絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

もうひとつの老舗・リンドバーグPart3

2011年05月31日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦


「オイ、いつになったら飛べるんだ」


「エルベ川流域は、天候が回復しない。
 こうなったら、砲撃で線路を破壊するしかないぞ」









BaKoM!!


HuRuRuRuRuRuRuRuRu‥‥‥


「伏せろ!」


BAKAN!!

つづく


もうひとつの老舗リンドバーグPart3




中身が見えるパッケージは、なかなか
良心的だ。こうした配慮は、お客さんの
心証を良くする。
おかげで、リンドバーグは生き残る
ことができた。










なつかしのマルサン・プラモ

マルサンでは、リンドバーグの1/48をコピーして
クリヤータイプとノーマルタイプの2種類のキットを
発売していた。
サンダーボルトは、単座機のなかでは大型なので
当然キット自体もかなり大柄となるのだが、それが子供心を妙にくすぐり
何となく得をしたような気分になる。
当時、実機のことを知らなかったので、アメリカの「紫電改モドキ」と
呼んだりしていた。




1/72スケールのボックスアートを描いていた人は、被弾した状態が
好き(?)だったようで、P-47以外でも多くのバトルダメージ画を残している。

そういえば、火のついた線香や焼いた釘・針・ドライバーなどの先端を
胴体や主翼に押しつけて、被弾状態を再現したりものだ。
これって、やった人はかなり多いのではないだろうか。












電動モーターで、四つのプロペラが回転する超豪華版。



ドイツ週間ニュースより  押し寄せる米爆撃機群を迎撃するドイツ戦闘機
http://www.youtube.com/watch?v=ZthTRnP5kK0&feature=related

ドイツ週間ニュースより  押し寄せる米爆撃機群を迎撃するドイツ戦闘機パート2
http://www.youtube.com/watch?v=eJozQz3bur4&feature=related

ドイツ週間ニュースより  押し寄せる米爆撃機群を迎撃するドイツ戦闘機パート3
http://www.youtube.com/watch?v=XIExz8EylRA&feature=related

主役がB-17だった感もあるテレビドラマ『爆撃命令』モノクロ版。
http://www.youtube.com/watch?v=CxgzT765Ed0

テレビドラマ『爆撃命令』カラー版。
ギャラガー大佐が、イケメンでカッコよかったナ。
http://www.youtube.com/watch?v=pNY__AOnufo









ヘルキャット・ワイルドキャットのクラッシュシーン集。
ハデな事故の割に、パイロットは無事。
感謝すべきは、頑丈な機体を造った製造元のグラマン社(?)。
http://www.youtube.com/watch?v=Tmxh9RPjZUg






上とは、リンドバーグのロゴが異なる。





















リンドバーグは、ドイツ機もけっこう出していた。
とくにジェット機、ロケット機を含む大戦末期のドイツ機というのは、
日本のメーカーではなかなか手を出さないようなものもあり、ドイツ機ファンでも
あった私には、超刺激的だった。







なつかしいマルサンのプラモ。

小学生のころ、初めてこのプラモを見て
エンジンが内蔵されていたり、機首の
カバーを外すと機関砲が見えたりと、
そのリアリズムに感動したものだった。
オリジナルが良かったという事実も
あったのだろうが、マルサンのコピー技術も
一定水準以上あったので、あまり
アラを出さずにすんだのかもしれない。

当時、世界の名機を1/50スケールで
シリーズ化したのは、子どもには驚異的だった。


マルサン倒産後は、ニチモが金型を引き取って
再発売していた。「老兵は死なず」…息の長い
プラモとなった。









ルーデル大佐の活躍 ドイツ週間ニュースより。
http://www.youtube.com/watch?v=kLDhZH0-aDU&feature=related

Ju87カノンフォーゲルの威力 こいつに狙われたら逃げられないゾ。
http://www.youtube.com/watch?v=AhZ3zWcI-m8&feature=related

東部戦線でのJu87 ドイツ週間ニュースより。
http://www.youtube.com/watch?v=BCNWYlx4evY&feature=related

オマケ:これは貴重!ナチス時代の空軍御用達ヘルメット生産風景。
一枚の鋼板を加工して、完成品になるまでの工程がよくわかる。
職人の手作り感がいいです。
http://www.youtube.com/watch?v=dqyaOvXvSnE






真っ赤な空が刺激的。
「空飛ぶ缶切り」なる機体の存在は、このプラモで初めて知った。

Hs-129の活躍を伝えるドイツ週間ニュース。
http://www.youtube.com/watch?v=kqTleVTB-_g&feature=related



クレタ島攻略戦の記録映像。主役は、Ju52と降下猟兵。
http://www.youtube.com/watch?v=ZIyRk33pf30

オマケ ドイツ週間ニュースより、巨大ハリボテが宙を舞う。
Me323ギガント映像。
http://www.youtube.com/watch?v=-v79c8C6jRA








当時の朝日新聞社ニュース映画より。
時速746km/hのスピード記録樹立。喜びのあまり、
機体から降り立ったパイロットが、側転をするシーンが収められている。
http://www.youtube.com/watch?v=1cGC47uHwZk



驚異的なパワーを秘めたMe163映像
スクランブル発進は、他の機体の追随を許さない。
http://www.youtube.com/watch?v=Qbv_nwoiKvY&feature=related



He162離陸映像(音声なし)
http://www.youtube.com/watch?v=rFqts2FaQmQ&feature=related



「長っ鼻」ドーラの離陸映像(音声なし)。
大戦中のドーラ実写映像って、ほとんど
ないんだよね。
http://www.youtube.com/watch?v=cnBbj1pQaKg&feature=related









Ju88実機映像、ドイツ版『頭上の敵機』 湯たんぽみたいな薬莢受けを装備した
航空機関銃の様子がよくわかり、貴重。
http://www.youtube.com/watch?v=ci7lm8-yFf8




当時のドイツ空軍では、ボックスアートに描かれた
トラクターを使用していたのだろうか。
同社のスカイホークやミグ19のボックスアートに
同じモノがあったような……





このハインケルが登場する映画として、一番知られたものはやはり『空軍大戦略』だろう。
オープニングのドイツ空軍のお偉いさんを部隊総出でお出迎えするシーンは、とても印象的だ。
http://www.youtube.com/watch?v=cNVVoH9-QH0&feature=related

映画『空軍大戦略』より。
ノルウェーから渡洋爆撃を敢行したハインケルだったが、護衛戦闘機をつけなかったのが仇となり、
スピットファイアにボコボコにされるトホホなシーン。
http://www.youtube.com/watch?v=ZuI0gFUq3HY&feature=related




ドイツ爆撃機の天敵。






垂直尾翼に軍艦旗を描くなど、考証的にはきわめて怪しげだが、50年近く前の
ボックスアートにしては、零戦21型の特徴をワリと忠実に再現している。


カウリングが黄色の塗装になっているが、これはオーロラの零戦みたいに
日本人をコケにした意味合いなのだろうか。
整備員も、なんだか陸軍兵士みたいな服装で変な感じだが、
零戦自体は上のボックスアートよりも洗練された描き方をされている。



日米合作戦争巨編『トラ・トラ・トラ!』予告編。
登場した日本機は零戦を含め全部がレプリカだったが、
わりとイイ感じに作られていた。
画面いっぱいに乱舞する日本機を見たら、ニセモノだということを
忘れてしまったゾ。
http://www.youtube.com/watch?v=YRfPcnlMYtU


















昭和なつかしむ

こどもの頃、テレビで見たアメリカ・アニメ・タイトル映像集。
ハンナ・バーべラ・プロダクションの一連の作品が、
メチャなつかしい。

そういえば、いつの間にか日本のテレビでは、
アメリカ・アニメを放送しなくなった。
それだけ、日本アニメの質と量が
向上したということなのだろうが、
あのアメリカン風味のギャグは
オモシロかった。

「突貫カメ君」タイトル映像
http://www.youtube.com/watch?v=zumoSjwGSPs

「リッピーとハーディー」タイトル映像
悲観主義者・ハーディーの口癖「やんなっちゃう」が印象に残る。
http://www.youtube.com/watch?v=tOkXiyLx-O0&NR=1

「ワニのワニー」タイトル映像
http://www.youtube.com/watch?v=TrB7lFvlL-8&feature=related

「ドラ猫大将」タイトル映像
http://www.youtube.com/watch?v=ykRZbOb1c5c&feature=related

「宇宙家族ジェットソン」タイトル映像
http://www.youtube.com/watch?v=WpBqYcGqaaw&feature=related

日本未公開 「原始家族フリントストーン」のタバコCM
http://www.youtube.com/watch?v=gDamNtQpu2w&feature=fvwrel

「少年シンドバッド」タイトル映像
http://www.youtube.com/watch?v=IP4cf4Zn00E&feature=related


特報!

レベルのスナークが復刻される。
このブログが公開される頃には、
模型店にも出回ると思われる。

ボックスアートも旧版のまま(メーカー
ロゴの大きさは異なるが)で、古き良き時代の
テイストがすばらしい。

復刻版


旧版1958年発売

レベル・ミサイルプラモの第一弾でもある。

ヒストリーメーカー、1982年発売。



現在では見られなくなった大型有翼ミサイルモデルが、
オジサンにはメチャなつかしい。
全体的にアッサリ感はあるものの、さほど古さは感じられない。
それだけ当時のレベルの技術水準が、いかに高かったかが
よくわかる。1958年製というから、半世紀前のプラモなのだ。



レベル・エアロビーのインストに掲載されたスナーク。
ボマークの姿も見える。

Wikipedia
発射!

Wikipedia
アメリカ空軍の長距離巡航ミサイルで、
ICBMが実用化されるまでの
1958年~61年にかけて、
実戦配備されていた。
目標に到達するとミサイル前部の
核弾頭を切り離し、落下・爆発させる。


次回の更新は、6月15日夜の予定。


もうひとつの老舗・リンドバーグPart2

2011年05月15日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦




「総統は現場を知らん。
 いま機甲部隊を移動させたら、
 ベルリンは終わりだぞ。
 君は、何故そのことをハッキリ総統に
 伝えんのだ。ただの伝令ではあるまい。
 その列車は、
ワシントンやモスクワを
 一瞬で 吹き飛ばす新型ミサイルでも
 積んでいるとでもいうのか」


「いいえ、閣下。
 未来への遺産があるだけですよ」


「諸君、われわれは何も知らんほうがいいようだ。
 これから作戦会議を開くぞ」

つづく

もうひとつの老舗リンドバーグPart2











F-80 スピード記録樹立時(1946年)の映像
http://www.youtube.com/watch?v=PuhttlQ4d3g&feature=relmfu



F-94C実機映像。ロケット弾の装填方法がよくわかる。
http://www.youtube.com/watch?v=poeY8TRuPQg










wikipedia



X-3飛行映像
http://www.youtube.com/watch?v=hnqdaEmeBH8&feature=related






wikipedia

プロペラ付XF88映像。こいつは貴重だ(音声なし)。
http://www.youtube.com/watch?v=l1rqlfhLdvc&feature=related







F-86vsミグ15 朝鮮戦争時のドッグファイト映像。
http://www.youtube.com/watch?v=AioUMQ2VxCQ&feature=related

なつかしいハチロク時代のブルーインパルス展示飛行映像。
http://www.youtube.com/watch?v=P2z62Rlf0kM&feature=related





セイバードッグ映像 ロケット弾発射の煙がすごい。
これは実機映像でなければわからない。
http://www.youtube.com/watch?v=cE70tBCNY6E

唐突ですが、F86Dといえば
ヤッパこのプラモが忘れられない!

外国プラモのコピー製品が多かったマルサンだったが、
オリジナルもあった。その中でも、最高峰と思われるのが
このキットだ。
その完成度の高さは、当時としては驚異的で、
まさに国産プラモの記念碑的存在だった。

胴体が分割でき、中のジェットエンジンが取り出せたり、
細かく再現されたコックピット内、主翼前縁のスラット可動、
整備員やエンジン運搬車、ロケット弾運搬車など、これでもか
という豊富なアクセサリー等々にメチャ感激した。
また、橋本先生のボックスアートも非常に洗練された内容で、
すばらしかった。


マルサン後期のボックスサイドが
黒のもの。私にとっては、こちらの
方がなじみがある。
タミヤ流に背景が白になっているが、
テクニカルイラストっぽいボックスアートも
新鮮でよかった。

マルサンをもっと知りたい!
…という人は

マルサンに関する文献といえば、やはりコレ。
マルサンの誕生から消滅まで、さまざまなエピソードが
綴られており、興味深い。

玩具や怪獣のソフビなど、プラモ以外の記述も多いが
日本初のプラモ「ノーチラス号」誕生秘話や、これも
日本のテレビ史上初のプラモ番組「陸と海と空」
ウラ話、レベル社との提携によるマルサン・ラベール
(当時はレベルとは呼ばなかった)ブランド誕生の
いきさつなど、マルサンファンには見逃せない内容だ。
巻末の製品一覧リストは、貴重。




「ベトナム・アクションキット」と銘打ったベトナム戦争便乗商品。
戦争はアメリカの模型メーカーにとって、製品の販売促進に欠かせない。
これは別にリンドバーグに限ったことではなく、レベルやモノグラムなど
多くのアメリカのメーカーが行っている。

wikipedia
ド迫力、ゼロ距離発進

F-100ゼロ距離発進映像
http://www.youtube.com/watch?v=oImq1glnOds&feature=related



F-100空中給油映像
http://www.youtube.com/watch?v=Yw0V2B_p9o4&feature=related


この当時のアメリカ製プラモにしては、自国の機体なのに
西ドイツ・バージョンは珍しい。
実機を大量購入してくれたお得意さんへの
輸出を考えての製品なのか。
ならば、空自バージョンもあれば…と考えてしまうが、
やはりこの時代、アメリカの関心はもっぱら欧州だったということが
何となくわかってしまう。

 

「ジェット・サウンド」装置のカラクリイラスト付。

初期のF-104飛行映像
http://www.youtube.com/watch?v=Kb5xc96Q8Jk&feature=related

映画「ライトスタッフ」よりNF-104飛行テストと事故
http://www.youtube.com/watch?v=bQWps7Mpv6M






スティックを動かすことで、ピアノ線で連動したスタンド上のプラモを上下に動かすことができる。
いまでは見ることができなくなったカラクリスタンドだ。
スタンドに組み込まれた可動メカニズムもさることながら、そのゴージャス感に
豊かな国・アメリカを感じてしまった。






背景がなくなり、いたってシンプルなボックスアートだが、
これもタミヤの影響か。
それとも、キットに○○○が入っていない…というクレームを
避けるための消費者運動対策なのだろうか。
実際のところ、当初背景に描かれた炎上する石油タンク類が
キットに入っていないとクレームをつけてきた人がいたのか、
リンドバーグに聞いてみたいところだ。

B-58核爆弾投下訓練映像(音声なし)
http://www.youtube.com/watch?v=F7vR8CUn9p0&feature=related

1961年、B-58が最高速度記録を樹立したときの映像。
http://www.youtube.com/watch?v=0jN6hx0LCfA&feature=related

1959年のアメリカ空軍オープンハウス映像。
古き良き時代のなつかしい空軍機が、多数参加。
http://www.youtube.com/watch?v=WmseXJ7DV4c&feature=related


「B70」という表示に注意。
あたかも制式採用されたかのような印象だが、
これはリンドバーグの勇み足。
確かにお客さんが飛びつきそうな未来的なスタイルだから、
大量に販売して開発費をシッカリ回収しようという魂胆が見え隠れする。

XB70実機映像
http://www.youtube.com/watch?v=JLxtrCpo9Co&feature=related


スナークって、結構デカいんだ…ということが、よーくわかる。
アクセサリーも色々入っていて、完成写真ながら見ていて、にぎやかで楽しそうだ。

スナーク発射映像
http://www.youtube.com/watch?v=d55rz05ynyg&feature=fvwrel

http://www.youtube.com/watch?v=LsiVbB8EYws&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=U8XWAwsg3LQ&feature=related

以下ミニスケール・ペアものボックスアート



フーガ・マジステールの西ドイツバージョンは珍しい。

フーガ・マジステール アクロバット展示飛行映像Part1
http://www.youtube.com/watch?v=YCRxsNF2qIQ&feature=related

フーガ・マジステール アクロバット展示飛行映像Part2
http://www.youtube.com/watch?v=g1UQztFvYEo&feature=related

シーバンパイア、胴体着陸ならぬ胴体着艦テスト映像。
パイロットには相当キツイわ。
http://www.youtube.com/watch?v=f7Lu6LEQ0zo&feature=related



X-15の着陸事故を伝える当時のニュース映画。
胴体がボキッと折れてしまったゾ!
http://www.youtube.com/watch?v=gpy4YIMIJMA&feature=related

NASA制作のX-15その他記録映画
http://www.youtube.com/watch?v=yk1KtY9bJWg&feature=related


やじ馬B級エッセイ

駄菓子屋に君臨する舶来プラモの巻
「舶来品は神のごとく」であった

昭和30年代から40年代前半の駄菓子屋には、今日では考えられない
異変が起きていた。

当時5円、10円の駄菓子類に混じって、レベル、リンドバーグなどの
外国プラモが販売されていたのだ。
これは、東京などの大都市部だけの現象であったのかどうかは知らない
けれど、事実である。

聞いた話では、当時の外国プラモは現在のような外国メーカーと契約した
日本の代理店が一括して輸入する方式ではなく、輸入業者が個々に
輸入する形をとっていたらしい。
そのため、販売ルートがさまざまで、そのひとつが輸入業者→問屋→駄菓子屋へ
つながっていたというわけだ。

あの時代、プラモデルはオモチャより地位が低くて、プラモ専門の
問屋などなく、オモチャ問屋が主に扱っていたらしい。
当然、商品を卸す先は街の玩具店や駄菓子屋、小さな文具店といった
ところ。
自動車(多分、バタバタのオート三輪、ミゼットあたりか)に商品を載せて、
得意先を回っていた。

高級な舶来品プラモが、駄菓子屋の「クッピーラムネ
(みなさん、知ってますか?)」とともに売られていたなんて考えると、
とても奇妙な気がする。
あたかも、正真正銘高級ブランドのハンドバッグが、アメ横のバッタ屋で
売られているような感覚だ。
高価なものとチープなもののごった煮。
昭和30・40年代は、面白い時代だったのだ。

ところで、こんな毛色の変わった商品が駄菓子屋に登場すると、
好奇心旺盛のガキどもの目にとまらないわけがない。
ついには、
店のオヤジと悪ガキどもの、舶来プラモをめぐる激しい
攻防戦が展開されることとなる。

あの時代、親から支給される小遣いは5円、10円だった。
これを握りしめて店に出動するわけだが、肝心のプラモが
200円、300円、あるいはそれ以上では財力の乏しいガキどもは、
とても買えたものではない。
しかも、シュリンプパックされたパッケージは守りが堅く、中身を
確認することなど不可能に近かった。

現在、気の利いた模型店ならサンプルとして、開封したプラモを見本として
置いておくところもあるが、当時の駄菓子屋には、そんな配慮もなかった。
もっとも、現品限りというところがほとんどなので、とてもサンプルを置く
余裕もなかったのだろう。

それでも、好奇心旺盛な彼らにとってこの見知らぬ異国のプラモは
なんとしても覗きたい対象であったのだ。
彼らは、ついに実力行使に出た。
シュリンプパックされた包装を破いて、無理やりパッケージを開封する
のである。

国産プラモのように、パーツをビニール袋に丁寧に包装するという習慣の
ない舶来プラモにとって、これは大打撃であった。
ランナーからパーツはもげ、小さなパーツは紛失・行方不明、インストは破け、
デカールなどグチャグチャ、あわててパッケージが開封できないようセロハン
テープを貼って防備を固めるも、焼け石に水である。
この程度の対策では、ガキどものプラモ荒らしには、とても対抗できない。
見知らぬものに対する燃え上がるような好奇心を、封じ込めることなど
不可能であったのだ。

当然、店のオヤジの監視も厳重になる。
ガキどもも、バカではない。
組織力のある連中は、数人の手下を従えて駄菓子屋にやってくる。
パッケージ開封担当、周辺監視担当、人垣による作業隠蔽担当等々
それぞれ役割をきめて、作業(?)にとりかかるのである。
ガキどもとしては、「忍者部隊月光」に描かれた緻密な作戦に匹敵する
ものだ、という自負もあるのだが、海千山千のツワモノであるオヤジには
しっかりお見通しである。
オヤジの一喝で、退散するのが関の山なのだ。


一方、店側はこの貴重な高額商品をガキどもの餌食にさせないため
ただちに対策をとった。
なんのことはない。
ガキどもの手が届かない高所に、商品を移動しただけのことなのだが
この行為が舶来プラモを「神のごとく」したのであった。


将来、小遣いを貯めたらこの輸入プラモを買いたいので、その動機付けの
ためにも、いま是非中身を見せてほしい‥‥などと、店のオヤジと交渉しよう
という発想力もなければ、交渉力もないガキどもは、高所に置かれた舶来
プラモを、ただため息をつきながら、見上げるしか方法がなかったのだ。
そのため、いつまでも売れ残り、その結果高所にいつまでも君臨することに
なった。

いつしか時は流れ、パッケージはホコリにまみれ、一体どのようなプラモなのか
判別ができないほどの姿になっても、舶来プラモは店の高所に、あたかも
守護神のように君臨し続けた。
ガキどもは、店に行くたびに「まだ、あるじゃん」と気にはするが、いつしか
彼らは成長し、駄菓子屋から卒業していった。


次世代のガキどもが駄菓子屋に来たとしても、ホコリまみれの舶来プラモなど
興味はない。
レベル?何じゃ、それ。
それより、マルサンのゴジラだぜ、いやウルトラマンだ、オレはレッドキングがいい、などと、
怪獣談義に花を咲かせ、高所の守護神たる舶来プラモなど、興味の対象外となってしまっていた。


一方、店のオヤジは舶来プラモ攻防戦が一段落したのに安堵したのか、
関心はもっぱら店の売り上げがいくらにになるのか、売れ筋はどんな商品なのかに集中し、
これまた高所の守護神たる舶来プラモは忘れ去られてしまった。

さらに月日は流れ、パッケージはネズミにかじられ、ゴキブリのフンにまみれ、
天井からの雨漏り、その他天変地異でついには崩壊し、残骸を残すだけに
なったとしても、古代の遺跡のごとく、その場に君臨し続けた。
あたかも、アテネのパルテノン神殿がそうであったように‥‥


そして‥‥

あの悪ガキが戻って来た。
財力のある大人として。
彼は昔の記憶をたどりながら、かつての守護神の居場所に
目をやった。


「まだ、あるじゃん」

やじ馬考古学の、本格的稼働の瞬間であった(ホンマかいな?)。

wikipedia
とても外国プラモが置いてあるようには見えない。
でも、あの時代はあったんだよね。

フィフティーズなつかしむ



チェット・アトキンスの「ミスター・サンドマン」
軽快なギターの音色がすばらしい。
1954年の映像で、人々の50年代ファッションも見ていて楽しい。
http://www.youtube.com/watch?v=n-c66SJPuUI&feature=related

※番外編 幻の九州新幹線全線開通CM
エキストラではなく、自主的な参加でこれだけの人を集めた
CMはメチャ珍しい。震災の影響で、放送自粛になってしまったのは
残念だが、現在YouTubeで見ることができる。
見ていてお祭りさながらの楽しさ・にぎやかさが、シッカリ感じとれる。
 
http://www.youtube.com/watch?v=UNbJzCFgjnU

次回の更新は、5月31日夜の予定。