絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

オーロラ・ボックスアートギャラリー、B級の間

2010年03月31日 | プラモデル





ボックスアート展記念式典は、壮大な軍事パレードで始まった
通りという通りは、軍靴の音であふれた














総統が開催記念演説を行うルーヴル美術館会場には、
多くの群衆が押しかけた。
式典を盛り上げるため、ドイツ国内の
ナチ党員に総動員をかけたのだ。

熱狂は、いやがうえにも高まろうとしている。



ドイツ第三帝国に、栄光あれ!
ジーク・ハイル!
   ジーク・ハイル!

       ジーク・ハイル!

つづく

オーロラ・ボックスアートギャラリー
              


この未来的なスタイルは、ヒコーキファンでなくても脳裏に焼きついてしまうだろう。
プラモメーカーも当然動き出す。
「B-70」などと、あたかも制式採用前提で発売しているのがオモシロい。

ボックスアートも、夜間の緊急出動であわただしい基地の雰囲気を
的確に再現しているのが素晴らしい。
核戦争勃発か!
機体に駆け寄る地上要員の緊迫した様子が、見ていてドキドキして
してしまう。映画のワンシーンのようだ。
これを描いたアーティストに、敬礼!


こちらは、リンドバーグのボックスアート。
オーロラ同様、B-70の前に「X」の文字がない。
おそらく、当時のアメリカ国内では制式採用されるという
希望的観測が強かったことがうかがえる。

確かに、あれだけ斬新なスタイルで、かつ
前代未聞のマッハ3クラスの巨大超音速爆撃機だ。
採用されてほしいと願ってしまうのは、人情ではないだろうか。


こちらは、興奮がすでに醒めたあとのボックスアート。
「X」の文字が、シッカリついています。


B-58とのランデブー飛行付、ホンモノ映像。


このダイナミックな離陸シーン。
プラモメーカーがモデル化したいと考えるのも、当然だ。


すさまじい事故画像。衝突したF-104が火ダルマになっている!
XB-70も、垂直尾翼が完全にすっ飛んでいるゾ。
※上記3点 XB-70(航空機)Wikipedia


旧版のボックスアートは、車両やら作業員やらが動き回り、活気ある雰囲気が
描かれており、気に入っている。
オーロラ特有の怪しげな空模様も、しっかり再現されていて
同社の黄金時代を感じさせる。


新版になると、怪しげな雰囲気はなくなり、きわめてノーマル。
強烈なオーロラ的個性が薄まりつつある状況で、旧版の
ボックスアートに対する愛着が、ますます強くなったものです。


ホンモノC-119画像  Wikipediaより

現代の目から見ると、もはや古色蒼然とした
スタイル。でも、オジサンにはモロなつかしい
機体でもある。

おフランスの香りは、オーロラとともに

以下、フランスのHeller社との提携品。
オーロラのロゴが入っているものの、中身とパッケージは
Hellerそのもの。
アメリカ国内向けだが、王冠と「Prestige Series」のロゴが新たに
加えられている。

ボックスアートは、リアリズムに徹した迫力ある「アメリカ」的なものと
異なり、ルノワールやモネといった印象派画家が描くような絵の雰囲気が、
「フランス」を感じさせる。

ドイツに国土を占領されたフランスだが、かつて自国の空を
我が物顔に飛び回った敵機の垂直尾翼に、カギ十字が
しっかり描かれていて、メチャ驚く。
ナチに対する憎悪は相当強いと想像するが、国民感情に配慮
していない(?)のは、いかにも個人主義を貫くフランスらしい。

オーロラも無修正で、カギ十時付ボックスアートをそのまま使用。

お客さんは、自国の航空機がボコボコにされている絵を見て、
どう思ったのであろうか。
単なるボックスアートと割り切ったのか、それとも溢れる愛国心で
こんな絵は許せんとなったのか?
購入意欲にどんな影響を与えたのか、知りたいところだ。










上2点は、フランスの国民感情に配慮したものになっている。
ところで、かつてドイツの同盟国であった日本はどうかというと、
やはり輸出を考えているのか、主要メーカーはカギ十字を
描いていませんね。
ただ、デカールはシッカリ付属しているので困ることは
ないけれど、カギ十字のないドイツ機なんて、なんか間が抜けている。










これは、かなりマイナーなアイテムだ。
アブのようなズングリしたスタイルで、
全体的に旧式感が漂うが、これでも一応
引っ込み脚採用なので、当時のソ連としては
画期的なヒコーキなのだろう。



次回の更新は、4月15日夜の予定。
オーロラAFV登場で、涙が止まらんぞ!


恐怖の館へ、ようこそ!オーロラ・ボックスアートギャラリーPartⅣ

2010年03月15日 | プラモデル




ダウディング君

ヒトラーは、パリで大はしゃぎだ
計画の方は、どうなのだ


はい、首相

フランス本土へ、各爆撃機を単機で侵入させ
ヒトラーの記念式典演説の時間に合わせ
パリ上空で集合、目標にピンポイント爆撃を
敢行します


万一、ルーヴル美術館に被害が出た場合
フランス亡命政府への対応は、よろしくお願いいたします



任せておけ

あの連中は、居候のくせにプライドだけはやたらと高い
フランスの栄光を破壊したと、怒鳴り込んでくるだろうが
いわせておけ
ルーヴル美術館のひとつやふたつ、わが大英帝国が
プレゼントしてやるわい


まもなくロンドン上空だ
爆弾投下用意!



首相、空襲です。
ただちに避難を!



またか

暗くてジメジメした防空壕は、体に悪い
私は長生きをしたいのだ
ダウディング君、いい報告を待っているぞ


彼らは、飛び立った…

つづく

恐怖の館へ、ようこそ!
オーロラ・ポーラーライツ・メビウス
ボックスアートギャラリー


ギャアァァァァ!!!!!!
このウジャウジャ感が
メチャしびれるのう





こちらは、同じフランケンでも
わりとポップな雰囲気で、
従来のキモさ感がなくなって
いる。
ドロドロとした独特のオーロラ
ボックスアートとは異なる
新しい方向性が見えるような
気がする。


上記のキットを、レベルが再版したもの。
レベル特有の洗練されたイメージが
感じられる。


こちらも、レベル版フランケン。
中身は、もちろんオーロラの
もの。


映画のスチール写真を使った
ボックスアート。
フランケンの痩せこけた顔に
恐怖感が凝縮されている。


ドラキュラの顔って、こんなゲタ顔だったかな?




これは、ポーラーライツ社が旧オーロラの
ギロチンを復刻したときのパッケージ。
ボックスアート自体は、オーロラと同一のもの。
フランス革命時の記録画的な描き方で、
パッと見た目は、プラモ用の絵とは思えない。


ギロチンのプラモなど、前代未聞。
しかも、処刑された人の頭が、カゴの中にストンと
落ちます…なんて堂々と宣伝しちゃうところが
オーロラの凄まじいところ。
日本のメーカーでは、絶対マネできない!

そういえば、ギロチンの恐怖が吹き荒れていた
19世紀のヨーロッパに、子供向けのオモチャの
ギロチンがあったそうだ。
オモチャといっても、金属製の刃がついており、
子供たちは捕らえた小鳥やネズミの首を切りまくって
遊んだらしい。

オーロラのキットは、さすがにそこまでは出来ないが、
アングラで、スパスパ切れる超合金製の刃が別売されて
いたら、……メチャこわい。

ギロチンに続くアイテムとして、絞首台や電気イス、ガス室まで
やらなかったのは、ある意味賢明だったかもしれない。
おそらく、オーロラ社内ではそんな企画もあったと勝手に想像しているが、
トップの決断でボツになったのではないだろうか。
まあ、あればあったで貴重なアイテムになっただろうが…





上のふたつの広告は、オーロラのものではないけれど
オモシロそうなので、取り上げました。

子どもに無駄遣いをさせないためには、こうしたグッズを
利用して貯金させるのがイチバンかも。
でも、当時の日本では、子どもが買うには
けっこう高額だったんだよね。
結局、親に泣きつくことになるんだけど、
これを買ってもらった幸運な子どもは、はたしてどのくらい
いたのだろうか。

ところで、この手のモンスター貯金箱は、日本でも「ドラキュラバンク」という
名称で販売されていましたネ。
多分、そのルーツが上記のものじゃないかと思う。
箱の中から、ソーッと青白い手が出てきて、コインを掴むと
スッと引っ込んでしまうところが、大いに受けた。

その後、さまざまな形式のものが発売され、国産プラモも
ありました。
木箱を模したプラスチックの箱から台を引き出して
その上にコインを置いて、箱にあるボタンを押すと、
ゼンマイ駆動の怪物の手が出てきて、
コインを箱の中に引き込んでしまうカラクリが
面白かった。

オーロラ・モンスタープラモの思い出

私が小学生のとき、東京・品川区に住んでおりました。
3年生か4年生だか、そのときの下校時のお話。

校門のわきに、模型店があるのだが
下校時、その前に男子児童が群がって、ショーウインドウを
なにやらのぞきこんでいる。
気になって見てみると、何じゃこりゃ!
フランケンやドラキュラといったオーロラ・モンスタープラモの
完成品が売られていたのだ。
当時、オーロラという会社名は知らなかったが、
まさしくアレである。
そのリアルな怪物どもは、来店するお客を
すさまじい表情で、威嚇し続けていた。

物珍しさもあって、さっそく店のオバハンに聞いてみると、
アメリカのプラモが入荷したので、これを作って売ることに
したんだ…という回答。
なぜ完成品を売ることにしたのか、明確な答えは
もらえなかったが、当時はべつに気にもしなかった。

フランケン、ドラキュラ、オオカミ男、ミイラ男、せむし男など
完全塗装済(おそらくマルサンのプラカラーを使った
のだろう)で、1000円くらいの売値だったと思う。
当時の小学生が買うには、かなりの高額だったので
買うヤツなんているのか、と毎日下校時に店頭をみていると
日に日に怪物どもは姿を消してゆき、最後に
せむし男だけが残ってしまった。

あわれな男は、その後長期間店頭でさらし者になっていたが、
いつの間にか消滅していた。
めでたく、お買い上げと相成ったのだろう。

現在では、プラモの完成品販売は別に珍しくもないが、
40年も前に、こんな画期的なことをしていたとは!
でも、ナゼ?
状況をいろいろ考察してみると、多分こんなことでは…
(これは、私の勝手な推測です)

当時、日本では珍しいモンスタープラモが入荷して
店のオヤジは誘惑にかられて、思いあまって商品に手を
出してしまったのではないだろうか。

あのリアルなボックスアートを見ていて、子どもがもつような
強烈な好奇心がムラムラとわき起こってしまい、
「ちょいと一杯のつもりが、いつの間にやらはしご酒」的状況に
なってしまったのだ。

パッケージをこっそり開封してみる。
パーツがギッシリ詰まっているゾ。
これは何かな?
オッ、ドラキュラの顔じゃないか!
こんなにリアルなのか。

うーん、我慢できない。
ミイラ男の中身は、どうなっているのだろう?
嗚呼、ダメだ。
オオカミ男の中身も見てみたい。
ええい、開けてしまえ!

このミイラ男を組み立てたら、
どんなふうに出来上がるのかな。
マルサンの塗料を使ったら、かなりリアルな
仕上がりになりそうだ。
ええい、作ってしまえ!
ついでだ、フランケン、せむし男も作ってしまえ!

オーロラというメーカーは、メチャおもろいのう。
…うん?
ふと気がつくと、背中に何やら殺気だったものが…
恐る恐る振り向くと、オヤジは凍りついた。

そこには自己の欲求のため、店の高額商品に手をつけた夫に対し
怒りの鉄槌を下そうと、フライパンをかざした妻の姿があったからだ。
モンスタープラモがひとつ売れれば、今夜の夕飯は家族全員で
トンカツが食べられるのに!
私のヘソクリも、できないじゃないか。
こいつは、いったいいくつ作るつもりなのか。
家計を預かる主婦としては、怒るのも当然だ。

「ま、待て!
 オレは、いま画期的な販売方法を考えているんだ。
 これなら、絶対売れる.。
  いま、オレをぶん殴ったら、一生後悔するぞ。 」
絶体絶命、追いつめられたギリギリの状況で
必死の思いで脳ミソから絞り出されたアイデアが、これだったのだ。

※上記の話は、別に証拠があるわけではありません。
  事実と違っていたら、ゴメンナサイ。
  それから、この模型店は現在でも営業されているようなので
  店名はマル秘とします。

長期間店頭でさらし者になった、
かわいそうな、せむしチャン。


「エッ!オレって、かわいそうなの?」

番外編 MPCの広告



MPCの広告は、同じモンスターものでもナントナク楽しそう。
オバケがビコーンと飛び出すカラクリも新鮮。
これもメーカーの個性の違いか。

次回の更新は、3月31日夜です。