絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

テレビドラマに見るアメ車あれこれ特設美術館

2013年09月27日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦




「目的地は南米アルゼンチン
 港に逃げ込んだら協力者を頼れ」




「祖国もこれで見納めだな」


このまま敵に発見されなければ
輸送作戦は成功だった
しかし奴らは鉄壁の監視網を敷いていた

これを突破できたUボートは
あまりに少なかった





BAKON!

お母ちゃん!


 機関室に浸水!
 排水ポンプ回せ!」



「クソッたれめ! 急いで浮上しろ
 上空には敵機がいるぞ
 ただちに対空戦闘用意!」











つづく

テレビドラマに見る
アメ車
あれこれ


特設美術館




いまの日本で「外車」といえば、ベンツやBMWといった
ドイツ車をイメージする人がほとんどだろう。
実際街中を走っている「外車」はドイツ車ばかりだが、
昭和30年代生まれの私にとって「外車」は
アメ車…というイメージが鮮明に残っている。

そもそもアメ車に対する強烈な印象というのは、
当時日本のテレビで放送していたアメリカの
ドラマに起因している。
劇中に登場してくる巨大なオープンカーなど
日本では見ることのできないものばかりで、
圧倒されっぱなしだった。

しかも、ジェット戦闘機の垂直尾翼をイメージさせる
ピンと張ったテールフィンは、強烈なイメージをさらに
増幅させた。
その大胆なデザインは、大柄な車体によく似合っていた。



『日の入大通り77番地』の
出動車といえば
フォード
だった!

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テレビドラマ『サンセット77』オープニングの
出動シーンより。
クルマはフォード・サンダーバード・コンバーチブル1958年型。
クルマの上方にレストランの「Dino's Lodge」駐車場の文字が見える。
ただし、この建物はスタジオのセット。


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サンダーバード・コンバーチブル1958年型。
右側のクルマは、レストラン駐車場係クーキーのホットロッド。
これもスタジオでの撮影。


wikipedia
画像はサンダーバード1959年型だが、
細部のデザインが異なるのみで、基本的には
1958年型と同じスタイル。


















古き良き時代のモノグラムのキット。
ハードトップ、バブルトップ、コンバーチブルなど
4種類のカスタマイジングが可能。














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フォード・サンライナー1960年型。
図体のデカいアメちゃんが3人並んでラクに乗れる
のだから、アメ車の巨大さがよくわかる。


wikipedia
サンライナー1960年型。
徐々に小さくなっているとはいえ、50年代後期アメ車の
特徴であるテールフィンが見られるのがうれしい。

amtが発売していたコンバーチブル・キット。
中央がサンライナー。




Ford


Ford

クーキーの通勤クルマ(?)もフォードだった

YouTube


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クーキーの愛車はT型フォードをホットロッド化したもので、
当然のことながらエンジン、足回りなどオリジナルとは
別物となっている。

スキンヘッドになったクーキー(もちろんカツラでみんなを驚かす
ための悪ふざけだが)が愛車のホットロッドで登場するシーン。
ドイツ語バージョン。
http://www.youtube.com/watch?v=vqkwUQSKaGg

T型フォードetcホットロッド・プラモあれこれ

























Wikipedia
偉大なる大衆車T型フォード。
いかにも旧式なスタイルだが、発売以来モデルチェンジをせず
熟成に熟成を重ねて機械的信頼性を高め、かつコスト削減に努めた
ことは、大衆車のひとつのスタイルを確立した。


Ford


Ford
上記T型フォードの広告2点をよく注意して見てほしい。
最初のものが1924年で、次が1925年なのだが
それぞれ広告の終わりに車両売り渡し価格(小さくて見にくいが)が
表示されていて、1924年版の場合2ドアセダン・590ドル、4ドアセダン
・685ドル、クーペ・525ドル、1925年版だと2ドアセダン・580ドル、
4ドアセダン・660ドル、クーペ・520ドルと値下げになっている。
1907年の発売時は850ドル以上(他メーカーのものなら1000ドル以上)の
価格であったことからすると、かなりのプライスダウンということになる。
これはフルモデルチェンジをせず、同一モデルの大量生産の結果だった。
この状況は、T型フォードの生産が1927年に終了するまで続いた。

一方、ライバルのGMは毎年モデルチェンジを繰り返す方法で
顧客の心をつかんだ。
その後、その「変わり身の早さ」がアメ車の特徴となっていった。

『サンセット77』といえば

テレビの私立探偵ドラマのはしり
『サンセット77』。
ロサンゼルス市のサンセット大通り
77番地にある探偵事務所の話で、
左からベイリー(エフレム・ジンバリスト・
ジュニア)、スペンサー(ロジャー・スミス)、
クーキー(エド・バーンズ)。


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クーキーはベイリーらの探偵事務所に
隣接するレストランの駐車場係で、
いつも櫛で髪をなでつけているスカした
兄ちゃんとして印象的。のちにベイリーの
事務所の一員となっている。

ちなみに、ドラマに登場するこのレストランは実在していた。
アメリカの映画俳優ディーン・マーチンが経営していた
レストラン「Dino's Lodge」がそれで、ドラマのオープニングで
ベイリーらが乗ったオープンカーが建物から大通りに出てくる
シーンは、このレストランを使って撮影された。

なお、レストランの住所はロサンゼルス市の
8524 SUNSET BOULEVARDとなっており、77または
それに近い番地というわけではなかった。


wikipedia
ディーン・マーチン


ベイリーの探偵事務所入口風景

なつかしのオープニング・シーン

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ベイリーの事務所はレストランの右隣にある設定だが、実際の
建物は店舗になっている。
この出動シーンの撮影では、この店舗の入口を事務所風に
改造している(張り出しの屋根をつけただけだが…)。
なお、画像ではわかりにくいがレストランの前に看板が設置
されているのだが(駐車中のクルマで左から2番目の右わきに
立っている)店舗名の下に経営者ディーン・マーチンの似顔絵が
大きく描かれ、人目をひくようになっていた。


YouTube
ワーナーのロゴで見にくいが、レストラン正面の様子が
わかる。


YouTube
この大通りは右カーブになっており、ハリウッドへと続く。
往来のクルマは古き良き時代のアメ車ばかり(当然か)。
ところで、以前から気になっていたことだが、画面中央やや
右側の白い建物は一体何だろうか。

その建物は現存していた!

Google Earth
1931年創業のサンセット・タワーホテルだった!
現在でもシッカリ営業中なのは、メチャうれしい。
かつて、ハリウッドの高級コールガールとここで
一夜を過ごすのが最高の贅沢だったとか…?


Google Earth

現在のレストラン「Dino's Lodge」跡地周辺画像

Google Earth
50年以上前の話なので、ドラマに登場していた
街並みの名残はなさそうだが、右側建物(奥から
クルマが出てこようとしている)は「THE ACTORS
STUDIO PARKING」の事務所(多分)で、その奥が
駐車場になっており、ここ一帯がかつて「Dino's Lodge」が
あった場所だと思われる。


Google Earth
「THE ACTORS STUDIO PARKING」の駐車場を見る。
「Dino's Lodge」時代の駐車場がそのまま残っているとすれば、
意外と広い敷地だったことがわかる。
テレビドラマのおかげで大繁盛したとすれば、押し寄せるお客さんの
クルマをさばくため、クーキーのような駐車場係も必要だっただろう。


Google Earth
ドラマでは主人公ベイリーの事務所があったとされる場所
(もちろん架空の話)には、「ティファニー」の看板が見える。
宝飾店で世界的に有名な、あの「ティファニー」のことか。

テレビドラマ『サンセット77』オープニング。
最初に登場するクルマはサンダーバード・
コンバーチブルで1958年型、2番目が
サンライナー1960年型でこのドラマでは
伝統的(?)にフォードのオープンカーがベイリーたちの
足として使われていた。
デカいオープンカーに乗って出動していく彼らの姿が、
メチャカッコよかったナ~。
レストラン「Dino's Lodge」もチラッとだが登場するゾ!
http://www.youtube.com/watch?v=WrrcSieqMH8


Youtube


Youtube
サンダーバード1958年型とベイリー、クーキーの映像。
彼らのさりげないしぐさが妙に都会的で、新鮮だった。
ベイリーのゆびパッチンもサマになっているじゃありませんか。
http://www.youtube.com/watch?v=pqvFmAm9C5w

『サンセット77』は1958年から64年にかけて、ABCで
テレビ放送されていた。
日本では1960年から63年にかけてTBSが日曜日の
午後8時から放送しており、ドラマの中で展開される
アメリカの都会生活にシビレたものだった。


Youtube
1964年のサンセット大通り(ホンモノ)映像。
残念ながら「Dino's Lodge」は写っていないが、
当時のサンセット大通りの雰囲気は味わえる。
https://www.youtube.com/watch?v=Q3n7ZyrMFog

ちなみに、当時ワーナーの探偵テレビドラマ4部作と
いわれるものがあった。
そのひとつがこの『サンセット77』だが、残り3つは
『サーフサイド6』、『ハワイアン・アイ』、『バーボン・ストリート・ビート』と
されている。
『サーフサイド6』と『ハワイアン・アイ』は日本でも人気番組であったが、
『バーボン・ストリート・ビート』はほとんど知られていない。
1967年の毎週月曜日午後9時から東京12チャンネル(現テレビ東京)が
放送していたが、あまり人気はなかったようだ。
本家アメリカでも人気が出ず、1年(今の感覚ではロングランだが)で番組が終了している。


wikipedia
『サーフサイド6』は、フロリダの埠頭に係留されたハウスボートを
探偵事務所とする若者3人の話。

主演メンバー
左からチャチャ(マルガリータ・シェラ)、サンディー(トロイ・ドナヒュー)、
デイブ(リー・パターソン)、ダフネ(ダイアン・マクベイン)、ケニー
(ヴァン・ウイリアムズ)。
出演者のなかで異色の存在は、マルガリータ・シェラだ。
スペイン出身の歌手・ダンサーで当時フロリダの人気ナイトクラブ歌手
として活躍しており、その実力を買われての出演であった(ドラマでも
ナイトクラブ歌手役で登場している)。
しかし、番組終了後1年ののち27歳で急逝してしまう。

『サーフサイド6』オープニング
http://www.youtube.com/watch?v=iS3hoWKLPi8

『サーフサイド6』より、在りし日のマルガリータ・シェラ歌唱シーン
http://www.youtube.com/watch?v=9kaM5uV2FHs


YouTube
『ハワイアン・アイ』は、次回のネタに…


wikipedia
『バーボン・ストリート・ビート』主演メンバー
左からカルホーン(アンドリュー・デューガン)、
マーサ(アーリーン・ハウエル)、ケニー
(ヴァン・ウイリアムズ)、ランドルフ(リチャード・ロング)。

あれ?ヴァン・ウイリアムズって『サーフサイド6』にも
同じケニー役で出演している。
そういえばリチャード・ロングも『サンセット77』に
同じランドルフ役で出ていた。
上記『サンセット77』オープニングYouTube映像にも
登場し、ベイリーらと仲良くサンライナーに乗って出動している。

当時のワーナーのテレビドラマでは、ときおり採用された
手法で、視聴率をかせぐため(?)別なドラマでも同じ役名で
登場させることがあった。

『バーボン・ストリート・ビート』オープニング
http://www.youtube.com/watch?v=PDt62s54Tno

おっとっと…脱線してしまった!

フォード・サンダーバード広告集

サンダーバードは、1955年に2座席のコンバーチブルとして
発売された。
1958年、ユーザーの拡大を狙って4座席タイプにフルモデルチェンジを
した。テレビドラマ『サンセット77』に登場したクルマは、このときのもの。
2002年、再び2座席タイプが発売されるが販売が低迷し、2005年に
生産打ち切りとなっている。

1959年型

Ford


Ford


Ford


Ford


Ford


Ford

サンダーバードの広告はイラストを主体にしたものが多かったが、
1959年モデルから写真主体のものに変わった。
宣伝担当者はクルマの魅力を伝えるのに、イラストでは限界があると
考えたのだろうか。
きわめて現代的なデザインで、いまでも使えそうだ。

1958年型


Ford


Ford


Ford
左下でお尻を見せているクルマがサンダーバード。

Ford
運転席のメーター類の配置は、現代のクルマと同じ。
ハンドルの内側にある半円形のパーツは、クラクションを
鳴らすためのもので、これを押すとプーッ!といくわけだ。
この時代のクルマには常備されていたものだが、さすがに
現代では姿を消した。

Ford
その大柄な車体を強引に引っ張る強心臓が
このV-8エンジン。
5800cc、のちに7000ccに強化した排気量は、もはや
トラック並みといわざるを得ない。
日本製乗用車の直列6気筒3000ccなんてカワイイもの。

広大な国土を移動するための長距離走行、高速走行に
適したハイウェイの整備、舗装されていない田舎道を突破する
強力な悪路性能と頑丈なボディ、安いガソリン価格とくれば車体の大型化と
エンジンの大排気量化は当然の帰結であったように思う。

 Ford

 
Ford


Ford


Ford

サンダーバード1958年型テレビ広告。
クルマのトップ部分が自動収納できるメカは
なかなか素晴らしい。
http://www.youtube.com/watch?v=5mQaqQzwLOI

1957年型

Ford


Ford

驚きのテレビ広告!
サンダーバードとF-100スーパーセイバーが
競争をしている。
普段から公用車等の納入でお世話になっている企業なので、
アメリカ空軍も全面的に協力したのだろう。
このF-100は空軍のアクロバットチーム・サンダーバーズ所属機であり、
車名とかけたところがオモシロい。

YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=OKjrr_EUcjw

1956年型

Ford
小さくて見にくいが、右上がサンダーバード。


Ford


Ford


Ford


Ford


Ford


Ford




Ford
1956型フォード車あれこれ。
サンダーバードはどこだろうか(真ん中)。


Ford

サンダーバード1956年型テレビ広告
http://www.youtube.com/watch?v=-p453eY6kQQ

1955年型

CHAMPION


Ford


Ford


Ford


Ford



Ford


Ford



Ford


 Ford


Ford


Ford


Ford


Ford

一方、その頃の日本では…
元祖・本格的国産大衆車登場!


wikipedia
巨大なアメ車がブラウン管(液晶画面ではありませんゾ!)の中を
走り回っていた頃、当時の日本では「てんとう虫」が走り回っていた。
1958年発売のスバル360は、一般大衆でも手が届くクルマとして
人気を呼んでいた。
小型で狭い路地にもスイスイ入っていけるし、取り扱いも容易で
手頃なのがウケたのだろう。















軽トラにDOHCエンジンを搭載するなんて、
何を血迷っているのかと思ってしまうが、
高速走行によって荷物が早く配達できる…という
合理的(?)な発想があったのかもしれない。

次回の更新は、11月30日夜の予定。