満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

雨柳堂夢咄(其ノ十二) 作:波津彬子

2008-04-28 | 漫画紹介


以前も紹介したが波津さんの「雨柳堂夢咄」に新作が登場した
以前の記事はコチラからどうぞ~

現在「雨柳堂夢咄」は雑誌ではお休み中
そして単行本として出たのは2年ぶり
波津さんの事情によると…何やら大人の事情があるとか(笑)
漫画読みを生業にしている私らは
多分人より気が長い妖怪が多いので…大丈夫
待ちますよ~何時までも(ハハハハハハハ)

今回はいつもよりも多い九本のお話が収録されています
中でも私が好きだな~っと思った作品は
「風にのる」

生まれた時に母親が亡くなり
3歳の時に父親が亡くなった足の不自由な少年が
お祖父さんとお祖母さんに育てられ
近所の子供らにイジメられながらも、一生懸命に生きていた

お祖父さんの家は武士の出だったので
摩利支天を守り本尊としていた
そしてお祖父さんは不憫な孫に、この神様が守って下さるっと
いつも、いつも言って聞かせていた

「よいか、おまえは
足のことを恨んだりひがんだりしてはいかんぞ
そんなふうに生まれついたのも
おまえが乗り越えられる強い者だからだよ
世の中に出ればもっと辛いこともある
人よりたくさん勉強しなさい
それがお前の力となる」
そうお祖父さんは子供を諭していた

それでも彼は時々だが…自分の足が恨めしく感じる事があった

ある日、少年が外へ出ていたときにお祖父さんが亡くなってしまった
少年はお祖父さん危篤の知らせを聞いたが
足が思うように動かず間に合わなかったのだ
お祖父さんに「恨むな」っと言われても
やっぱり思う様に動かない足がうらめしかった

原っぱで思わず悲しさと悔しさとで泣いていると
そこへ、彼方空から大きなイノシシに乗った童子が現れた

「お前・・・泣いているのか?」
っと言いながら少年をイノシシの背に乗せ
イノシシと少年と童子は空を駆け巡ったのである

雨柳堂ってな骨董屋の話にしてはファンタジーってな展開であるが
長じて足の不自由な子は書画の達人となった
彼の作品の中に陶器で作ったイノシシの香炉がある
そのイノシシの背には童子が乗っておった

この香炉をめぐるお話が「風にのる」である
摩利支天はイノシシに乗って空を飛ぶと言う

作者の波津さんはイノシシ年の生まれ
かくいう満天さんもイノシシ年生まれである

猪突猛進なんぞと言うが…デッカイ猪の背に乗って
ビューっと空を飛びたいな~なんぞと思う

他八本の作品も至宝の作品である
ぜひ、機会があれば読んでみてくだされ~





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