絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

なつかしのオーロラ・インスト集PartⅡ

2010年08月31日 | プラモデル






「貴様ら、ボサッとしとるな!
総統の安否を確認しろ。急げ!」



…みなさん、総統は無事です。
なぜなら、ここで死んでしまうと、歴史が変わってしまいますから(笑)…


つづく

オーロラ・インスト集PartⅡ

オーロラのインストで、よくお目にかかったアイテム一覧。
第二次大戦機のコーナーを見ると、零戦の表示が
「ジャパニーズ ゼロ」となっている。
1960年代になると、日本に対する憎しみも薄れたのだろうか。
それから、零戦の下にあの架空MIG19の表示が!
いくら架空でも、アレって戦後のヒコーキではなかったか?
















ウワッ!
何じゃ、このハデハデさは!
いままでいろいろなインストを見てきたが、
全面赤なんて、レッドバロンじゃあるまいし、初めてだ。
何を血迷っているのか。
こんな前代未聞のことを、涼しい顔してやってしまう
オーロラには、ただただ脱帽してしまう。

オーロラのインストで忘れてならないのが…
コレだ!

これも、よく見かけたオーロラセメントの広告。
実物は見たことがないけれど、一時期プラに金粉を
入れたりしていたオーロラのことだから、この接着剤
にも金粉がシッカリ入っていたのではないか、と勝手
に思っている(笑)。

この接着剤には、「不燃性スチレンプラスチックセメント」と
いう表示がされている。
60年代に、すでに安全性を重視した接着剤が販売されて
いたとは驚きである。


これは、モノグラムの古いキットの
インストに掲載されていた接着剤の広告。
よく見ると、ビンの形がオーロラのとソックリ。
キャップの形状が、微妙に異なるようなので、
そこで両社の違いを出したのか?

オーロラもモノグラムも、同じメーカーに
製造を依頼していたのだろうか。
これは、現実的にあり得る話だ。


オーロラ特製の塗料。
パッケージ価格98セントの表示が見える。
いかにも自社オリジナルみたいな
雰囲気をかもし出しているが、
ビンの涙滴マークから判断すると
パクトラ製(?)みたいな気がする。

パクトラといえば、かつてタミヤとの
提携品が知られているが、
アメリカを代表するプラモ塗料メーカーとして、
世界に君臨していた。
その後、テスターに買収されてしまったが、
オジサンモデラーにはなつかしい名前だ。


もうひとつの広告。
こちらはパッケージ価格が79セントで、
バラだと一個10セントの表示がある。
この広告は、インストにはあまり掲載されて
いないので、79セントの販売価格はあまり
長続きせず、98セントに値上げされたものと想像される。
また、98セント版広告ではバラ売りの表示もなくなっている。
塗料のセット販売しかやらなくなったということか?


他メーカーでもあった水墨画風インスト

アメリカのストロンベッカーでも、水墨画風のインストが使われていた。
もともとソリッドモデルを手がけていたらしく、「ソリッドモデルでは最初」という
文字が、メーカーロゴのところに誇らしげに書かれている(画像では不鮮明
なのだが…)。木製のパーツを組み立て・加工して作り上げるソリッドモデルは、
1950年代前半のアメリカでは全盛だったが、50年代後半からレベルなどが
精巧なプラモデルを発売するようになると、衰退してしまう。

このような状況で、生き残りを賭けてプラモデル生産に路線変更したメーカー
が多数あったのだが、このストロンベッカーもその中の一社だった。

ソリッドモデルの部


インストの右下の部分に、作画した人物のサインらしきものが見える。
なお、このキットは胴体部分は木製だが、主翼や小物パーツ類はプラスチック製と
なっている(小物類で、一部木製もあるが)。
いわばソリッドモデルからプラモデルへの過渡的なアイテムで、貴重な存在。
本格的なプラモデル誕生が、もはや秒読み段階となっているのがわかって
オモシロい。発売時期としては、1950年代中頃と推定される。

プラモデルの部


ボックスアートやインストに、「オールプラスチックスケールモデル」という
表示があるが、これは「ソリッドモデル」と区別するためのもの。
何だ、当たり前じゃないか…といわれそうだが、当時プラ部品混在の
ソリッドモデルが流通していたので、「オールプラスチック」と表示して
差別化をしていたのだろう。
こうして見ると、あの時代(1950年代後半以降)のプラモ状況がわかって
興味深いものがある。




次回の更新は、9月15日夜の予定。


なつかしのオーロラ・インスト集

2010年08月15日 | プラモデル








BaGoGoGoGoooooooom!!!!!

つづく

なつかしのオーロラ・インスト集

プラモが、ドドッと登場するこの手の広告は、
にぎやかで見ていて楽しいし、購買意欲も高まる。
F90やニセモノMIG19、XFV-1など、現在のメーカーでは
とても手を出さないようなアイテムもあり、興味は尽きない。




パイロットと機体が一体成形されているのが、時代を感じさせるが、
パイロットを省略しなかったのは、ある意味リアリズムに徹していた
ということだろう。
このパイロット・機体一体成形というのはオーロラばかりでなく、
50年代後半のプラモメーカーでは、普通にやられていた手法ではある。
あのレベルでも、B47はこのやり方だ。
ただ、大型機をあの手頃なサイズにまとめたものだから、まち針の頭風の
ものが、機体からニョキッと飛び出しているにすぎない。
最初に見たときは、バリかと思ったゾ(笑)。



スタンドのデザインが一新されている。
この図ではよくわからないが、スタンドベースには北米大陸を
描き、「世界に冠たるアメリカ」を演出していたのは、いかにも
熱烈愛国的メーカー・オーロラらしい。




大型モデルでもないのに、脚を省略せずシッカリ再現しているのは、
これもリアリズム追求の現れか。
レベルは、脚なしのデスクトップモデルで発売していた。



こちらもレベルとのガチンコ勝負となったが、B36と同様にレベルは脚なしデスクトップモデル、オーロラは脚付きと対照的だ。
ただ、当時のレベルのキットはX15というオマケがあったので、話題性や購買意欲を
高めるという点では、レベルの勝利と言わざるを得ない。




センチュリーシリーズの中で、SFっぽいスタイルで
知られているのが、このF-107。
脚なしのスタンド専用プラモだが、その方が
特異なスタイルを充分堪能できて良い。




デカールの貼り方を説明した図は、日本でも模倣された。
昭和40~50年代の国産プラモのデカールシート裏側には
星マークを日の丸に変えただけの図が、よく印刷されていた。
オーロラのパクリだったんだネ。


アメリカ海軍の初級ジェット練習機だが、おそらく日本ではほとんど
知られていないだろう。
プラモを見て、初めて存在を知ったという人も多いのでは…
1959年に15機が生産されただけだから当然なのだが、メーカー
自体は、あのアメリカの巨大企業だったリング・テムコ・ボ-ト社の
一翼を担う存在だった。









これまでのインストを見て、何か変化があるのにお気づきだろうか。
初期のインストに掲載されているイラストは、普通の線画なのだが
途中から水墨画風になっている。
イラストにインクの濃淡で陰影をつける手法は、ともすると単調に
なりがちなインスト図に立体感を与え、見ていて楽しい。

そういえば、他メーカーでも水墨画風イラストがあった。
60年代のレベルでも、同じようにこの手のインストが多く
見られた。ある意味、水墨画風イラスト付インストは当時の
アメリカプラモの特徴であったといっても、過言ではない。

オーロラとレベルの水墨画風イラストの作者は、作風から判断すると
同一人物のような気がする。
もし、そうであるなら当時アメリカのインスト・イラストレーター(実際
こんな名称があるのか知らないけれど)では、第一人者だったと
いえるだろう。

参考資料 レベル・ラクロスのインスト


次回の更新は、8月31日夜の予定です。