※過去記事はコチラからどうぞ~
「両国大相撲殺人事件」
「赤鬼奉行」
どうやら…「だいわ文庫」という所から、「文春文庫」へと移籍したらしい
今回も奇談集「耳袋」を書いた赤鬼奉行こと
南町奉行の根岸肥前が、自身が見聞きした不思議な話しを織り交ぜながら
江戸の町に起こった事件を解決していくお話しなのだが…
出版社が移転したからだろうか? なんぞ問題でもあったんじゃろうか?
主人公の赤鬼奉行を水戸黄門に置き換えると
その脇を固める「助さん」「角さん」の両名が、コロっと変わってしまっていた。
シリーズで行くと「妖談うしろ猫」で11作目となるのだが
10作目まで登場していた「坂巻弥三郎」と「栗田次郎左衛門」が、何のご挨拶もなく消え
11作目からいきなり「椀田豪蔵」と「宮尾玄四郎」なる者に取って変わられておった。
ちょっと驚いたので、本文もソコソコに「あとがき」を見たが、まったくのスルー(笑)
前作までの「坂巻と栗田」を結構気に入っていた私しゃ、ちょっとショックであった。
なかなか馴染めぬ二人の登場に、頭が付いていかずに混乱したが…
椀田は背丈が六尺(約180cm)。
剣の腕は立つが嫁に行かない姉がおり、この姉がまた怖い(笑)
母を早くに亡くし、姉に育てられた部分もあるので、頭があがらない状態。
幼少時に姉に驚かされた記憶があるので…幽霊が苦手である(笑)
根岸と共に幽霊ありな、このシリーズ。どうやって乗り切るんじゃろうか?
少々、意地悪く楽しみでもある(ハハハハ)
宮尾は手裏剣の名手。最近根岸家の家来となった。超が付く美男子である。
が…女に持てることこの上ないのに、なぜか美人に目もくれず
いわゆる「ブス専門」を貫いているところが、たまらなく面白い。
椀田の姉が宮尾に一目惚れしたようなのだが…美人ではない姉であったため
脈ありっと見られる(笑) 二人の行く末が気になるの~
お話しの殆どを引っ張る二人が変わってしまったので
話しが持つ雰囲気も少々変わってしまった感がある。
とはいえ、妖しい雰囲気をかもし出しつつ、不思議と思える事柄も
その裏側、真実の部分には「人」が居る。ってな話しの展開には変わりがない。
むしろ「新」と銘打てば、なんの違和感もなく受け入れてしまったかもしれない。
今回のシリーズでは、「闇の団体さん」が行脚している。
シッポは見えているが…なかなか本体が拝めない。
これ等と根岸が、どう決着をつけるのか? それも楽しみの一つとなった。
文章がシッカリとしている作品なので、江戸モノ作品に興味がある方は
必見な作品だと思う。
ところで「耳袋」と言うと妖しい話ばかりと思われるが、そうとも言えない
根岸が見聞きした、「このまま忘れるには惜しい」っと言う話が載っているのである。
内容も笑い話、英雄・豪傑の逸話、よく効く薬、人情話に教訓話と多彩で
有名になってしまった「怪談話」ばかりではないのだ
ちょっと笑えるのが「お金を貯める工夫のこと」
風雨や地震などがあると家来を呼び
「昨夜の嵐で屋敷にどれほどの損害があったか?」と尋ねる。
家来もそれに応じて『このような被害が生じ、修理には何十両かかります』と答える。
これを、修理したつもりになって貯金するのだ。
ばかばかしいようだが、贈答、冠婚葬祭、朝夕昼夜、すべてにわたり
このようなきまりを設けていたので、だんだん金が貯まるのだということである。
また、これから仕事を進めるにあたり、心得ておくことは何か?っと問うた者に
「すべて人に相対するときは身分の上下に関わらず、
ひとつ心で接することを心がけるべきでありましょう。
しかし、最も肝心なのはその際、真心をもって接することであると存じます」
っというような答えを出したとの逸話や
片目の妻を貰った夫が、つい、ケンカした折に妻の目のことをなじった時
「みめよきは夫の為のふた眼なり女房は家のかためなりけり」っと詠った
意味は…
妻の容姿が優れているのを夫は喜ぶものですが、
家の固め(片目)となることこそ本来の役目です
こんな風に妻に切り替えされたら、夫はグーの根も出ない(笑)
など、う~~ん、と唸るような作品も沢山載っている。
「耳袋」っと言えば「怖い話」っと現代では位置づけられているが
そうともいえず、現代でも十分に役に立つ話が載っているので少し勿体ない(笑)
機会があれば、「耳袋」を読んでみるのも面白いと思う
ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)
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