バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

パ・ドゥ・ブーレ

2017-02-22 16:38:15 | 日記
片方の脚をルティレク・ドゥ・ピエにピック・アップするパ・ドゥ・ブーレを練習しましたので、もう一つのパ・ドゥ・ブーレ、シュル・レ・ポワントでのパ・ドゥ・ブーレも練習しましょう。
まずはパ・ドゥ・ブーレ・ドゥシュから。
左脚前5番ドゥミ・プリエ→右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→トルソーを右脚の上に押し上げて右脚前左脚後ろの5番ドゥミ・ポワント→右脚をア・ラ・スゴンドに開いて2番ドゥミ・ポワント→右脚にトルソーを移し左脚前の5番ドゥミ・プリエ。 
動き収めの5番ドゥミ・ポワントのときに、後から引きつけた脚が前側になっていますね。ですからドゥシュ(=前に、上に)です。
次にパ・ドゥ・ブーレ・ドゥス
右脚前5番ドゥミ・プリエ→右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→トルソーを右脚の上に押し上げて右脚後ろ左脚前の5番ドゥミ・ポワント→右脚をア・ラ・スゴンドに開いて2番ドゥミ・ポワント→右脚にトルソーを移し左脚後ろの5番ドゥミ・プリエ。
動き収めの5番ドゥミ・ポワントのときに、後から引きつけた脚が後ろ側になっていますね。ですからドゥス(=後ろに、下に)です。
これがパ・ドゥ・ブーレの基本の≪基≫です。
ドウシュとドゥスの違い、わかりますか?
とくにパ・ドゥ・ブーレ・ドゥシュは、ピルエット・アン・ドゥオールに先行するパとして、グラン・ジャンプの助走のパとして、アンシェヌマンに採り入れることが多いパです。
また、助走のパとしてパ・ドゥ・ブーレのあとにシャセやグリッサードを繋ぐ場合、5番ドゥミ・プリエに収めるのではなく、クロワゼの4番ドゥミ・プリエに収めて次に繋いだりします。このとき、パ・ドゥ・ブーレの脚の動きが狂ってしまうと、次につながるパを妨げることになってしまいます
大事なポイントは…、
ポワン・タンジュした右脚の上にトルソーを押し上げるとき、右膝を曲げてはいけません。
5番ドゥミ・ポワントに立ったときトルソーが後ろ側に引っ張られていませんか?肋骨が開いて上がったり、肩甲骨の辺りが縮んだりすると、重心が後ろに傾いてしまいますよ。
2番ドゥミ・ポワントに開いたときもトルソーが後ろに引っ張られないよう気を付けましょう。そして足の小指側に体重が落ちて重心が後ろに傾かないように気を付けましょう。
最後に5番ドゥミ・プリエに収めるとき、トルソーの力を抜いて、ドスンッと座り込むような、落っこちるようなプリエをしてはいけません
いつでもトルソーを真っ直ぐに保って脚がもたつかないように、正確にポジシオンを守るように練習しましょう。そして、どんなに速いテンポで動くときでも、爪先を引きずるような、重心が落っこちたままの動きにならないように気を付けましょう。
今回練習したのはポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドにした脚の上にトルソーを移動する動きですが、ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドにした脚をトルソーの下に引きつける動き方もあります。
また、今回のパ・ドゥ・ブーレもアン・ファス(=正面向き)のドゥ・コテ(=横方向へ)で練習しましたが、前方への動き・後方への動きもあって脚運びが少し変わります。
まずは基本の≪基≫、とくにドゥシュをしっかり身に付けましょう

<2009.07.13初出 2017.02.22修正>   

パ・ドゥ・ブーレ ―ピック・アップで―

2017-02-16 12:20:52 | 日記
パ・ドゥ・ブーレの練習をしましょう。
パ・ドゥ・ブーレには二つの動き方があります。
片脚ずつク・ドゥ・ピエやルティレにピック・アップするもの
ピック・アップしないもの
スタイルとしては の方が古く、ブーレ(bourree)とは、フランスのオーヴェルニュ地方発祥の2拍子の舞曲のことです。
つまりパ・ドゥ・ブーレ(pas de bourree)は、ブーレ風のステップ・動きという意味です。
今回は のピック・アップするパ・ドゥ・ブーレを練習しましょう。
鏡に向かってアン・ファス、両手バーで左脚前5番ポジシオン。
左脚でドゥミ・プリエ、右脚はク・ドゥ・ピエ・デリエールで準備
右脚でルルヴェに立つのと同時に左脚をルティレ・ドゥヴァンに引き上げます
続いてルティレ・ドゥヴァンの左脚を2番ポジシオンの方に1歩踏み出し、右脚をすぐにルティレ・ドゥヴァンに引き上げます
ルティレした右脚を真っ直ぐ下ろしてドゥミ・プリエ、左脚をク・ドゥ・ピエ・デリエールにするか、右脚前5番ドゥミ・プリエで動きを収めます
準備の時と動き終わりのとき以外、ルティレに引き上げる脚は軸脚の前側になりますね、ですからこのパ・ドゥ・ブーレはパ・ドゥ・ブーレ・ドゥシュです。
ドゥシュ=前に、上に
パ・ドゥ・ブーレ・ドゥス(=後ろに、下に)ももちろんありますが、まずはドゥシュをしっかり覚えて下さいね
準備のク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエから、ク・ドゥ・ピエしていた脚でルルヴェをしてもう一方の脚をルティレに引き上げますが、ルティレの爪先の位置は必ず軸脚膝の前です。
ルティレの脚を2番ポジシオンの方に踏み出して、もう一方の脚をルティレに引き上げるときも、ルティレの爪先の位置は必ず軸脚膝の前です。
くれぐれも中途半端な位置に適当に引き上げることがないように気を付けましょう。
ルティレの脚を2番ポジシオンの方に1歩踏み出すときの歩幅は、肩幅くらいが目安です。
パ・ドゥ・ブーレは移動するパですからね
ク・ドゥ・ピエ・デリエールの脚でルルヴェに立つときも、ルティレの脚を2番ポジシオンに踏み出すときも、脚を地面に付き下ろす、沈み込むような動きになってはいけません。
いつでも水面に浮いたまま脚を踏みかえているようなイメージで、脚を引き上げるようにしましょう。
ピック・アップするパ・ドゥ・ブーレは本来、準備の時だけでなく引き上げる脚もク・ドゥ・ピエにします。
ですが、アンサンブル・ド・ミューズでは、準備と動き収めのク・ドゥ・ピエ以外は、脚をしっかり素早く正確に引き上げることを身に付けるため、あえてルティレで練習しています。目安は膝のお皿の下くらいです。
パ・ド・ブーレはその動き自体、脚の長い鶴やフラミンゴのような鳥がツンツンと歩くような軽快で美しいパですが、ピルエットなどの準備のステップとしてもよく使われます。たとえ補助的な動きとして使われるにしても、正確に動くことを忘れないで下さいね

<2009.06.25初出 2017.02.16修正>

グリッサード

2017-02-14 11:33:44 | 日記
グリッサード(=pas glissade)の練習をしましょう。
グリッサードはglissere=滑る、滑るように動く、という言葉がもとになっている動きです。
先ずはもっとも基本となる横方向への動きを練習してみましょう。
グリッサード・ドゥシュ
右足前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエから。
右脚をポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに伸ばす
右方向に押し出しながらすぐにトルソーを右足の上に移動する
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドになった左脚を右足のに引き付けて、5番ポジシオン・ドゥミ・プリエで収める。
グリッサード・ドゥス
右脚をポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに伸ばす
右方向に押し出しながらすぐにトルソーを右足の上に移動する
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドになった左脚を右足のに引き付けて、5番ポジシオン・ドゥミ・プリエで収める。
ドウシュとドゥスの違いは、後から引きつける方の脚が前側になるか後ろ側になるか、です。
グリッサードは高く飛び上がる動きではありません。
爪先が少しだけ床から離れる程度に“浮く”のです。そうですね、リニア・モーターカーのように“浮いて”動くのです。
先行する脚の膝・足首・爪先をしっかり伸ばし、その足の上にトルソーを移したら引き付ける脚も膝・足首・爪先をきちんと伸ばしましょう。
左右の膝が十分に伸びないまま、カックン…カックン…とカニが跳ねているような動きにならないように気を付けて下さいね
骨盤は床に対して垂直に保たれていますか?
股関節のターン・アウトは守れていますか?
動き初めと同じドゥミ・プリエに収めていますか?
お辞儀のようにトルソーが前傾していませんか?
肋骨が上がって肩甲骨の辺りから後ろに反っていませんか?
ひとつずつチェックしながら、正しい動きを身に付けましょう。
グリッサードは横方向=ドゥ・コテの移動だけではありません。
アン・ナヴァン(=前方)への移動、アン・ナリエール(=後方)への移動もあります。
もちろん身体の向きも、アン・ファスだけでなく、クロワゼでもエファセでも移動します。
身体の向きや移動の方向が変わっても、両脚の膝・足首・爪先をキチンと伸ばすこと、飛び上がらずに“浮いて”動くことを忘れないで下さいね、グリッサード=滑るような動きです。
グリッサードは、様々な跳躍の助走としてアンシェヌマン(=コンビネーション)に組み入れられます。
グリッサード・アッサンブレ、グリッサード・ジュテ、グリッサード・グラン・ジュテ…etc.etc.…、必ず次に来る跳躍を効果的に美しく跳ぶための“バネ”をしっかり貯めなければなりませんから、グリッサードのコントロールをおろそかにしてはいけません。


<2009.06.17初出 2017.02.14修正>

ポール・ドゥ・ブラ(1)―腕のポジシオン―

2017-02-12 11:06:11 | 日記
クラシック・バレエにおいてとても大切な腕のポジシオンと動き=ポール・ドゥ・ブラ(port de bras)について、確認と練習をしておきましょう。
トルソーや脚のコントロールがきちんと出来ていても、中途半端なポール・ドゥ・ブラでは腕の動きが身体の動きの邪魔をしたり、美しいはずのポーズを崩したりしてしまいます
ポール・ドゥ・ブラはお飾りではありません。身体の動きやコントロールを適切に助けるための“コントローラー”です。そしてポーズをより美しく作り上げるための“コントローラー”でもあります。
ポール・ドゥ・ブラにも1番から5番のポジシオンがあります。そして、メソッドによって呼び方に違いがあります。
では、はじめましょう。
アン・バ
両腕を肩から自然に下に下ろしたら、手のひらと肘の内側の窪みが向かい合うように、肘を少し外向きに引き上げ、手首は少し内向きに回してみましょう。腕が曲線を描きますね、両腕で大きな楕円形を作りましょう。両手の中指の間を10cmほど空け、両手の小指は太腿から5cmほど離れています。
大きな楕円形の鏡を身体の前に支えて持っているとイメージするといいですよ。
アン・ナヴァン
アン・バの両腕をバストの高さ まで引き上げます。
このとき両肘が下がってはいけません。また手首が折れて指先が下向きに落ちてもいけません。両肩から両手の人差し指の先まで滑らかな斜めのラインを保つようにしましょう。そして、両手のひらと両肘の内側の窪みは向き合っていることを忘れずに。
大きな楕円形のお盆を胸の前で捧げ持つとイメージするといいでしょう。
アン・オーは、アン・ナヴァンからさらに、頬の辺りまで両腕を上げます。肩が上がらないように気を付けましょう。やはり両手のひらと両肘の窪みはそれぞれ向き合っていますよ。
手首が折れて前の方に向かって指先が垂れ下がらないように気を付けましょう。
大きな楕円形の額縁の真ん中に自分の顔があるとイメージするといいですよ。
ア・ラ・スゴンドは、アン・ナヴァンから腕の高さを変えずに左右に開きます。
横方向の目安は両手の中指を結ぶ直線がバストの少し前を通るくらいです。
ア・ラ・スゴンドのアームスのまま前傾して鏡をみたとき、左右の指先から背中を通る線が、大きな弓の形になっていれば理想的です。
肘が下がったり、手首が折れて指先が下がったりして、ジグザグのラインにならないように気を付けましょうね。
3番ポジシオンは2つあります。
ひとつは、片腕がア・ラ・スゴンドでもう片方の腕がアン・ナヴァンになるもの。ロシア派では小さなポーズという。
もうひとつは片腕がア・ラ・スゴンドでもう片方の腕がアン・オーになるもの。ロシア派では大きなポーズという。
4番ポジシオンは、片方の腕がアン・ナヴァンで、もう片方の腕をアン・オーにします。
どのポジシオンでも、肘や手首が曲がりすぎたり力が抜けたガクガク した腕のラインにならないように気をつけてくださいね。
ロシア派では、アン・バを準備のポジシオン、アン・ナヴァンは1番ポジシオン、アン・オーを3番ポジシオンと呼び方が変わります。一方、チェケッティ・メソッドではアン・バ、アン・ナヴァン、アン・オーの3つともが5番ポジシオンです。
アンサンブル・ド・ミューズでは、混乱を避けるため、アン・バ、アン・ナヴァン、アン・オーと、それぞれの呼称で指示をしています。
そして、メソッドによってア・ラ・スゴンドの高さと腕のカーヴの大きさ、アン・オーの位置と腕の曲線には違いがあります。
どのメソッドに従ってレッスンするにしても、正確なポジシオンとラインをきちんと守りましょう。
腕は肩に付いているのではなく肩甲骨から腕とイメージして大きく動かすようにして下さいね。身体に近いところで“セーターを脱ぐ”ような動きになってはいけません


<2009.04.06初出 2017.02.12修正>




パ・ドゥ・ブーレ‐ピルエット・アン・ドゥオール

2017-02-06 11:12:06 | 日記
パ・ドゥ・ブーレピルエット・アン・ドゥオールをつないで練習してみましょう。
鏡に対してアン・ファス、右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バで準備して下さい。
&8 アームスをアン・ナヴァンに引き上げる→1 &2 左脚ドゥミ・プリエ、右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド、アームスはア・ラ・スゴンドに→3 &4 左脚を後ろ側に引き付けて5番ポジシオン・シュル・レ・ポワント→5 &6 右脚をア・ラ・スゴンドに開いて2番ポジシオン・ドゥミ・ポワント→7 &8 左脚を前側に引き寄せて4番ポジシオン・ドゥミ・プリエ、アームスは右アン・ナヴァン、左ア・ラ・スゴンド→1 &2 右脚をルティレに引き上げて右方向に回転、アームスはアン・ナヴァンに集める→3 &4 右脚前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに降りる→5 &6 両膝を伸ばして立つ、アームスはア・ラ・スゴンドを通ってアン・バに降ろす→7 &8 アームスをアン・ナヴァンに引き上げ⇒ …
これがアンサンブル・ド・ミューズでのパ・ドゥ・ブーレ‐ピルエット・アン・ドゥオールのもっとも初歩の基本スタイルです。
注意しなければならない大事なポイントは…
右脚のポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドから5番ポジシオン・シュル・レ・ポワントに立ち上がったとき、肩甲骨の辺りから後ろに反ったり、肋骨が上がって胸の辺りが固くなったりしないように気を付けて下さい。重心が後ろにズレてしまいます。2番ポジシオン・ドゥミ・ポアントに開いたときも同じですよ。
左脚を引き寄せて4番ポジシオン・ドゥミ・プリエをするときに、左脚よりも先に右脚のドゥミ・ポワントが崩れてはいけません。回転軸は左脚ですから、軸脚の上にしっかり重心を移すように気を付けましょう。
回転をはじめてから、1回転が完了する前にルティレした脚を降ろしてはいけません。
回転している間に軸脚の膝が緩んだり、骨盤が前傾して“お辞儀”のような姿勢で5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに降りてきてはいけませんね。
ルティレの脚を後ろに降ろして膝を伸ばした大きい4番ポジシオンに降りることは、キチンと5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに降りられるようになってから練習するといいでしょう。なぜなら、回転中に重心が後ろにズレてバランスを崩しても大きい4番ポジシオンに降りることでごまかすことが出来るからです。そんな悪い癖はつけたくないでしょう
今回は鏡に対してアン・ファスでドゥ・コテ(=横方向へ)の動き方を練習しましたが、アン・ナヴァンでもアン・ナリエールでも、そしてエファッセやクロワゼの方向でも行いますし、ク・ドゥ・ピエやルティレに引き上げるパ・ド・ブーレからピルエット・アン・ドゥオールに繋ぐこともします。
上達するにつれて、パ・ド・ブーレの前にプティ・デヴロッペトンベなどの飾りの動きがつくようにもなりますよ。
ですからまずは基本の≪基≫を丁寧に、重心と回転軸を正確に守るように練習しましょう。 

<2010.01.11初出 2017.02.06修正>