2時限目:テーマ「ボックスアートを楽しむ2」
レッドストーンのパッケージ側面の絵に、注目してみましょう。左側の絵は、M56スコーピオンで、右側はYak25です。双方ともRichard Kishady氏の作品で1950年代後半、Revellのボックスアートの多くを手がけています。
ボックスアートというと、今では色彩豊かなリアルな絵が当たり前ですが、Revell初期のものは、簡単なイラスト風のもので、色もせいぜい2~3色程度、イメージとしては日本の駄菓子屋で売られているオモチャのパッケージみたいなものでした。
Revellとしては、ライバル会社との差別化を図る意味もあったと思いますが、Kishady氏の豊富な色彩を用いた作品の採用は、今日のボックスアートの原点になったといっても過言ではないでしょう。
M56のボックスアートは、戦場がもつ乾きをともなった熱気というか、暑さというか、そんな雰囲気が伝わります。背景の色がそう思わせるのでしょうが、それと対照的なのがYak25で、こちらはかなり寒々とした雰囲気で、いかにもソ連(いまでは、なつかしい名称ですね)というイメージをかもし出しています。ふたつの絵を対比させて、寒暖の差をうまく表現しようとしたのでしょうか(チョッと考えすぎかな)。
それから、このYak25などよく資料があったものだと思います。ジェーン年鑑みたいな軍事関連書籍に掲載されていた写真を、参考としたのでしょうか。話しは脱線しますが、当時の「鉄のカーテン(これも死語ですね)」内の兵器というのは、ナゾの部分が多くて、かつてオーロラやリンドバークが出していたヘンテコリンなミグ19みたいなお楽しみができて、好きなんです。兵器のいろいろな情報が交錯した結果、架空の兵器が生まれてしまう。やがて、それがひとり歩きをして、架空の兵器に怯えてしまう国がでてくる。複雑怪奇ですね。
なお、この時期のRevellソ連ものプラモとして、T34、バイソンがありますが、T34は朝鮮戦争等で捕獲した実物があったと思うので、資料的には困らなかったでしょうが、バイソンはどうだったのでしょうか。バイソンが領空侵犯した際、スクランブル発進した米国、または西側諸国の戦闘機が撮影した写真の内、一般公開されたものを資料としたのでしょうか。
最後になりますが、M56、Yak25の絵の下に、世界最大級のコレクションだ、みたいな文言が見えます。当時の同社のカタログによれば、100種類以上のアイテムが掲載されており、Revellの自信・誇りみたいなものが感じられます。