絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

不屈のジョンブル魂!エアフィックス・ボックスアート美術館Part8

2012年12月15日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦






「生き残りを集めて反撃しろ」

























「クソッたれめ
 敵の増援部隊が来やがったぞ」


「おお 神よ!」



つづく



不屈のジョンブル魂!
エアフィックス・ボックスアート
美術館


私がエアフィックス製品を集め出したのは
中学生のときで、1970年代前半の頃だ。
当時はビニール袋入り1/72ヒコーキシリーズを
買っていた。

理由は、輸入プラモのなかでは価格が安い(当時200円だった)という
のもあったが、中身が見られるというのも魅力の
ひとつだった。輸入箱ものプラモは中身が確認できないので、
ある意味賭みたいなところがあり、値段の割にデキが残念な
ものだとショックから立ち直るのにかなりの時間を要した。
その点、エアフィックスの200円ヒコーキシリーズは、当時
パッケージ自体がビニール袋となっており、パーツを見る
ことができた。

それとは別にエアフィックス製品は、モノグラムやレベルといった
アメリカ製ヒコーキプラモとは異なる作風が、なんとなくイギリスを
感じさせており、それはそれで気に入っていた。
アメリカのメーカーの場合、リアリズムに徹底しており
機体のリベットまで再現していたものが多かったが、
エアフィックスはスジボリだけという、実にアッサリした表現が
多く、これは同じイギリスのメーカー、フロッグにも共通していた。

これは好みの問題にもなるのだが、当初アメリカプラモを見慣れて
いた私にはかなりの違和感をもったが、考えてみれば1/72や1/48
スケールでのリベットは、実機では相当大きなものとなり、
逆にリアリズムに徹するのであれば、スジボリだけの方が
スッキリするのではないか…という気になっていた。






フォッカーDr-1といえば、リヒトフォーヘンの
真紅の機体が有名だが、カウリングにヒゲオジサンの
顔を描いたヴェルナー・フォスの乗機も、けっこう印象的だ。
エアフィックスも当初は真紅の機体バージョンで発売していたが、
その後はフォスの機体バージョンに切り替えている。
全面真紅だと、オモチャっぽく見えてしまうからだろうか。
そういえば、レベル1/72もフォスの機体だった。


2006年公開の映画『フライボーイズ』から、
ニューポール17とフォッカーDr.1との空戦シーン。
WWⅠにおいてアメリカが参戦する以前、フランスの
航空隊に志願したアメリカ人たちの活躍を描いている。
http://www.youtube.com/watch?v=5ZnZf4Ayb3M&feature=related


水平尾翼も複葉というのがユニーク。


MPC版のボックスアート。








Wikipedia
立木(杭?)に衝突して、つんのめった機体。
周囲の状況から判断して、飛行場では
なさそうなので、被弾または故障で不時着したとき
たまたま立っていた木に突っ込んだみたいだ。
こんな広々とした場所で、どうして衝突するのか
理解に苦しむ画像ではある。
もしかしたら、機体を止めるために故意に
衝突させた可能性もなくはないが‥


胴体が合板によるモノコック構造であるため、
当時としては珍しく流線型のスマートな機体になっている。
こうしたユニークな機体は、プラモ向きでオモシロそうだ。






MPC版ボックスアート。


Wikipedia
パイロット頭上の視界は、文句なしによいことが
わかる。ただ、主翼が下方をさえぎり死角が多いような
気がする。このテの主翼の配置が一般化しなかったのは、
下方視界に難点があったからではないだろうか。


なんだかオーロラのボックスアート的雰囲気の
絵だ。





































オマケ レベルのWWⅠヒコーキ

 
レベルでも、
1/72スケールでレトロな戦闘機プラモを
 発売していた。
 グンゼ・レベル時代は、模型店以外でも文具店や駄菓子屋等で
 売られており、プラモの普及に貢献していた。
 作った人も多いのではないだろうか。


フォッカーDr-1以外に、三葉機の戦闘機が存在することを
このプラモで初めて知った。
実際、この機体はフォッカーに強い影響を与え、Dr-1が開発される
切っ掛けとなった。


プロペラと機関銃の同調装置が開発される以前は、
この機体のような荒ワザが必要だった。

弾丸がプロペラを撃ち抜かないように、プロペラの
裏側にくさび形の鋼板が取り付けられていて、プロペラに
命中した弾丸ははじき飛ばされるようになっていた。
これで、プロペラを通して射撃ができるようになった。
確かに画期的な方法であったが、きわめて危険で
鋼板がはじき飛ばした弾丸が、どこに飛んでいくかは
神のみぞ知る‥であった。

実際、これが原因で被弾損傷した機体が不時着し、
ドイツ側の手に落ちた。
この仕組みを見たアントニー・フォッカーは、同調装置の
メカを思いつくヒントになったという。














この白い機体がナチスの大物、ヘルマン・ゲーリングの愛機だった
というのは、このプラモで初めて知った。
全面白というのは、当時としてはきわめて(今でもそうか)異色だ。
リヒトフォーヘンの真紅の機体を意識していたのかもしれない。




タカラ・バージョン




アメリカ版・グンゼ版ではリヒトフォーヘンのデカールだけ
だったが、タカラ版ではフォス、ゲーリングの乗機も選べる
ようになっていたのがウレシい。
また、改造例も紹介されていてワクワクしたが、
この資料だけで製作するのはチョッときびしい(主翼の
塗装など)ので、あくまで改造のための動機づけということ
なのだろう。


このアルバトロスは、レベル1/72ファイターシリーズの
なかでは初期のものに属している。
パイロットも胴体内側のピンに差し込んで固定する形式の
もので、FW190や零戦なども同様だった。


グンゼ版では見られなかった工作グッズが
付属していた。
ピンセット・パテ用へら・クリップなど。


いまでは差別表現として使用できなくなった
黒人のマスコットマークがなつかしい。


タカラ時代のレベルカラー色見本。




レベルもヒゲオジサン・バージョンで発売していた。
やはり、こちらの方がインパクトが強いということか。















イギリスの新旧戦闘機の詰め合わせセット。









対決!
ドッグファイト・ダブルス・シリーズ

敵味方双方のヒコーキ2種をパッケージした
プラモは、古今東西存在した。
しかし、エアフィックスほど多くの種類を出して
いたメーカーも珍しい。







オヤッ!?

エアフィックスとレベルのキャメルって、
主役の構図が同じように描かれている。
これって単なる偶然の一致なのか。


スピード感のある素晴らしいボックスアートだ。
思わず買ってしまいたくなる。


























映画『トラ・トラ・トラ!』では、迎撃に飛び立ったP-40戦闘機2機が
日本機の編隊に殴り込みをかけるシーンがあるが、まさにそのときの
イメージだ。迎え撃つ零戦も、ナゼか増槽をつけたまま空戦をし
何機か撃墜されてしまう。なんともトホホな話ではある。


これは敵味方ではないが、どんな基準で
選んだのかよくわからない。
両機とも朝鮮戦争では、地上攻撃に活躍したから…
ということなのか。





V-1の発射シーンと迎撃するイギリス軍の戦闘映像。
http://www.youtube.com/watch?v=QY308O42Ur4

グロスター・ミーティアの離陸・飛行映像。
http://www.youtube.com/watch?v=q60bhhM3aWk


V-1との組み合わせは、フロッグにもあった。
エアフィックスの場合もそうだが、V-1だと
2機セットというよりはイギリス機のオマケと
いった印象が強い。


Migが完全に斬られ役になっている。
地上で撃破されるMigと逃げまどう地上クルーが
描かれ、まさに「ワレ、奇襲二成功セリ」の世界になっている。




一瞬2機ペアになっているのかと思ったら、ハリアー単品だった。

参考資料

日本版「ドッグファイト・ダブルス」では、タミヤのF-86と
Mig15のセットがなつかしい。
これは、エアフィックスのように既存の製品をペアにしたものではなく、
新規で開発されたところが泣ける。
Migのマーキングも、北朝鮮や中華人民共和国というのも変わっていて
よかった。


1/100スケールながら、よくできたパイロットが付属していた。
ただ、F-86もMigもまったく同じ形のパイロットというのは?だった。






F-86中華民国バージョンは、機首にサメの口を描くなど、
けっこう見応えのあるものになっていた。

スタンドは、ベースに開けられた複数の穴に
スタンド支柱を差し込むことで、いろいろな
コンバットシーンを楽しめるようになっていた
のはGood!
一見たいしたことがないように見えるが、
日本的配慮がなされたプラモとして、
記憶に残る。


これは、ジェット機とロケット機の詰め合わせキット。
戦後のジェット機ばかりの同シリーズのなかでは、
異色の存在だ。オマケにV-1(これも立派なジェット機だ)が
付属していたら、さらによかったのだが…

★オマケ 昭和の歴史的資料
  第一次石油ショック(昭和48年)


石油ショック。
当時を知るモデラーにとっては悪夢だった。
石油製品急騰の影響は、こんなところにも現れてしまった。
プラモ販売価格の一斉値上げだ。

メーカー側もパッケージの価格表示の変更が間に合わず、
シールを貼って急場をしのいだ。
このキットも本来は200円の表示だったが、価格変更シールに
よって250円となっている。
当時の国産プラモのパッケージには、こうした値上げシールが
ある日突然ベタベタ貼りまくられ、買い手はメチャ混乱したものだ。
消費者側は生活防衛(?)のため、店員の目をかすめて
このシールをなんとかはがそうとしたが、うまく取れなかった。
おそらく日本全国の模型店のほとんどで、こうした攻防戦が
繰り広げられたことだろう。
しかしながら、強力粘着シールを使用したメーカー側の勝利で
終わっただけであった。

こうして日本のプラモは、高価格時代に突入した。

オマケのオマケ

雑誌『航空ファン』1971年1月号



ポストホビーの広告。
エアフィックス国内代理店の文字が見える。
当時、国内で発売されていたエアフィックスの
製品がわかる貴重な資料。
1973年10月に勃発した第四次中東戦争で、
アラブ側の石油戦略発動(いわゆる石油ショック)前の
プラモ価格がわかる。
もっとも低いもので200円。国産の同等品(グンゼレベルなど)なら
100円の時代だ。ポストホビーによるエアフィックス製品安定供給の
おかげで、エ社プラモの認知度も向上したように思う。
それまでの外国プラモといえば、レベル、モノグラムに代表
されるアメリカ製品が主流だった。イギリスにもこんなイイものが
あると知らしめたポストホビー、あなたはエライ!

誌面中央右側には、新製品Bv141のボックスアートが
掲載されており、ドイツ機ファンにとっては期待の
キットだった。こんなレアな機体を発売してくれる
エアフィックスは、メチャ素晴らしい!




Wikipedia

Bv141の飛行映像。
ちゃんと飛んでいる!
http://www.youtube.com/watch?v=SV96hXwWN7c

移転して、いまはなくなってしまったポストホビーの
代々木駅前店と池袋駅パルコ5階店がなつかしい。
両店とも輸入プラモが多くあったが、なかでもエアフィックス
製品は充実していた。

私が付近の某大学受験大手予備校の生徒だった
とき(つまりは浪人生)に、授業が終われば毎日のように
入り浸っていたのが、この代々木駅前店だったし
お金に余裕があれば、池袋のパルコ5階店まで
足をのばしていた(もちろん、親はこれらの事実を知らない)。

とくに代々木駅前店では、店のオジサンと顔なじみになり
いろいろなプラモ情報を教えてもらった。
でも、金銭的に苦しい浪人生だったので、話を聞くばかりで
あまりプラモを買わなかった。ゴメンナサイ!


グーグルアースのストリートビューで、現在の
代々木駅前店跡を見る。
店の住所は東京都渋谷区代々木1-36
代々木駅前ビル1階で、地名・地番等はいまでも
同じで、ビルも昔のままだ(多少の改築はしている
のかな?)。

矢印先の黄色の看板のあるところが、かつての
店舗(多分そうだと思う)があったところで、この
写真の後方へ歩いて約1分のところにJR代々木駅がある。
この通りをそのまま前進すると、小田急電鉄の
大きな踏切があり、さらにその先は甲州街道と
交差している。その地点の右手には、JRや小田急の
新宿駅南口がある。


ハセガワのPS-1の発売予告。


エアフィックス新製品として、ブリストル・ブルドッグとHs123の
紹介記事が掲載されている。
「エアフィックスのWWⅡドイツ機では、垂直尾翼のハーケンクロイツが
省略されているので、ABTデカールを使用するとよい」などと書かれて
いるのを見ると、このABTデカールやストッペル、レトラセットといった
外国製デカールを思い出す。

YouTubeで見つけたイギリスのヒコーキ映画

1952年公開のイギリス映画『超音ジェット機』から、
音速突破に挑戦した実験機が操縦不能となって墜落するシーン。
1946年9月のデ・ハビランド DH.108 スワローの事故を描いている。
パイロットのジェフリー・デハビランド ・ジュニア(デ・ハビランド社
創設者の息子)は、このとき死亡した。
なお、チャック・イェーガーが搭乗する X-1が音速突破に成功したのは
1947年10月14日のことだった。
http://www.youtube.com/watch?v=in4rpJ2PLHA


デ・ハビランド DH.108 スワロー wikipedia


買えないゾ!

プラモ雑誌『モデルグラフィックス』2013年
1月号が、発売と同時に完売するという
前代未聞の事件が発生した。
原因は、今回の「ガルパン」特集がアニメファンを
動かしたから…といわれている。

今年の10月からテレビ放映されているアニメ
「ガールズ&パンツァー(略してガルパン)」に
登場する戦車の本格的特集としては、現在唯一の
存在と思われるのが、このモデルグラフィックス誌だ。
公式戦参加以前の初期塗装、たとえば八九式中戦車の
「バレー部復活!」スローガン付塗装とか、ノボリを立てた
三突が紹介されたりで、オタク度はかなり高い。
同誌では今回の品切れ状態に対処すべく、プラモ雑誌と
しては異例の増刷を決定したという。
このブログがアップロードされるころには、書店で
再び見ることができるだろう。

「ガルパン」については、学園ものと戦車を
融合した異色のアニメで、とくに戦車のリアルな
映像表現が注目されている。
私としては、『黒騎士物語』をアニメ化したような
ガチなものを期待したいところだが、いまの
ご時世では「萌え」を感じさせるものでないと、
なかなか一般ウケしないのかもしれない。

ガルパン戦車プラモ各種

あんこうチーム(2年生)…当初Aチーム



アヒルさんチーム(旧バレー部)…当初Bチーム


カバさんチーム…当初Cチーム


カメさんチーム(生徒会)…当初Eチーム




主人公の西住みほが乗る「あんこうチーム」の
Ⅳ号戦車D型のプラモといえば、コレが代表的。
12月4日の放送では、長砲身タイプのF2型に
変わっていたゾ。


「あんこうチーム」のⅣ号戦車は、そのうち武装強化型の
H型に進化するかもしれない。


ドイツ軍とは多少風味の異なる
フィンランド軍バージョンの3突。
車体上部をコンクリートで補強した
現地改造型というのがオモシロい。
丸みのある姿は、カバさん的イメージにふさわしいかも!?


小柄な女子高校生が乗るにはいいかもしれないが、
ズウ体のデカい人間にはキビしい。


Wikipedia
土浦の陸上自衛隊武器学校に現存する八九式中戦車。
レストアされて軽快に走り回るというのが、うれしい。
車体に「バレー部復活!」と大書きしてみたい(ウソ)。


Wikipedia
昭和の軍神・西住戦車長と八九式中戦車。
機銃掃射を受けたらしく、すさまじい弾痕だが
貫通はされていないようだ。

「ガルパン」の主人公・西住みほの姓は
西住戦車長にちなんで命名されている(…と思う)。

その他

ウサギさんチーム(1年生…当初Dチーム)使用車両なら…


カモさんチーム(風紀委員)使用車両なら…


アニメ『ガールズ&パンツァー』より、
大洗町内における戦車バトル。戦車のリアルな映像がスゴい!
http://www.youtube.com/watch?v=zl4AXwJYEEk

第10話。ドイツ戦車登場の戦闘シーン。
http://www.youtube.com/watch?v=61hXi-l3b1o

次回の更新は、1月15日夜の予定。

お詫び:編集作業の遅れにより、1月20日夜に
 更新する予定です。申し訳ありません。