バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

ポール・ドゥ・ブラ(1)―腕のポジシオン―

2017-02-12 11:06:11 | 日記
クラシック・バレエにおいてとても大切な腕のポジシオンと動き=ポール・ドゥ・ブラ(port de bras)について、確認と練習をしておきましょう。
トルソーや脚のコントロールがきちんと出来ていても、中途半端なポール・ドゥ・ブラでは腕の動きが身体の動きの邪魔をしたり、美しいはずのポーズを崩したりしてしまいます
ポール・ドゥ・ブラはお飾りではありません。身体の動きやコントロールを適切に助けるための“コントローラー”です。そしてポーズをより美しく作り上げるための“コントローラー”でもあります。
ポール・ドゥ・ブラにも1番から5番のポジシオンがあります。そして、メソッドによって呼び方に違いがあります。
では、はじめましょう。
アン・バ
両腕を肩から自然に下に下ろしたら、手のひらと肘の内側の窪みが向かい合うように、肘を少し外向きに引き上げ、手首は少し内向きに回してみましょう。腕が曲線を描きますね、両腕で大きな楕円形を作りましょう。両手の中指の間を10cmほど空け、両手の小指は太腿から5cmほど離れています。
大きな楕円形の鏡を身体の前に支えて持っているとイメージするといいですよ。
アン・ナヴァン
アン・バの両腕をバストの高さ まで引き上げます。
このとき両肘が下がってはいけません。また手首が折れて指先が下向きに落ちてもいけません。両肩から両手の人差し指の先まで滑らかな斜めのラインを保つようにしましょう。そして、両手のひらと両肘の内側の窪みは向き合っていることを忘れずに。
大きな楕円形のお盆を胸の前で捧げ持つとイメージするといいでしょう。
アン・オーは、アン・ナヴァンからさらに、頬の辺りまで両腕を上げます。肩が上がらないように気を付けましょう。やはり両手のひらと両肘の窪みはそれぞれ向き合っていますよ。
手首が折れて前の方に向かって指先が垂れ下がらないように気を付けましょう。
大きな楕円形の額縁の真ん中に自分の顔があるとイメージするといいですよ。
ア・ラ・スゴンドは、アン・ナヴァンから腕の高さを変えずに左右に開きます。
横方向の目安は両手の中指を結ぶ直線がバストの少し前を通るくらいです。
ア・ラ・スゴンドのアームスのまま前傾して鏡をみたとき、左右の指先から背中を通る線が、大きな弓の形になっていれば理想的です。
肘が下がったり、手首が折れて指先が下がったりして、ジグザグのラインにならないように気を付けましょうね。
3番ポジシオンは2つあります。
ひとつは、片腕がア・ラ・スゴンドでもう片方の腕がアン・ナヴァンになるもの。ロシア派では小さなポーズという。
もうひとつは片腕がア・ラ・スゴンドでもう片方の腕がアン・オーになるもの。ロシア派では大きなポーズという。
4番ポジシオンは、片方の腕がアン・ナヴァンで、もう片方の腕をアン・オーにします。
どのポジシオンでも、肘や手首が曲がりすぎたり力が抜けたガクガク した腕のラインにならないように気をつけてくださいね。
ロシア派では、アン・バを準備のポジシオン、アン・ナヴァンは1番ポジシオン、アン・オーを3番ポジシオンと呼び方が変わります。一方、チェケッティ・メソッドではアン・バ、アン・ナヴァン、アン・オーの3つともが5番ポジシオンです。
アンサンブル・ド・ミューズでは、混乱を避けるため、アン・バ、アン・ナヴァン、アン・オーと、それぞれの呼称で指示をしています。
そして、メソッドによってア・ラ・スゴンドの高さと腕のカーヴの大きさ、アン・オーの位置と腕の曲線には違いがあります。
どのメソッドに従ってレッスンするにしても、正確なポジシオンとラインをきちんと守りましょう。
腕は肩に付いているのではなく肩甲骨から腕とイメージして大きく動かすようにして下さいね。身体に近いところで“セーターを脱ぐ”ような動きになってはいけません


<2009.04.06初出 2017.02.12修正>




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