ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦
「生き残りを集めて反撃しろ」
「!」
「クソッたれめ
敵の増援部隊が来やがったぞ」
「おお 神よ!」
つづく
不屈のジョンブル魂!
エアフィックス・ボックスアート
美術館
私がエアフィックス製品を集め出したのは
中学生のときで、1970年代前半の頃だ。
当時はビニール袋入り1/72ヒコーキシリーズを
買っていた。
理由は、輸入プラモのなかでは価格が安い(当時200円だった)という
のもあったが、中身が見られるというのも魅力の
ひとつだった。輸入箱ものプラモは中身が確認できないので、
ある意味賭みたいなところがあり、値段の割にデキが残念な
ものだとショックから立ち直るのにかなりの時間を要した。
その点、エアフィックスの200円ヒコーキシリーズは、当時
パッケージ自体がビニール袋となっており、パーツを見る
ことができた。
それとは別にエアフィックス製品は、モノグラムやレベルといった
アメリカ製ヒコーキプラモとは異なる作風が、なんとなくイギリスを
感じさせており、それはそれで気に入っていた。
アメリカのメーカーの場合、リアリズムに徹底しており
機体のリベットまで再現していたものが多かったが、
エアフィックスはスジボリだけという、実にアッサリした表現が
多く、これは同じイギリスのメーカー、フロッグにも共通していた。
これは好みの問題にもなるのだが、当初アメリカプラモを見慣れて
いた私にはかなりの違和感をもったが、考えてみれば1/72や1/48
スケールでのリベットは、実機では相当大きなものとなり、
逆にリアリズムに徹するのであれば、スジボリだけの方が
スッキリするのではないか…という気になっていた。
フォッカーDr-1といえば、リヒトフォーヘンの
真紅の機体が有名だが、カウリングにヒゲオジサンの
顔を描いたヴェルナー・フォスの乗機も、けっこう印象的だ。
エアフィックスも当初は真紅の機体バージョンで発売していたが、
その後はフォスの機体バージョンに切り替えている。
全面真紅だと、オモチャっぽく見えてしまうからだろうか。
そういえば、レベル1/72もフォスの機体だった。
2006年公開の映画『フライボーイズ』から、
ニューポール17とフォッカーDr.1との空戦シーン。
WWⅠにおいてアメリカが参戦する以前、フランスの
航空隊に志願したアメリカ人たちの活躍を描いている。
http://www.youtube.com/watch?v=5ZnZf4Ayb3M&feature=related
水平尾翼も複葉というのがユニーク。
MPC版のボックスアート。
Wikipedia
立木(杭?)に衝突して、つんのめった機体。
周囲の状況から判断して、飛行場では
なさそうなので、被弾または故障で不時着したとき
たまたま立っていた木に突っ込んだみたいだ。
こんな広々とした場所で、どうして衝突するのか
理解に苦しむ画像ではある。
もしかしたら、機体を止めるために故意に
衝突させた可能性もなくはないが‥
胴体が合板によるモノコック構造であるため、
当時としては珍しく流線型のスマートな機体になっている。
こうしたユニークな機体は、プラモ向きでオモシロそうだ。
MPC版ボックスアート。
Wikipedia
パイロット頭上の視界は、文句なしによいことが
わかる。ただ、主翼が下方をさえぎり死角が多いような
気がする。このテの主翼の配置が一般化しなかったのは、
下方視界に難点があったからではないだろうか。
なんだかオーロラのボックスアート的雰囲気の
絵だ。
★オマケ レベルのWWⅠヒコーキ
レベルでも、1/72スケールでレトロな戦闘機プラモを
発売していた。
グンゼ・レベル時代は、模型店以外でも文具店や駄菓子屋等で
売られており、プラモの普及に貢献していた。
作った人も多いのではないだろうか。
フォッカーDr-1以外に、三葉機の戦闘機が存在することを
このプラモで初めて知った。
実際、この機体はフォッカーに強い影響を与え、Dr-1が開発される
切っ掛けとなった。
プロペラと機関銃の同調装置が開発される以前は、
この機体のような荒ワザが必要だった。
弾丸がプロペラを撃ち抜かないように、プロペラの
裏側にくさび形の鋼板が取り付けられていて、プロペラに
命中した弾丸ははじき飛ばされるようになっていた。
これで、プロペラを通して射撃ができるようになった。
確かに画期的な方法であったが、きわめて危険で
鋼板がはじき飛ばした弾丸が、どこに飛んでいくかは
神のみぞ知る‥であった。
実際、これが原因で被弾損傷した機体が不時着し、
ドイツ側の手に落ちた。
この仕組みを見たアントニー・フォッカーは、同調装置の
メカを思いつくヒントになったという。
この白い機体がナチスの大物、ヘルマン・ゲーリングの愛機だった
というのは、このプラモで初めて知った。
全面白というのは、当時としてはきわめて(今でもそうか)異色だ。
リヒトフォーヘンの真紅の機体を意識していたのかもしれない。
タカラ・バージョン
アメリカ版・グンゼ版ではリヒトフォーヘンのデカールだけ
だったが、タカラ版ではフォス、ゲーリングの乗機も選べる
ようになっていたのがウレシい。
また、改造例も紹介されていてワクワクしたが、
この資料だけで製作するのはチョッときびしい(主翼の
塗装など)ので、あくまで改造のための動機づけということ
なのだろう。
このアルバトロスは、レベル1/72ファイターシリーズの
なかでは初期のものに属している。
パイロットも胴体内側のピンに差し込んで固定する形式の
もので、FW190や零戦なども同様だった。
グンゼ版では見られなかった工作グッズが
付属していた。
ピンセット・パテ用へら・クリップなど。
いまでは差別表現として使用できなくなった
黒人のマスコットマークがなつかしい。
タカラ時代のレベルカラー色見本。
レベルもヒゲオジサン・バージョンで発売していた。
やはり、こちらの方がインパクトが強いということか。
イギリスの新旧戦闘機の詰め合わせセット。
★★対決!
ドッグファイト・ダブルス・シリーズ
敵味方双方のヒコーキ2種をパッケージした
プラモは、古今東西存在した。
しかし、エアフィックスほど多くの種類を出して
いたメーカーも珍しい。
オヤッ!?
エアフィックスとレベルのキャメルって、
主役の構図が同じように描かれている。
これって単なる偶然の一致なのか。
スピード感のある素晴らしいボックスアートだ。
思わず買ってしまいたくなる。
映画『トラ・トラ・トラ!』では、迎撃に飛び立ったP-40戦闘機2機が
日本機の編隊に殴り込みをかけるシーンがあるが、まさにそのときの
イメージだ。迎え撃つ零戦も、ナゼか増槽をつけたまま空戦をし
何機か撃墜されてしまう。なんともトホホな話ではある。
これは敵味方ではないが、どんな基準で
選んだのかよくわからない。
両機とも朝鮮戦争では、地上攻撃に活躍したから…
ということなのか。
V-1の発射シーンと迎撃するイギリス軍の戦闘映像。
http://www.youtube.com/watch?v=QY308O42Ur4
グロスター・ミーティアの離陸・飛行映像。
http://www.youtube.com/watch?v=q60bhhM3aWk
V-1との組み合わせは、フロッグにもあった。
エアフィックスの場合もそうだが、V-1だと
2機セットというよりはイギリス機のオマケと
いった印象が強い。
Migが完全に斬られ役になっている。
地上で撃破されるMigと逃げまどう地上クルーが
描かれ、まさに「ワレ、奇襲二成功セリ」の世界になっている。
一瞬2機ペアになっているのかと思ったら、ハリアー単品だった。
★参考資料
日本版「ドッグファイト・ダブルス」では、タミヤのF-86と
Mig15のセットがなつかしい。
これは、エアフィックスのように既存の製品をペアにしたものではなく、
新規で開発されたところが泣ける。
Migのマーキングも、北朝鮮や中華人民共和国というのも変わっていて
よかった。
1/100スケールながら、よくできたパイロットが付属していた。
ただ、F-86もMigもまったく同じ形のパイロットというのは?だった。
F-86中華民国バージョンは、機首にサメの口を描くなど、
けっこう見応えのあるものになっていた。
スタンドは、ベースに開けられた複数の穴に
スタンド支柱を差し込むことで、いろいろな
コンバットシーンを楽しめるようになっていた
のはGood!
一見たいしたことがないように見えるが、
日本的配慮がなされたプラモとして、
記憶に残る。
これは、ジェット機とロケット機の詰め合わせキット。
戦後のジェット機ばかりの同シリーズのなかでは、
異色の存在だ。オマケにV-1(これも立派なジェット機だ)が
付属していたら、さらによかったのだが…
★オマケ 昭和の歴史的資料
第一次石油ショック(昭和48年)
石油ショック。
当時を知るモデラーにとっては悪夢だった。
石油製品急騰の影響は、こんなところにも現れてしまった。
プラモ販売価格の一斉値上げだ。
メーカー側もパッケージの価格表示の変更が間に合わず、
シールを貼って急場をしのいだ。
このキットも本来は200円の表示だったが、価格変更シールに
よって250円となっている。
当時の国産プラモのパッケージには、こうした値上げシールが
ある日突然ベタベタ貼りまくられ、買い手はメチャ混乱したものだ。
消費者側は生活防衛(?)のため、店員の目をかすめて
このシールをなんとかはがそうとしたが、うまく取れなかった。
おそらく日本全国の模型店のほとんどで、こうした攻防戦が
繰り広げられたことだろう。
しかしながら、強力粘着シールを使用したメーカー側の勝利で
終わっただけであった。
こうして日本のプラモは、高価格時代に突入した。
★オマケのオマケ
雑誌『航空ファン』1971年1月号
ポストホビーの広告。
エアフィックス国内代理店の文字が見える。
当時、国内で発売されていたエアフィックスの
製品がわかる貴重な資料。
1973年10月に勃発した第四次中東戦争で、
アラブ側の石油戦略発動(いわゆる石油ショック)前の
プラモ価格がわかる。
もっとも低いもので200円。国産の同等品(グンゼレベルなど)なら
100円の時代だ。ポストホビーによるエアフィックス製品安定供給の
おかげで、エ社プラモの認知度も向上したように思う。
それまでの外国プラモといえば、レベル、モノグラムに代表
されるアメリカ製品が主流だった。イギリスにもこんなイイものが
あると知らしめたポストホビー、あなたはエライ!
誌面中央右側には、新製品Bv141のボックスアートが
掲載されており、ドイツ機ファンにとっては期待の
キットだった。こんなレアな機体を発売してくれる
エアフィックスは、メチャ素晴らしい!
Wikipedia
Bv141の飛行映像。
ちゃんと飛んでいる!
http://www.youtube.com/watch?v=SV96hXwWN7c
移転して、いまはなくなってしまったポストホビーの
代々木駅前店と池袋駅パルコ5階店がなつかしい。
両店とも輸入プラモが多くあったが、なかでもエアフィックス
製品は充実していた。
私が付近の某大学受験大手予備校の生徒だった
とき(つまりは浪人生)に、授業が終われば毎日のように
入り浸っていたのが、この代々木駅前店だったし
お金に余裕があれば、池袋のパルコ5階店まで
足をのばしていた(もちろん、親はこれらの事実を知らない)。
とくに代々木駅前店では、店のオジサンと顔なじみになり
いろいろなプラモ情報を教えてもらった。
でも、金銭的に苦しい浪人生だったので、話を聞くばかりで
あまりプラモを買わなかった。ゴメンナサイ!
グーグルアースのストリートビューで、現在の
代々木駅前店跡を見る。
店の住所は東京都渋谷区代々木1-36
代々木駅前ビル1階で、地名・地番等はいまでも
同じで、ビルも昔のままだ(多少の改築はしている
のかな?)。
矢印先の黄色の看板のあるところが、かつての
店舗(多分そうだと思う)があったところで、この
写真の後方へ歩いて約1分のところにJR代々木駅がある。
この通りをそのまま前進すると、小田急電鉄の
大きな踏切があり、さらにその先は甲州街道と
交差している。その地点の右手には、JRや小田急の
新宿駅南口がある。
ハセガワのPS-1の発売予告。
エアフィックス新製品として、ブリストル・ブルドッグとHs123の
紹介記事が掲載されている。
「エアフィックスのWWⅡドイツ機では、垂直尾翼のハーケンクロイツが
省略されているので、ABTデカールを使用するとよい」などと書かれて
いるのを見ると、このABTデカールやストッペル、レトラセットといった
外国製デカールを思い出す。
★YouTubeで見つけたイギリスのヒコーキ映画
1952年公開のイギリス映画『超音ジェット機』から、
音速突破に挑戦した実験機が操縦不能となって墜落するシーン。
1946年9月のデ・ハビランド DH.108 スワローの事故を描いている。
パイロットのジェフリー・デハビランド ・ジュニア(デ・ハビランド社
創設者の息子)は、このとき死亡した。
なお、チャック・イェーガーが搭乗する X-1が音速突破に成功したのは
1947年10月14日のことだった。
http://www.youtube.com/watch?v=in4rpJ2PLHA
デ・ハビランド DH.108 スワロー wikipedia
★買えないゾ!
プラモ雑誌『モデルグラフィックス』2013年
1月号が、発売と同時に完売するという
前代未聞の事件が発生した。
原因は、今回の「ガルパン」特集がアニメファンを
動かしたから…といわれている。
今年の10月からテレビ放映されているアニメ
「ガールズ&パンツァー(略してガルパン)」に
登場する戦車の本格的特集としては、現在唯一の
存在と思われるのが、このモデルグラフィックス誌だ。
公式戦参加以前の初期塗装、たとえば八九式中戦車の
「バレー部復活!」スローガン付塗装とか、ノボリを立てた
三突が紹介されたりで、オタク度はかなり高い。
同誌では今回の品切れ状態に対処すべく、プラモ雑誌と
しては異例の増刷を決定したという。
このブログがアップロードされるころには、書店で
再び見ることができるだろう。
「ガルパン」については、学園ものと戦車を
融合した異色のアニメで、とくに戦車のリアルな
映像表現が注目されている。
私としては、『黒騎士物語』をアニメ化したような
ガチなものを期待したいところだが、いまの
ご時世では「萌え」を感じさせるものでないと、
なかなか一般ウケしないのかもしれない。
★ガルパン戦車プラモ各種
★あんこうチーム(2年生)…当初Aチーム
★アヒルさんチーム(旧バレー部)…当初Bチーム
★カバさんチーム…当初Cチーム
★カメさんチーム(生徒会)…当初Eチーム
主人公の西住みほが乗る「あんこうチーム」の
Ⅳ号戦車D型のプラモといえば、コレが代表的。
12月4日の放送では、長砲身タイプのF2型に
変わっていたゾ。
「あんこうチーム」のⅣ号戦車は、そのうち武装強化型の
H型に進化するかもしれない。
ドイツ軍とは多少風味の異なる
フィンランド軍バージョンの3突。
車体上部をコンクリートで補強した
現地改造型というのがオモシロい。
丸みのある姿は、カバさん的イメージにふさわしいかも!?
小柄な女子高校生が乗るにはいいかもしれないが、
ズウ体のデカい人間にはキビしい。
Wikipedia
土浦の陸上自衛隊武器学校に現存する八九式中戦車。
レストアされて軽快に走り回るというのが、うれしい。
車体に「バレー部復活!」と大書きしてみたい(ウソ)。
Wikipedia
昭和の軍神・西住戦車長と八九式中戦車。
機銃掃射を受けたらしく、すさまじい弾痕だが
貫通はされていないようだ。
「ガルパン」の主人公・西住みほの姓は
西住戦車長にちなんで命名されている(…と思う)。
その他
★ウサギさんチーム(1年生…当初Dチーム)使用車両なら…
★カモさんチーム(風紀委員)使用車両なら…
アニメ『ガールズ&パンツァー』より、
大洗町内における戦車バトル。戦車のリアルな映像がスゴい!
http://www.youtube.com/watch?v=zl4AXwJYEEk
第10話。ドイツ戦車登場の戦闘シーン。
http://www.youtube.com/watch?v=61hXi-l3b1o
次回の更新は、1月15日夜の予定。
※お詫び:編集作業の遅れにより、1月20日夜に
更新する予定です。申し訳ありません。