バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

センター・レッスン vol.2 グラン・ジュテ・アントルラセ

2010-02-22 16:08:54 | 日記
今回練習するのはグラン・ジュテ・アントルラセです。
アントルラセ(entrelace)には絡み合わせる交錯させるという意味があります。
華やかで大きなアンシェヌマンに発展していく動きですから、もっとも基本の跳び方をきちんと練習しましょう。
鏡に対してアン・ファス、左脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァンで準備して下さい、アームスはアン・ナヴァンです。
左脚を前に1歩踏み込んでトンベ→後ろ側にある右脚を前に大きく振り上げて、左脚で跳び上がる。
すぐに左脚を、先に振り上げた右脚の方に引き上げながら、左に半回転。
さらに左脚を引き上げ、右脚のドゥミ・プリエで着地。
着地した時のポーズは1番アラベスク・ドゥミ・プリエ、左脚のアラベスクです。
右脚を前に振り上げて跳び上がるときアームスをアン・オーに素早く引き上げます。このアームスの動きで跳躍に移るトルソーの動きを助けましょう。
動きの構造は理解できましたか?
では大事なポイントを確認しておきましょう。
左脚が十分に上がりきらないうちに、右脚で着地してはいけません。着地してから慌てて左脚を振り回すように後ろにあげる動きは腰を傷める原因になりますよ
着地してから、着地の反動で無理にアラベスクの脚を高く上げようとしてはいけませんね。ウエストの後ろ側を無理に縮めてしまって腰に負担が掛かってしまいます。
着地のアラベスクのポーズで、トルソーが“お辞儀”のように前に流れないように気を付けて下さいね。着地しても、空中にいるつもりでトルソーを引き上げておきましょう。
正確な脚の入れ替えや半回転が出来るようになるまでは、脚を高く上げる必要はありません。跳躍を助ける助走のパが先行するようになれば、高く跳びあがれるようになりますし、脚も上げやすくなります。まずは正確な動線を覚えて身に付けましょうね
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、空中で両脚を一瞬揃えてから、左脚は後の方に右脚は前にグラン・バットマンをする、と動きのイメージを伝えています。
この一連の動きを横から見てみると、先に高く上がった右脚を左脚が追いかけ、空中で両脚が交差して、左脚をアラベスクに上げたポーズになってから着地します。この空中での脚の動きがアントルラセです。
アン・オーに引き上げたアームスはトルソーが半回転したら、右をアン・ナヴァン、左をア・ラ・スゴンドの1番アラベスクのポジシオンに開きます。
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、アームスを開いて降ろすことで、全体の動きに着地のための下向きの方向性を与える、とイメージを伝えています。
アントルラセの練習をする前に、トンベから後側の脚を前方に振り上げて同時に跳び上がる(もちろんアームスをアン・オーに引き上げるタイミングは脚を振り上げるのと同時です)という部分だけを練習して、跳び上がることに身体をならしておくのも、スムーズにアントルラセに移るためには効果的ですよ
グラン・ジュテ・アン・ナヴァンと同じようにグラン・ジュテ・アントルラセも、グリッサードやシャセなどのパが助走を助ける動きとして先行するようになります。そのとき、助走のパの勢いに負けてバタバタ・ガクガクした動きにならないように、基本の動き、アームスの引き上げや両脚の交差、着地のポーズなどの動きをきちんと練習しておきましょう。



センター・レッスンん vol.2 パ・ドゥ・ブーレ・グリッサード・グラン・ジュテ

2010-02-18 11:22:08 | 日記
グラン・ジュテ・アン・ナヴァンの、今回はもっとも一般的でオーソドックスなアンシェヌマンを練習してみましょう。
パ・ドゥ・ブーレ・グリッサード・アン・ナヴァンです。
まずは基本の形から。
右脚前5番ポジシオンで準備して下さい。
ドゥミ・プリエ→右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→パ・ドゥ・ブーレ・ドゥシュ→グリッサード→グラン・ジュテ・アン・ナヴァン
パ・ドゥ・ブーレはク・ドゥ・ピエやルティレにピック・アップをしない、5番ポジシオンと2番ポジシオンのドゥミ・ポワントで移動する方のパ・ドゥ・ブーレを素早く行ないます。
パ・ドゥ・ブーレを5番ポジシオン・ドゥミ・プリエにおさめたら、次のグリッサードをしながら、跳び上がる方向=右向きにトルソーの向きを変え、右脚後の大きい4番ポジシオン。
後ろ側の右脚を前方に振り上げて跳び上がり、右脚ドゥミ・プリエ、左脚アラベスクで着地します。
アームスの動きは、
はじめの5番ポジシオン・ドゥミ・プリエでアン・バ→ パ・ドゥ・ブーレのときにアン・ナヴァンからア・ラ・スゴンドに開き→グリッサードのあとの大きい4番ポジシオンではアン・バに下げる。
グラン・ジュテで跳び上がるときには、左腕をアン・ナヴァン、右腕をア・ラ・スゴンドにして、そのままのアームスで着地。
パとパのつながり、アームスの動きは分かりましたか?
パ・ドゥ・ブーレ-グリッサード-グラン・ジュテ・アン・ナヴァン・エファセ
右脚前5番ポジシオン、鏡に対してアン・ファス。
→2 5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ→3 右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→ 右前5番ポジシオン・ドゥミ・ポワント→2 2番ポジシオン・ドゥミ・ポワント→3 左前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ→ グリッサード→2 &3 左脚前大きい4番ポジシオン→ 右脚を前方に振り上げてグラン・ジュテ→2 →3 右脚ドゥミ・プリエ、左脚アラベスクで着地→ ポゼ→2 左脚を降ろして右脚前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ・アン・ファス→3 ポゼ→… →…
最後の5番ポジシオン・ドゥミ・プリエをするところで、鏡に対してアン・ファスにトルソーの向きを戻しましょう。
パ・ドゥ・ブーレ-グリッサード-グラン・ジュテ・アン・ナヴァン・クロワゼ
左脚前5番ポジシオン、鏡に対してアン・ファス。
→2 5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ→3 右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→ 右前5番ポジシオン・ドゥミ・ポワント→2 2番ポジシオン・ドゥミ・ポワント→3 左前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ→ グリッサード→2 左脚前大きい4番ポジシオン→3 右脚を前に踏み込んでトンベ→ 左脚を前方に振り上げてグラン・ジュテ→2 →3 左脚ドゥミ・プリエ、右脚アラベスクで着地→ ポゼ→2 左脚を降ろして左脚前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ・アン・ファス→3 ポゼ→… …→
いかがですか?
ジャンプのイメージがつかめるようになりましたか?
ここで練習しているのはあくまでも最も基本になる動き方です。5番ポジシオン・ドゥミ・プリエからポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドへ、という動き方をご紹介しましたが、この部分もプティ・デヴロッペではじめたり、5番ポジシオンからではなくポワン・タンジュ・デリエールで準備することがほとんどであったりします。また、パ・ドゥ・ブーレの前にトンベをいれたり、プレパラシオンの動作としてデヴロッペ‐ルルヴェなどさまざまな動きを先行させたりして複雑にもなります。すこし大げさな言い方になりますが、振付師の、そして教師の発想の数だけアンシェヌマンはある、と考えて下さい。一つの動き方=順番を覚えたらそれに捉われてしまって、動きや組み合わせの変化に対応出来ないようでは困りものですよね

センター・レッスン vol.2 グラン・ジュテ・アン・ナヴァン・クロワゼ

2010-02-16 08:19:53 | 日記
グラン・ジュテ・エファセを先に練習しましたので、今回はクロワゼを練習してみましょう。
右脚前5番ポジシオン・エファセで立って下さい。
右脚を1歩前に踏み込んで大きい4番ポジシオン、そこから後ろ側の左脚を前方に振り上げて跳び上がり、左脚のドゥミ・プリエに着地します。着地のとき右脚はアラベスクです。
アームスは跳び上がるのと同時に右腕をアン・ナヴァン、左腕をア・ラ・スゴンドに開きましょう。
これが基本のグラン・ジュテ・クロワゼです。
それでは、グリッサードと組み合わせてみましょう。
右脚前5番ドゥミ・プリエ・エファセ。
グリッサード→2 左脚前大きい4番クロワゼ→3 右脚1歩前に踏み込む→ 左脚グラン・ジュテ・アン・ナヴァン→2 左脚ドゥミ・プリエで着地→3 5番ドゥミ・プリエ・クロワゼ
これは1回のグラン・ジュテ・クロワゼで終わる場合の順番です。
連続して行う場合は、着地のときにアラベスクしている脚をおろし、1番ポジシオンを通過させてそのままグリッサードにつなぎます。
グリッサードの次に1歩前に踏み込むパはトンベ(tombe=落ちる・落下する)というパですが、次の跳躍のための“バネ”を貯めるステップと考えるといいですよ。
グリッサードをするとき、後から追いかけて来る方の脚が、膝や爪先から先に動いてこないように気を付けて下さいね。股関節のターン・アウトを忘れてはいけません。
グリッサードとトンベで十分に“バネ”を貯めてから、大きく脚を振り上げて跳びましょう。
グリッサードとトンベが駆け足のようにバタバタと乱雑な動きになってはいけませんね
グリッサードとトンベはあくまでも跳躍を助ける助走のパです。助走よりもグラン・ジュテの動きが小さくなるようでは困ります
グラン・ジュテ・アン・ナヴァン・エファッセのときにもお話しましたが、前方に振り上げた脚をスグに降ろそうとしてはいけません。すぐに降ろしてしまうと、ただ乱暴に脚を踏み変えただけ、の動きに見えますよ。踏み切る(=跳び上がる)脚がアラベスクに上がりきるまで前方に振り上げた脚は降ろさない、とイメージしておくといいでしょう
後側の脚をアラベスクに伸ばしたままで跳ぶグラン・ジュテを練習しましたが、後側の脚をアティチュード・デリエールにすることもあります。どちらの場合でも両脚の内腿をしっかり引き上げて脚を前後に上げることが大切です。
何度もいいますが、単なる力任せのジャンプは決して美しいものではありません。美しく躍動感のあるジャンプを目指しましょうね。

センター・レッスン vol.2 グリッサード・グラン・ジュテ・アン・ナヴァン

2010-02-11 09:14:32 | 日記
前回はグラン・ジュテ・アン・ナヴァンの跳び方を練習しましたね。
前方に大きく脚を放り上げて跳び上がり、同時に後の方へもグラン・バットマンをするつもりで床を蹴る、でした。
ひとつアドバイスを付け加えておきましょう。
跳び上がる前も、跳んでいる間も、着地の時も、下を向かないことです。
下を向いていると、上に向かってトルソーを引き上げる力が弱くなって大きく張りのあるジャンプが出来なくなり、すぐに落下するような着地をして移動距離も短くなってしまいますよ
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、自分が飛んで行きたいと思う高さに視線を向けておきなさいとアドバイスしています
今回は少し大きな動きにするために、グラン・ジュテに助走のパを組み合わせてみましょう。
右脚前5番ポジシオン・エファセで立って下さい…、そう、右斜め45度の方向を向いていますね。
ドゥミ・プリエから右脚をポワン・タンジュに伸ばし、素早くグリッサードをして、左脚前の大きい4番ポジシオン、その位置から動きを停めることなく右脚を放り上げてグラン・ジュテを跳び、2番アラベスクで着地します。
右脚のポワン・タンジュからグリッサードをするとき、右脚の上にトルソーを移したら左脚を引き付けますが、このときは必ず1番ポジシオン・ドゥミ・プリエを通過して4番ポジシオンに移るようにしましょう。
分かりやすいようにカウントに合わせて練習してみましょうか
右脚前5番ポジシオン・エファセから。
グリッサード→2 &3 左前大きい4番→ グラン・ジュテ・アン・ナヴァン→2 右脚ドゥミ・プリエで着地、2番アラベスク→3 右脚前5番ドゥミ・プリエ
これは1回だけのグリッサード・グラン・ジュテをする場合のカウントですが、2回3回と続けて跳ぶ練習する場合には、着地後のカウントのところでアラベスクの脚を下し1番ポジシオンを通過させて左脚前4番ドゥミ・プリエをすると、1回目と同じカウントで続けることが出来ますよ。
グラン・ジャンプの練習をするときは、3拍子や8分の6拍子で練習するとカウントのアクセント部分に合わせて動きをまとめやすくなります。
今回練習したグリッサード・グラン・ジュテだけでなく、グラン・ジュテには様々なパが先行するのが一般的です。たとえば、パ・ドゥ・ブーレ・グリッサード・グラン・ジュテ、デヴロッペ・トンベ・パ・ドゥ・ブーレ・グラン・ジュテ、パ・クーリュ・グリッサード・グラン・ジュテ、etc.etc.…。エファッセだけでなくクロワゼでもグラン・ジュテをしますし、横方向へのドゥ・コテもありますよ。そして、上達すれば回転を伴うものも練習するようになります。
いずれの場合でも大切なことは、力任せの乱暴なジャンプではなく、大きく張りと浮遊感のあるジャンプを心掛けることですね。


センター・レッスン vol.2 グラン・ジュテ

2010-02-08 11:59:17 | 日記
アントルシャなどのプティ・バットゥリーを練習をしてきましたが、それぞれの違いを理解出来ましたか?
そろそろ大きく跳ぶパの練習をしましょう。
まずはじめにグラン・ジュテ・アン・ナヴァンです。
言葉のとおり、片方の脚を大きく前方に放り上げて跳ぶ動きです。
まずは鏡に対してアン・ファス、左脚前の大きな4番ポジシオン、アームスはアン・バで準備して下さい。
アームスをアン・ナヴァンに引き上げるのと同時に、後側の右脚を前方にグラン・バットマンをするように放り上げて、左脚で斜め前方に向かって跳び上がります。このときアームスは右腕をア・ラ・スゴンドに開き左腕はアン・ナヴァンのアロンジェにします。
右脚のドゥミ・プリエに着地して、左脚はアラベスクに伸ばして2番アラベスクのポジシオンを守りましょう。
これがグラン・ジュテ・アン・ナヴァンの基本の≪基≫です。
それでは大事なポイントの確認をしてみましょう。
大きい4番ポジシオンでは両肩が前に落ちて猫背になってはいけません。逆に、骨盤を前に押し出しすぎてトルソーが後に寄りかかるような姿勢になってもいけませんよ。
後ろ側の脚を前方に放り上げるときは、高く上げるというよりもなるべく遠くに放り出すとイメージするといいですよ。
片脚を前方に放り上げるのと同時にドゥミ・プリエをしていた脚で跳び上がりますが、このときにそのドゥミ・プリエをしていた脚で床を後の方に強く蹴り退けるイメージで膝を伸ばします。ただ、後に上げる脚側のウエストの後部分を縮めてトルソーを歪めないように気を付けて下さいね。
後の方にもグラン・バットマンをする、とイメージすると跳躍の助けになるでしょう。
後の脚が上がりきらないうちに前側の脚を降ろしたり、脚を上げる力を緩めたりしてはいけません。それでは大きく乱暴にガックン と脚を踏み替えただけの動きになってしまいますよ。
空中で両脚を前後に引っ張り合うとイメージするのが、このグラン・ジャンプのコツです。前方に放り上げた脚を慌てて降ろさなくても、地球には引力がありますからね、ちゃんと着地できますよ
ドゥミ・プリエに着地してから慌てて後の脚を上げるようなことをしてはいけません。着地したときの2番アラベスクは空中で形作っておきます。
ドゥミ・プリエに着地したとき、股関節のターン・アウトを守って膝と爪先は外に向けましょう。ターン・アウトが守れていないとドゥミ・プリエが不安定で危険です。そして膝や腰に無理な負担が掛からないようにトルソーをきちんと引き上げておきましょう。アン・ナヴァン・アロンジェにしたアームスの上にバストから上を載せる、とイメージするといいでしょう。
鏡をよく見て下さい。後ろに上げた脚が自分の肩幅または骨盤よりも外にはみ出していませんか?アン・ナヴァンに伸ばしたアームスの指先とアラベスクに上げた脚の爪先とで引っ張り合いをするつもりで1本のキレイな線を描きましょう
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、まず2番アラベスクのアームスで跳び、2番アラベスクで着地するレッスンをして、トルソーを真っ直ぐにコントロールしてグラン・ジュテが出来るようになってから、1番アラベスクのアームスで跳び1番アラベスクに降りる練習をします。トルソーを十分にコントロール出来ないうちに1番アラベスクでの練習をすると、骨盤や上体が後側の脚の方に開いてしまって、ジャンプの方向が曖昧になるからです。
現在、グラン・ジュテは空中で両脚を180度、あるいはそれ以上に開いて跳ぶのが普通になっています。両脚を一直線に引き伸ばしたジャンプは美しいものです。でもそれには自分の体重をコントロールするため、そしてより高く跳躍するための筋力や柔軟性が不可欠です。床でストレッチをするときに180度の開脚が出来ないのなら、空中で180度脚を開いたジャンプは不可能です。また、高い跳躍は素晴らしいものですが、力任せの乱暴なジャンプは決して美しくはありません。180度に脚は開かなくても、高さはなくても、空中に浮いているようなしなやかで張りのあるジャンプこそ美しいと私は思いますよ