バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

バー・レッズン vol.5 デヴロッペ‐トンベ

2010-11-11 11:21:03 | 日記
トンベ(=tombe)は、落ちた、落下したという意味の言葉が語源になっている動きです。
様々なパとパの繋ぎの動きとしてアンシェヌマンに組み込まれます。
では始めましょう。
左手バーで右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バからプレパラシオンでア・ラ・スゴンドへ。デヴロッペの脚の高さは90度で結構です(勿論それより低くても大丈夫)。
→8 プレパラシオン⇒1 右脚をルティレに→2 デヴロッペ‐ドゥヴァン→3 左脚ルルヴェ→4 右脚ア・テール‐ドゥミ・プリエに重心移動→左脚を5番に引き付け両膝を伸ばす⇒5 右脚ルティレ→6 デヴロッペ‐ア・ラ・スゴンド→7 左脚ルルヴェ→8 右脚ア・テール‐ドゥミ・プリエに重心移動⇒1 左脚に重心を戻して膝を伸ばす→2 右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→3 右脚後ろ5番→4 休止⇒5 右脚ルティレ→6 デヴロッペ‐デリエール→7 左脚ルルヴェ→8 右脚ア・テール‐ドゥミ・プリエに重心移動→左脚を5番に引き付け両膝を伸ばす⇒1 右脚ルティレ→2 デヴロッペ‐ア・ラ・スゴンド→3 左脚ルルヴェ→4 右脚ア・テール‐ドゥミ・プリエに重心移動→5 左脚に重心を戻して膝を伸ばす→6 右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→7 右脚前5番ポジシオン→8 休止⇒
このデヴロッペをした脚の方に重心を移動する動きがトンベです。
最も注意しなければならないことは
デヴロッペで上げた脚を下ろしてその上に重心を移すのではなく、後ろから前へ、左から右へあるいは前から後ろへ重心が押し出されて移動するから、上げていた脚が“落ちる”
ということです。
デヴロッペ‐ドゥヴァンから前方へトンベをした場合、ポワン・タンジュ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエの爪先の位置よりもさらに前方に移動していなければなりません。
トンベのあとトルソーを載せた脚はきちんとターン・アウトを守っていますか?
前方へトンベをしたあとのトルソーは背中が丸くなったり、前屈みに倒れたりしていませんか?背中・胸をしっかり引き上げておきましょう。
前方にトンベをしたにも関わらず、ポワン・タンジュ・デリエールにした元の軸脚の上や中途半端な位置に重心が残っていませんか?それではトンベのあとでデガージェに脚を上げる動きのときにバランスを保っていられませんよ。
デヴロッペ‐ア・ラ・スゴンドから横方向へトンベをしたとき、重心を移した脚はきちんとターン・アウトを守っていますか?中途半端な位置に重心が残っていませんか?
後方へのトンベはポワン・タンジュ・デリエール‐ドゥミ・プリエをしたときの爪先の位置よりもさらに後方に移動しなければなりません。
後方へのトンベをする瞬間にウエストの辺りからトルソーが反って身体の中心軸がズレていませんか?それではトンベをする前に上げた脚が落ちてしまいますよ。
後方へのトンベのあとトルソーを載せた脚のドゥミ・プリエはターン・アウトを守れていますか?腰が引けて“お辞儀”のようにトルソーが前傾していませんか?
トンベは“落ちる”ような動きですが、だからといってドスン ゴツンといった落下音は禁物です
動きそのものは至って単純なトンベですが、いずれはグラン・バットマンからのトンベや直後に方向転換を伴うトンベなどもいずれは練習することになります。そのためにもまずは基本となるトンベをきちんと習得しておきましょう。

バー・レッスン vol.5 フリック・フラック

2010-11-08 08:34:34 | 日記
今回はフリック・フラック(=flic-flac)を練習しましょう。
この動きは、バー・レッスンのときにバットマン・フォンデュやバットマン・フラッペに取り入れられています。
フリック・フラック(=flic-flac)とは、ぴしぴしとかぴしゃぴしゃという擬音のことです。
名前が意味するとおり、歯切れのよい素早い動きが求められます。
では始めましょう。
左手バーで右脚前5番ポジシオン。
7→8 右脚を低いデガージェ・ア・ラ・スゴンドに→1 膝を曲げて足指の裏で床を擦ってク・ドゥ・ピエ・デリエールに引き付ける→& 膝下を軽く開いて再び足指の裏で床を擦って→2 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァンに引き付ける→& デガージェ・ア・ラ・スゴンドに脚を開くと同時に軸脚はルルヴェ
これがフリック・フラック・アン・ドゥオールです。
アン・ドゥダーンは先にク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァンに引き付けます。
足指の裏で床を擦るときに、カカトが低く下がらないように足首をしっかり引き上げておきましょう。
それではバットマンン・フラッペフリック・フラックを組み合わせて練習してみましょう。
左手バーで右脚前5番ポジシオンから。アームスはプレパラシオンでア・ラ・スゴンドに。
プレパラシオン→8 右脚ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン⇒1 フラッペ・ドゥヴァン→ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン→2 フラッペ・ア・ラ・スゴンド→ク・ドゥ・ピエ・デリエール→3 フラッペ・デリエール→ク・ドゥ・ピエ・デリエール→4 フリック・フラック・アン・ドゥダーン→5 フラッペ・デリエール→ク・ドゥ・ピエ・デリエール→6 フラッペ・ア・ラ・スゴンド→ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン→7 フラッペ・ドゥヴァン→ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン→8 フリック・フラック・アン・ドゥオール⇒…
まず最初のフラッペ・デリエールのあと、すぐにフリック・フラックをするためにク・ドゥ・ピエ・デリエールに引き付けた脚をア・ラ・スゴンドに開くのが遅れないように気を付けましょう。
フリック・フラック・アン・ドゥダーンのあと、改めてフラッペ・デリエールを始めるために、軸脚はア・テールに下り、同時に動作脚をク・ドゥ・ピエ・デリエールに引き付けます。ここでもカウントに遅れないように気を付けましょう。
フリック・フラックのあと軸脚がア・テールに下りるときに、脱力したように“落っこちて”はいけません。素早くではあっても、足裏でスポンジの水を押し出すように丁寧な動きでア・テールをしましょう。トルソーを吊り上げておくことを忘れずに。
フリック・フラックは今回練習した基本の動きを習得したら、次は半回転しながらの動き、そして1回転しながらの動きへと発展していきます。上級クラスになると、1回転のフリック・フラックの終わりがアラベスクやアティチュードなどのポーズになったりもします。本来1カウントの中での動きですから、動作脚の動きにトルソーのコントロールを乱されないように気を付けなければなりません。
まずは基本の動きをしっかり、はじめはゆっくりのテンポでかまいませんから、2カウントで動きを収められるように、そして1カウントで、それからテンポを速くして同じく2カウントから、と丁寧に練習していきましょう。

バー・レッスン vol.5 バットマン・フォンデュ

2010-11-04 14:14:31 | 日記
前回練習したパ・ドゥ・シュヴァル、滑らかに膝下が動かせるようになりましたか?
今回はバットマン・フォンデュですが、バットマン・タンジュのときに練習したように、方向を変えながら行います
では早速始めましょう。
左手バーで右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バ。
アームスをアン・ナヴァンに→8 アームスをア・ラ・スゴンドに開くと同時に右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド⇒1 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ→2 デガージェ・ドゥヴァンにフォンデュ→3 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ→4 エファッセ・ドゥヴァンにフォンデュ→5 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ→6 デガージェ・ア・ラ・スゴンドにフォンデュ→7 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ→8 エファッセ・デリエールにフォンデュ⇒1 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ→2 デガージェ・デリエールにフォンデュ→3 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ→4 エカルテ・デリエールにフォンデュ→5 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ→6 デガージェ・ア・ラ・スゴンドにフォンデュ→7 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ→8 エカルテ・ドゥヴァンにフォンデュ⇒…
いかがですか?安定した方向転換が出来ますか?
方向を変えるときの大切なポイントはバットマン・タンジュのときと同じですが、今度は軸脚のドゥミ・プリエが加わりますから、もう少し注意が必要です。
始めのデガージェ・ドゥヴァンにフォンデュをしたあと、ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァンに動作脚を引き戻しながらドゥミ・プリエをし、同時にエファッセ・ドゥヴァンの方に向きを変えます。このとき、軸脚のカカトを引き過ぎてはいけません。
エファッセでドゥミ・プリエをしたとき、背中を丸めて下を向いたりしてはいけませんよ。とくにポール・ドゥ・ブラを伴うようになると、アン・バに下げた手に視線を向ける頭部の動きが過剰になって背中が丸くなりがちですから、気を付けましょうね
デガージェ・ア・ラ・スゴンドにフォンデュをして、ク・ドゥ・ピエ・デリエールに動作脚を引き戻しながらドゥミ・プリエをし、同時にエファッセ・デリエールの方に向きを変えます。このとき軸脚のターン・アウトが不十分だと、腰が引けて“お辞儀”のようなトルソーになりますから気を付けて下さいね
デガージェ・デリエールのフォンデュのあと、ク・ドゥ・ピエ・デリエールに動作脚を引き戻しながらドゥミ・プリエをし、同時にエカルテ・デリエールの方に向きを変えますが、軸脚のカカトを引き過ぎてターン・アウトが失われたり、バーにもたれかかるようにトルソーが傾いたりしてはいけません
エカルテ・デリエールのフォンデュは、重心はあくまでも軸脚の土踏まずの上に支えます。動作脚に重心が引きずられてしまいバーにしがみ付くことで“ようやく立っていられる”ようなことにならないように気を付けましょう。
デガージェ・ア・ラ・スゴンドにフォンデュをして、ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァンに動作脚を引き戻しながらドゥミ・プリエをし、同時にエカルテ・ドゥヴァンの方に向きを変えますが、軸脚をさらにターン・アウトするつもりで向きを変えましょう。
エカルテ・ドゥヴァンにフォンデュをしたときに、くれぐれも骨盤が軸脚のほうに落ちてトルソーが歪まないようにしっかりひきあげるようにしましょうね。
今回はアームスはア・ラ・スゴンドにおいたままで練習しました。
フォンデュと同時にポール・ドゥ・ブラをすることも必要で大切なことですが、アームスの動きに気をとられてトルソーや軸脚のコントロールが中途半端になっては困ります。また、アームスを必要以上にウネウネと動かしたりトルソーを揺らしたりして、“雰囲気”を出しているつもり、の勘違いに陥っては正確で美しいバットマン・フォンデュは身に付きませんし、身体の鍛錬にもなりません。
まずはきちんと方向を変えながらフォンデュが出来るように練習しましょう