バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

シャッセ

2013-07-25 08:47:25 | 日記
前回練習したポワン・タンジュでのフェッテ、しっかり方向を変えられるようになりましたか?
以前のレッスンでもお話しましたが、フェッテ(=fouetté)とは「鞭で打つ、etc」という言葉がもとになっています。鞭で打つときは鞭を素早く振り動かしますね、その動きをイメージしたものです。ですから素早くシャープに中心軸の向きを変えられるようになるといいですね。そのためにはしっかり“腰をきる”ことが大切です。足だけではなく、まず腰と考えてみて下さいね。
今回は移動するパ、シャッセの練習をしましょう。
私のクラス(初級基礎コース)の生徒が
「シャッセってなんだか難しい気がする」
と話してましたので…
シャッセもメソッドによって様々な動き方がありますが、今回はアンサンブル・ド・ミューズのクラスで行っているシンプルなシャッセを練習します。
でははじめましょう。
まずは鏡に対してアン・ファス、アン・ナヴァンの動きです。一通りの動きを分解して説明しますね。
右脚前5番ポジシオン、アームスはドゥミ・スゴンド。
〔1〕左脚ドゥミ・プリエと同時に右脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン→〔2〕右脚ドゥミ・プリエに踏み込んで跳び上がる→〔3〕同時に左脚を5番ポジシオンの後ろ側に引きつける→〔4〕5番ドゥミ・プリエで着地→〔5〕右脚を前に押し出して→〔6〕大きい4番ポジシオン

これが基本の動きです。
〔2〕は真上に跳び上がるのではなく、前方斜め上に向かって飛び出すイメージです。そして〔3〕で後からの脚を引き付けることで更に前方に押し出すのです。
〔4〕の着地は5番ドゥミ・プリエに長く留まるのではなく、着地した瞬間に前側の足を前に擦りだしながら重心を移動して大きい4番ポジシオンを作ります。
今度はシャッセ・アン・ナヴァンを連続して行ってみましょう。
連続して行う場合は〔4〕の着地で5番ポジシオンではなく、ポワン・タンジュ・ドゥヴァン-ドゥミ・プリエをします。ですから〔5〕・〔6〕の動きはありません。
右脚前5番、アームスはドゥミ・スゴンド。
プレパラシオン→8 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン-ドゥミ・プリエ→1 シャッセ→2 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン-ドゥミ・プリエ→3 シャッセ→4 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン-ドゥミ・プリエ→5 シャッセ→6 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン-ドゥミ・プリエ→7 シャッセ→8 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン-ドゥミ・プリエ⇒……

いかがですか?スムーズに移動出来ましたか?
シャッセは助走のパ、繋ぎのパとして次に様々なパが続きますから、次に来るパによって〔6〕のように前側の足に重心をおくのか、それとも後ろ側の足に重心を置いて動作脚をポワン・タンジュにするのか、の違いが出てきます。
それでは参考に先週の私のクラスで練習したもっともシンプルなアンシェヌマンを練習してみましょうか。
右脚前5番ポジシオン、アームスはドゥミ・スゴンド。
プレパラシオン→8 右脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン、左脚ドゥミ・プリエ→1 シャッセ→2 右脚ドゥミ・プリエ、左脚ク・ドゥ・ピエ・デリエール→3 左脚ルティレ、右脚ルルヴェ→4 左脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン、右脚ドゥミ・プリエ⇒5 シャッセ→6 左脚ドゥミ・プリエ、右脚ク・ドゥ・ピエ・デリエール→7 右脚ルティレ、左脚ルルヴェ→8 右脚ポワン・ポワン・タンジュ・ドゥヴァン、左脚ドゥミ・プリエ⇒…………

いかがですか?
シャッセのあとスムーズにク・ドゥ・ピエ・デリエール-ドゥミ・プリエが出来ましたか?
ここでは動きの変化が分かりやすいように4分の4拍子で説明しましたが、4分の3拍子になると動きのアクセントが変わってきますから気を付けて下さいね。
ポイントはク・ドゥ・ピエ・デリエール-ドゥミ・プリエをするタイミングが遅れないことです。
先ほども言いましたように、シャッセには次に様々なパが繋がりますが、〔3〕の後からの脚を空中で素早く5番ポジシオンに引きつける動きが不十分だと、足元がバタバタと乱れたお行儀の悪い動きに見えてしまいますから気を付けて下さいね。
では、また。
 

バットマン・タンジュとフェッテ

2013-07-16 08:33:37 | 日記
前回練習した1番ポジシオンでのバットマン・タンジュ-プリエ、しっかり骨盤を支えてプリエが出来るようになりましたか?
シンプルな動きですが様々なパの基になる動きですし、ひとつのポゼとしても美しいスタイルにしたいですよね。
今回はバットマン・タンジュでフェッテの練習をします。
動作脚がブレることなくフェッテをするのは難しいことですが、ルルヴェやソテで正確なフェッテをするための基本の《基》です。
でははじめましょう。
左手バーで1番ポジシオン、アームスはアン・バからプレパラシオンでアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドへ。
→8 プレパラシオン⇒1 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン→2 ポゼ→3 バーの方にフェッテ・アン・ドゥオール→4 バーに向かってポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド・ポゼ→5 フェッテ・アン・ドゥダーン→6 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン・ポゼ→7 1番ポジシオン→8 ポゼ→1 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→2 ポゼ→3 バーの方へフェッテ・アン・ドゥオール→4 バーに向かってポワン・タンジュ・デリエール・ポゼ→5 フェッテ・アン・ドゥダーン→6 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド・ポゼ→7 1番ポジシオン→8 ポゼ→1 ポワン・タンジュ・デリエール→2 ポゼ→3 バーに背を向けてフェッテ・アン・ドゥダーン→4 バーに背を向けてポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド・ポゼ→5 フェッテ・アン・ドゥオール→6 ポワン・タンジュ・デリエール・ポゼ→7 1番ポジシオン→8 ポゼ→1 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→2 ポゼ→3 フェッテ・アン・ドゥダーン→4 バーに背を向けてポワン・タンジュ・ドゥヴァン・ポゼ→5 フェッテ・アン・ドゥオール→6 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド・ポゼ→7 1番ポジシオン→8 ポゼ

いかがですか?
では大事なポイントを確認してみましょう。
ポワン・タンジュ・ドゥヴァンから、またはポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドからフェッテ・アン・ドゥオールをするときに優先するのは軸脚のターン・アウトです。内腿からカカトまでの内側のラインをしっかり前方に押し出すようにターン・アウトします。軸脚のターン・アウトを推し進めることでトルソーの向きが変わる、と考えてください。
ポワン・タンジュ・ドゥヴァンからのフェッテ・アン・ドゥオールでトルソーの向きが変わったとき、動作脚のターン・アウトが失われないように気をつけましょう。ポジシオンとしてはポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドになっていなければなりませんね。
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドからのフェッテ・アン・ドゥオールは動作脚のポジシオンがデリエールから外側に外れたりしないよう気を付けて下さいね。
ポワン・タンジュ・デリエールから、またはポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドからフェッテ・アン・ドゥダーンをするときには軸脚のターン・アウトが早々に失われやすくなりがちです。動作脚のターン・アウトを優先するとイメージいいですよ。動作脚のターン・アウトにトルソーが付いていき、そこに軸脚がついていくイメージです。
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドからフェッテ・アン・ドゥダーンをしてポワン・タンジュ・ドゥヴァンになったとき、軸脚がインに入りすぎると骨盤が倒れてお尻を突き出すような姿勢になってしまいますよ。
フェッテ・アン・ドゥダーンの場合の軸脚の動きはターン・インですが、必要以上にターン・インしてはいけませんね。

今回は90度のフェッテを練習しましたが、これが十分に安定した動きにならなければルルヴェやソテでのフェッテをシャープに動くことは出来ません。丁寧に練習して下さいね。
90度のフェッテが安定して出来るようになったら、ポワン・タンジュ・ドゥヴァンからとポワン・タンジュ・デリエールからの180度のフェッテの練習をしましょう。
では、また。

お腹周りのこと

2013-07-04 10:01:52 | 日記
ポジシオンの方向や移動の方向を表す言葉について理解出来ましたか?
もちろん一度に暗記しようなどと考えなくても日々のレッスンで耳にするうちに自然に覚えてしまえることですね。
さて今回はお腹周りのことに注目してみましょう。
私がトルソー(=体幹)と呼んでいる部分は、頭部・両腕・両脚を除いた胴体の部分です。
そのなかのお臍より下の部分に注意しながらレッスンしてみましょう。
でははじめましょう。
左手バーで1番ポジシオン、アームスはアン・バからプレパラシオンでア・ラ・スゴンドへ。
→8 プレパラシオン⇒1 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン→2 左脚ドゥミ・プリエ→3 左膝を伸ばす→4 1番ポジシオン→5 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→6 左脚ドゥミ・プリエ→7 左膝を伸ばす→8 1番ポジシオン→1 ポワン・タンジュ・デリエール→2 左脚ドゥミ・プリエ→3 左膝を伸ばす→4 1番ポジシオン→5 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→6 左脚ドゥミ・プリエ→7 左膝を伸ばす→8 1番ポジシオン⇒
さぁ、確認していきましょう。
ポワン・タンジュ・ドゥヴァンをしたあとのドゥミ・プリエのとき、お臍から下のお腹の部分を掬い上げるように窪ませていませんか?それでは尾骶骨を巻き込むように腰の下の部分が丸くなっているはずです。腰の筋肉が伸びてしまって正しいプリエが出来ていませんよ。
ポワン・タンジュ・ドゥヴァンをしたあとのドゥミ・プリエのとき、トルソーが滑り台のように斜めに伸びていませんか?身体の中心軸がしっかり支えられていませんね。
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドをしたあとのドゥミ・プリエのとき、重心が軸脚の上からズレて動作脚の方に引きずられていませんか?あるいは軸脚の方に骨盤を落として中心軸を歪めていませんか?
ポワン・タンジュ・デリエールをしたあとのドゥミ・プリエのとき、ウエストの後ろが縮んで骨盤を前に押し出すような姿勢になっていませんか?または骨盤を後ろに押し上げるような姿勢になって上体が前傾していませんか?
いかがですか?
それではアンシェヌマンのテンポを変えて練習してみましょう。
左手バーで1番ポジシオン、アームスはアン・バからプレパラシオンでア・ラ・スゴンドへ。
→8 プレパラシオン⇒1 右脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン、左脚ドゥミ・プリエ→2 ポゼ→3 1番ポジシオンに→4 ポゼ→5 右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド、左脚ドゥミ・プリエ→6 ポゼ→7 1番ポジシオンに→8 ポゼ→1 右脚ポワン・タンジュ・デリエール、左脚ドゥミ・プリエ→2 ポゼ→3 1番ポジシオンに→4 ポゼ→5 右脚ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド、左脚ドゥミ・プリエ→6 ポゼ→7 1番ポジシオンに→8 ポゼ⇒
今度はポワン・タンジュするのと軸脚のドゥミ・プリエが同時ですからポワン・タンジュに勢いが付きやすくなり、その勢いに骨盤が引きずられると中心軸がズレてしまいますよ。
のポイントをきちんと注意しながら動けましたか?
ポワン・タンジュするたびに骨盤の角度をずらしては真っ直ぐに戻すということを繰り返すのでは、トルソーを強くすることは出来ません。それ以上に身体が疲れてしまいますよ
トルソーを真っ直ぐに支えるということはとても地味なことですから、ついつい華やかな動きや大きな動きのほうに目を奪われがちになるのかもしれません。でも華やかな動きも大きな動きも、それを支えるのは正しいトルソーのコントロールがあればこそです。目を逸らさずに丁寧に練習しましょう。
では、また。