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印刷図書館倶楽部ひろば

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ポーランドポスター展作品集「Polish poster 1950-1960」のご紹介

2013-01-30 16:21:11 | 蔵書より
「Polish Poster 1950-1960」
 ―ポーランドポスター展 作品集

・編集;松浦昇/田中あづさ/紫牟田伸子
・発行;ポーランドポスター展実行委員会
・体裁;B5判/196ページ


    


 本書は、2012年11月に横浜で開催されたポーランドポスター展で公開された、同国の国立ヴィラヌフポスター美術館所蔵のポスター150点を収録した作品集である。


 ポーラランドのポスターは、世界のグラフィックデザインの歴史のなかでも、比類のない存在として知られるが、本書には、黄金期であった1950年代、60年代の珠玉の作品が漏れなく収められている。今でも若手デザイナーの登竜門とされる公募展「ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」は、この頃に始まっているのだ。


 本書は、①1955年以前・ポーランド独立直後のポスターの力、②1955‐1965年・ポーランドポスター学校に集うデザイナーたち、③1965年以降・広がるデザインの力――の3章で構成され、これらの前段にはヴィラヌフポスター美術館のコレクション、ポーランドポスター学校についての詳細な解説文が載っている。


 ポーランドにおける当時のポスターは、社会主義体制のもとで殆んど映画や音楽、演劇を紹介するものであったが、それらは全て力強いイラストで描かれた個性的な作品であった。エネルギー溢れるポスターが市民を励まし、生きる希望と勇気を与え続けてきたに違いない。そんなポスターの数々を本書でみることができる。


 第1回コンクールで金賞を受賞した日本におけるグラフィックデザイナーの第一人者、永井一正氏も本書に「ポーランドポスターの魅力」と題して寄稿。そのなかで「ポスターを心から愛し、そのコミュニケーションとしての機能の他に、芸術性を鑑賞する市民の鑑賞眼に支えられて、ポーランドのポスターは世界でも独自の個性豊かな芸術性の開花を見たのであろう。その表現は力強く人間の生を魂の塊としてとらえ、見る者を引きつける魅力に満ちていた」と語っている。