絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

アメリカのソリッドモデルボックスアート・インスト美術館

2011年03月31日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦




「爆破しろ。急げ」


BAKOM!!




GOOOOOOOOOOOOOOOO!


!


「イワンだぞ。何で、こんなところに」



つづく


アメリカソリッドモデル
ボックスアート・インスト
美術館

これから掲載するボックスアートとインストは、ソリッドモデルのものだ。
日本でもそうだったが、プラモデルが一般的になるまでは木材を加工して
作るソリッドモデルが主流で、誰でも作れるというわけにはいかなかった。
確かにキットは発売されてはいたが、パーツは一応それらしく加工した
木材が入っているだけ。ひどいのになると、ただの角材があるだけで
それを付属の不鮮明な図面を見ながら加工しろ…なんてものもあった。

航空機なら当然プロペラや脚、タイヤ、透明キャノピー、パイロットなどの
パーツを期待するのだが、そんなものは一切入っていなかった。
マーキング類も手書きでやる必要があった。
のちに、プラ製パーツやデカールが付属するようになるのだが、それでも
まともな作品を作ろうとしたら、高度な技術力と創意工夫、そして飽くなき執着心が
要求されていた。

プラモデルが一般に普及する以前のアメリカ・ソリッドモデルのボックスアートと
インストの紹介というのは、おそらく本邦初公開ではないかと勝手に想像している。
発売時期などは不明だが、1950年代前半から半ばくらいかと推測しているが、
50年代後半になるとプラモデルの普及で、ソリッドモデルは衰退してしまう。

プラモデルの普及は、それまで一部のマニア、それも高度な技術をもった者
だけが行えたモデル作りを、誰でも手軽に、かつ確実にできることが可能になった
という点で、まさに革命的だったのだ。


モノグラムというと、世界最高品質のプラモデルメーカーとして知られているが、
元々はソリッドモデルを販売していた。
これからご紹介する、これらのボックスアートやインストはすべて
ソリッドモデルで、おそらく本邦初公開と思う。




メーカーロゴを変更したパッケージ。ロゴ以外は変更なし。


モノグラムのロゴというと、ヒコーキプラモを手にした少年のイラストを思い出す。
これは、初期のものでデザインもレトロっぽい。


日本のモデラーには、こちらの方がおなじみだろう。
上と比較すると、デザイン的に洗練されている。


バルサ材のパーツを自分で加工して、主翼や胴体を作っていくのだが、
やはりプラモのように簡単にはいかない。
それでも、角材を削って作ることを考えれば、まだいいのかもしれない。

この時期(1952~53年くらいか?)のキットは、従来のソリッドモデルと
異なる特徴をもっていた。
それは、風防や脚、プロペラなどの小物がプラスチック製という点だ。
お客さんが作りやすいように…という配慮なのだが、部品をプラで成形
することが一般に普及してきた時代背景もあるのだろう。
あとは、胴体や主翼などの主要パーツがプラになれば、それこそプラモの
誕生である。確かに戦前にフロッグのプラモが存在はしたが、世間一般への
普及という点では、戦後のアメリカプラモの存在は、あまりにも大きい。
その、まさに誕生前夜の状況が、このソリッドモデルに詰められているのだ。

本格的プラモが世に出る直前の模型の様子がわかる資料としては、まさに
第一級品と思われる(自画自賛)。

















上のインストを見ると、機体下部に破線でカプセル型のパワーユニットが描かれている(上のF-84も同様)。
これは推測だが、固体燃料タイプのロケットエンジンではないかと思われる。
日本でも過去に「ロケッティー」という商品名で、同種のものが売られていた記憶がある。
このエンジンでモデルを飛ばして遊べるという趣旨なのだろうが、機体回収方法に万全を期さないと
全損という悲劇に見舞われる。

1958年公開の映画『追撃機』 F-86が画面イッパイに飛び回るのが、グー!
http://www.youtube.com/watch?v=QGSU6H5zv4U&feature=related

こちらは、上記のものとは異なりパーツ数を少なくして作りやすくした
お手軽キットシリーズ。ボックスアートもきわめて質素だ。








これも、バルサ材パーツとプラ製パーツの混合キット。
胴体と主翼、水平尾翼がバルサ材なのだが、一応それらしく
成形されているので、細かいことを気にしないのなら、そのまま
組み立てられる。
インストを見ると、プラ製パーツをいちいち「プラスチック製の風防」だの
「プラスチック製の○○」と記載しているのが、オモシロい。

そういえば、アメリカプラモのパッケージに「オールプラスチックモデルキット」
という表示があったが、要するにバルサ材パーツ入り混合キットではありませんよ…
そういう意味だったのか、と勝手に納得してしまう私だった。

F-84ゼロ距離発進映像
http://www.youtube.com/watch?v=cE6QmjAlHT8

F-84パラサイトファイター映像
B-36から発進、その後の回収などなかなか見られない
チョー貴重映像。
http://www.youtube.com/watch?v=D3bECsGocqE

F-84パラサイトファイター映像パート2
http://www.youtube.com/watch?v=IvEks8gbmgI&feature=related






F-86のライバルといえば…






















こちらは、艦船シリーズ。
ソリッドモデルなので、主要パーツはバルサ材で
作られているが、小物パーツはプラ製となっており
ヒコーキと同じ構成。

















LSTみたいなチョー地味なものもあったんだ、と驚いてしまう。
もっともWWⅡにおける上陸戦の花形でもあるため、アメリカでは
けっこうメジャーなのかも。

LSTの建造から戦地での活躍を撮影した映像を発見。
一見地味な艦船だが、これらの活躍なくして
アメリカの勝利はなかっただろう。
http://www.youtube.com/watch?v=OTSqhCdgwrI

ベトナム戦争時のLST映像
http://www.youtube.com/watch?v=AyTI8PsSyco&feature=related

次回の更新は、4月15日夜の予定です。


レベルよ再び!ボックスアートギャラリー

2011年03月15日 | プラモデル

ドイツ軍によるボックスアート輸送大作戦





「突っ込め!」




「大尉殿、こちらへ!」


「ベルリンへの秘密通路かもしれませんぜ」



GOGOGOGOGOGOGO‥‥

つづく

レベルよ再び!
ボックスアートギャラリー

‥これらは、1964年に出現し


「ビートルズ」のプラモデル!
数あるレベルのプラモの中で、きわめて異色的な
もののひとつだろう。
いかに人気絶頂といいながらも、大手模型メーカーが
生身のミュージシャンをモデル化するというのは、前代未聞だ。

再販してほしいプラモだが、おそらく版権や、莫大な
ロイヤルティーの支払いの関係で、再発売したくても、
なかなかできないのだろう。
もう復活することはないのだろうか。


従来のレベル・ボックスアートとは
一線を画す描き方をしている。
とてもポップな雰囲気で、レコードのジャケット風。

グループ名を見てほしい。
キットは一人分なので複数形の「Beatles」
ではなく、単数形の「Beatle」としているのが、
メチャおもしろい。
1/8スケールモデル。







以下、ボックスサイド3点。





こちらは、4人いるので「Beatles」の
複数形。

ボックスアートは、すべてDon Putman氏が担当。
原型師は、Tony Bulone氏がポール、Magda Kopek氏が他の3人を
担当した。
なお、Magda Kopek氏はレベルのフィギュアモデル「フラッシュゴードン」や
「ボナンザ」も手がけている。





ジョージのキットに関するWEBを発見!
http://www.alanoodle.com/george_tutorial.html

オッと……
「ビートルズ」のプラモでは、
これらを忘れちゃいけない。

ポーラーライツが、1968年公開の
アニメ映画「イエローサブマリン」に
登場した彼らを、モデル化して
いた。










1964年、アメリカ公演の際、空港で熱烈歓迎を受けるメンバー。wikipedia

当時、日本のマスコミは彼らの髪型を称して、「ビートルズ刈り」・「キノコ刈り」
などと、ヘンテコな名称を勝手に命名していた。
あの時代、日本の若い男性の髪型といえばケネディ風の「アイビーカット」か
橋幸夫の「スポーツ刈り」、男児は「ぼっちゃん刈り」が一般的だったように思う。
それだけにビートルズの髪型は衝撃的だったのだが、いま見るときわめて
フツーのお兄ちゃんだ。それだけ時間が経過したということなのか。

長髪イコール反抗的、エレキギターを持てばアイツは不良だの、エレキバンドの
コンサートに行けば即退学処分だ…なんて、正気の沙汰ではないことが横行
した時代だった。

当時のなつかし映像

ビートルズがやってきた!来日映像1966年。
降り立った羽田空港から、宿泊先のホテルに移動するにも
パトカーの護衛付き。テンヤワンヤの騒ぎがスゴイ。
http://www.youtube.com/watch?v=Ou__mIGfimU

ビートルズ日本武道館ライブ映像
ステージセットの恐るべきシンプルさ!
いまならステージ上に音楽機材がドドッと置かれ、レーザービームが飛び交い、
炎が吹き上がり、ライトがビコビコ点滅する。そんな光景を見慣れた現代から
すると、逆に新鮮さを感じる。
http://www.youtube.com/watch?v=MKOjiCebobE&feature=related

ビートルズ日本公演 前座映像
外国の大物アーティストが登場するだけあって、彼らを迎える
ブルコメ、ドリフ、ブルージーンズ、尾藤イサオ、内田裕也等も
張り切っている。とくに、この前座にドリフが出演していたなんて
サプライズだ。
http://www.youtube.com/watch?v=Xrt8Ego2kvQ

その他なつかしのボックスアート



アニメ「フラッシュ・ゴードン」映像
http://www.youtube.com/watch?v=6mT3FeaO_sM&feature=related





超ド迫力・アポロサターンロケット打ち上げ映像
http://www.youtube.com/watch?v=wvWHnK2FiCk&feature=related



おやっ?このハインケルのボックスアートは‥‥



He219とケイデットは、イギリスレベル版ボックスアート。
グンゼ・レベルのものとは、異なる絵を使用している。


このメッサーの勇姿にシビれたもんだ。
感動の一枚。
映画のワンシーンを見るようだ。

映画といえば、『空軍大戦略』。クライマックスは、これだ!
http://www.youtube.com/watch?v=43zVRey2XEs&feature=related

『空軍大戦略』のもうひとつの印象的なシーンは、
オープニングの閲兵シーン。空軍基地に降り立った
ドイツのお偉いさんを、部隊総出でお出迎えするところは
勇壮な行進曲と相まって、素晴らしかった。
http://www.youtube.com/watch?v=cNVVoH9-QH0

『空軍大戦略』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=9a9qa2dOclI




被弾したドイツ機を、よくよく見るとHe100みたいな気がするが
そう思うのは私だけか?


日本での発売当時、二式水戦の藤色塗装がモデラーの間で話題に
なった。アリューシャン方面では、実在したとかしないとか…



トレードウインドの実機映像
http://www.youtube.com/watch?v=msecEz-wzew

http://www.youtube.com/watch?v=I_1AS13lnjg



マリナーの実機映像
http://www.youtube.com/watch?v=F0uAa1WH51U&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=0w_fg9ylMpw&NR=1


荒々しい海の描き方が秀逸。レンウッド先生の腕が冴える!

A-5A
実機映像
http://www.youtube.com/watch?v=CJL_rgRwAvM&feature=related



A-1実機映像
http://www.youtube.com/watch?v=nOk7oyviEoY


レベルはヘンな情報に惑わされず、ちゃんとモデル化しているのはさすが!


同じヤク25でも、これだけ違う。

ところで、この架空ヤク25(ミグ19)に関するWEBサイトを発見!

1953年当時の航空雑誌には、下記のイラストが掲載されており、あたかも実在するかのようなイメージを作り出していたので、オーロラばかりを責めるわけにはいかないのだが…

この情報にダマされたメーカーはオーロラを始め、リンドバーグ等があり
被害甚大(?)といえる。
でも、オーロラはこのミグが完全な嘘ッパチとわかっていながらも、
1970年代まで堂々と販売していた。
このオーロラの神経のズ太さの方が、むしろ驚きだった。

下記の解剖図を見ると、ナント双発となっている。
たしかに実在のミグ19は双発なので、いろいろな情報が
ミックスされていることがこの図からもわかり、大変興味深い。





Modeling Now and Then
上3枚のイラストは、「Modeling Now and Then」というWEBサイトに
出ていたもので、元々は1953年の航空雑誌「Air Trail」に掲載されて
いたものらしい。


Modeling Now and Then
これも同じサイトに出ていたものだが、架空ミグ19的な機体は
実在したことはした。
ミグ設計局の試作機で、これにいろいろな尾ひれがついて
幻の機体が誕生したのかもしれない。
当時、軍事機密の壁でガッチリ固めたソ連だったので
そのすき間から流れ出た情報を、西側軍事筋がツギハギして
まとめたのが架空ミグ19だったのだ。


この架空ミグの話は、アホなプラモメーカーの笑い話的なエピソードで
終わってしまいそうだが、本来は断片的な情報をいかにまとめて、ひとつの
事実に迫っていくかという情報論的な意味をもっているので、どうして
こんなヘンテコな結果になったのかを、検証する必要があるだろう。
裏を返せば、西側がいかにソ連の軍事力を恐れていたかという
証明にもなるからだ。

詳しくは、こちら(英文)
http://www.internetmodeler.com/2008/august/columns/nowandthen.php

ホンモノMIG19ゼロ距離発進映像
http://www.youtube.com/watch?v=SabWGCETDN0&playnext=1&list=PL086E345F8FAAA36C











レベルのトラ


次回の更新は、3月31日夜の予定。
※計画停電の影響で、更新の時期が
 前後することが予想されます。
 ご了承ください。