動車ショー・モトラマでデビューした、ゼネラル・モータースのドリームカーで、フューチュラをかなり意識したデザインです。
ただ、二番煎じといわれるのを防ぐため、車体後部に垂直尾翼(!)をつけるなど、独自性を出そうとして、苦労した様子が見えます。
見た感じは、とても速そう。キビキビした走りが期待できそうです。





中身は、このとおり‥‥

オッ!、女性はちゃんと彼氏の方を向いています。
こちらのふたりは、うまくいっているみたいですネ。





このキットも、そのうち取り上げたいと思います(またまた脱線か)。