絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

レッドストーン編No5「組立図を楽しむ2:レベル旧本社周辺の画像付」

2006年08月29日 | プラモデル

5時限目:テーマ「組立図を楽しむ2」


前回に引き続き、レベルの広告内容を考察していきます。
アイテムの種類としては、大別して‥‥(ただし、鉄道模型関係は除きます)

ロケット関係(ミサイル関係とは、まだ明確に区別されていないようですが)
                                                
ミサイル関係(軍用車両関係と重複する部分もあり)

航空機関係

船舶関係

軍用車両関係(ミサイル関係と重複する部分もあり)

帆船関係

自動車関係

‥‥と、1958年の時点で、すでに陸・海・空各ジャンルが、ある程度確立していたことが
わかります。しかし、その中でもロケット・ミサイルものは確立してからまだ日も浅く、他のジャンルと扱いが違っていたことが、広告の文言からもうかがえます。
広告の中で、各ジャンルごとにいろいろと能書きが書かれているのですが、たとえば「世界最大級の‥」だとか、「本物ソックリの‥」だとか、「完全なコレクション」だとか、宣伝文句テンコ盛りの状態なのですが、ミサイル・ロケットものだけに使用されて、他のジャンルにはまったく使用されていない言葉があります。
その言葉は、何だと思いますか。それは「いますぐに、コレクションをはじめよう」なんです。他のジャンルでは、こんな表現はありません。

「12を超える、本物ソックリのロケット時代のホビーキット。いますぐに、コレクションをはじめよう!」‥こんな調子です。
スプートニクショックの結果、突然
ミサイル・ロケット時代に突入したアメリカの状況と、時流に何とかうまく乗って、商売を拡大したいという企業の姿がよくわかります(どこの企業でも、同じですネ)。
事実、レベルは1958年から1959年にかけて、20数種類のミサイル・ロケットキットを精力的に開発します。その開発ペースたるや凄いもので、一気にやりとげた、そんな感じです。また、キットの品質もわずか1年の間で、驚異的に向上しました。1958年開発のレッドストーンと、1959年開発のアトラスでは、その内容の差にビックリします。アトラスは、あとで取り上げる予定ですが、数あるミサイルキットの中でも最高傑作の出来で、発射台まで精密に再現してあります。
ただし、ミサイル・ロケットキットの開発も1959年あたりがピークで、その後はストップしてしまいました。ナゼかというと、売れ筋にならなかったからです。WW2航空機やAFVものと違って、当時のミサイルものはコンスタントに売れるアイテムではなく、どちらかというとブームに乗ったキワモノ的要素が強かったから、といえそうです。
その後のマーキュリー、ジェミニ、アポロ計画の成功により、関連商品が発売されることはあっても、1958~59年のようにミサイルキットが大量に開発・発売されることはありませんでした。


最後に、前から少し気になっていたのですが、レベル本社所在地(当時)は
4223 Glencoe Avenue Venice California となっており、ナゼ米国にVenice
(イタリアのベニスと同じ綴り)があるのかな、と思っていました。
調べたところ、1905年、イタリア出身の不動産屋が、この地をベニス風のリゾート地として開発したのがそもそもの発端で、街中のあちこちに運河を設けてリッチな雰囲気をかもし出していたそうです。
位置的には、ロサンゼルス郊外にあり、サンタモニカの隣町になります。
観光地としてはベニスビーチが有名で、観光ガイドにも名前が載っています。
また、大規模なヨットハーバーがあり、けっこうお金持ちが多いところでもあります(?)。写真は上記レベル所在地住所をグーグルアースで検索したもので、写真中央部に企業らしき建物(レベル旧本社?)が見えます。レベルはモノグラムと合併後は、本社を移転させているので、現在この地で稼働しているのかどうかは不明です。
写真左上には、ヨットハーバーがあり、さらにその後ろには太平洋の海が見えます。

ちなみに、この地へ行くには、日本からヒコーキに乗ってロサンゼルス空港まで行き、そこからクルマで405フリーウェイ(サンディエゴフリーウェイ)に乗って、走ること30分。ベニスブルーバードで降りれば、そこがベニス(‥らしい。私は行ったことがないので)。


次回は、またまた「組立図を楽しむ3」です。
 

※ドイツレベル創業50周年記念キットが、いよいよ入荷します。
 ジュピターCを購入したら、ここで取り上げます。お楽しみにネ。