バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

位置と方向

2013-06-27 09:00:04 | 日記
前回確認したクロワゼとエファセ、エカルテの違いには迷わなくなりましたか?
今回も位置や運動の方向を表す言葉についてお話しましょう。
日頃のレッスンの中で頻繁に耳にしている言葉ですから、いつの間にか覚えてしまっていると思いますよ。
ちょっとバーを使って動きながら確認していきます。
では、はじめましょう。
左手バーで1番ポジシオンに立って下さい、アームスはア・ラ・スゴンド。
≪1≫右脚をにポワン・タンジュ⇒ポワン・タンジュ・ドゥヴァン
≪2≫右脚をにポワン・タンジュ⇒ポワン・タンジュ・デリエール
≪3≫右脚をにポワン・タンジュ⇒ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド
ア・ラ・スゴンドとは《横》という意味ではありません。スゴンド(=2nd)、つまり2番の方向へ、という意味です。
≪4≫右脚をポワン・タンジュ・ドゥヴァン、左脚ドゥミ・プリエから右脚にピケ、左脚はク・ドゥ・ピエ・デリエール⇒ポワン・タンジュ・ドゥヴァンに伸ばした脚の上にピケするという前方への移動が生じます。ですからこれはピケ・アン・ナヴァン前の方へです。
≪5≫右脚をポワン・タンジュ・デリエール、左脚ドゥミ・プリエから右脚にピケ、左脚はク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン⇒ポワン・タンジュ・デリエールに伸ばした脚の上にピケするという後方への移動が生じます。ですからこれはピケ・アン・ナリエール後の方へです。
≪6≫右脚をポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド、左脚ドゥミ・プリエから右脚にピケ、左脚はク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン⇒ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドに伸ばした脚の上にピケするという横方向への移動が生じます。ですからこれはピケ・ドゥ・コテ横へです。
グリッサード・アン・ナヴァンまたはアン・ナリエールやグラン・ジュテ・アン・ナヴァンというふうに表現しますが、グリッサード・ドゥヴァンまたはデリエールとかグラン・ジュテ・ドゥヴァンというような表現はありません。
まとめておきましょう。
身体の前面、横、後面(背面)という位置を表すときには、ドゥヴァンア・ラ・スゴンドデリエール、前の方へ、横の方へ、後ろの方へという移動の方向を表すときには、アン・ナヴァンドゥ・コテアン・ナリエールで表現します。
さらにこれに前回練習した向きを表す言葉が重なって、ピケ・クロワゼ・アン・ナヴァンとかグラン・ジュテ・エファセ・アン・ナヴァンという表現をします。
これらの言葉をきちんと覚えて身に付けておくと、どちらの方向に向かってどちらの脚からどんな移動をするかで迷うことがなくなりますよ
さて、もう一つ、しばしば混同されている表現がありますので、ご説明しておきましょうね。
それは
“パッセ”というポジシオンはない
ということです。
ポジシオンとしては“ルティレ”です。
たとえば“ルティレ”のポジシオンを“パッセ”してデヴロッペ…、というときにつかう言葉です。
“パッセ”=パス、つまり“通過する”という意味ですからポジシオンではありません。
いかがですか?
ドゥヴァンとアン・ナヴァンの違い、お分かり頂けましたか?
では、また。

バレエ用語、再び…

2013-06-23 10:57:53 | 日記
バレエで常用する用語、特にポジシオンや方向に関わる言葉について説明したのは、このブログのもっとも初期の頃でした。
ですから、最近になって私の実際のクラスのメンバーになられた方たち、とくに初心者の方たちは、レッスンで習ったことをこのブログで再確認しようとしてもずっとずっと遡らなければならないので、途中で諦めてしまうことも多々あるようです。
そういうわけで今回からもう一度、“基本の基”のところのレッスンをしていこうと思います。
長い辺の一方に鏡がある長方形のスタジオを基準とします。鏡があるのはこの一面だけであとの三面に鏡はありません。鏡がある面を正面とします。
では、はじめましょう。
まずは身体の向きからです。
1番ポジシオンで正面を向いて立って下さい。顔の向きも正面。これがアン・ファス(en face)です。これは脚が2番ポジシオンでも、4番・5番、左右どちらの脚が前であっても、正面を向いている限りアン・ファスです。
右脚前5番ポジシオンで左斜め45度を向いて立って下さい。これがクロワゼ(croisé)です。ということは、左脚後5番クロワゼでもあるわけですね。クロワゼ=交差した、という意味です。
左脚前5番ポジシオンで左斜め45度を向いて立って下さい。これがエファセ(effacé)です。ということは、右脚後ろ5番エファセでもあるわけです。エファセ=控えめな、という意味です。
クロワゼもエファセも頭部の向きは基本的には正面(鏡のある方)に対してエポールマンです。エポールマンにしない場合はドゥ・ファス(de face)です。
右脚前5番クロワゼから、右脚をポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドにして立って下さい。このポジシオンがエカルテ・ドゥヴァン(écarté devant)です。エカルテ=間隔の離れた、という意味です。エカルテ・ドゥヴァンのときの頭部はポワン・タンジュした脚と同じ方にエポールマンです。
右脚前5番クロワゼから、左脚をポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドにして立って下さい。このポジシオンがエカルテ・デリエール(écarté derriére)です。この時の頭部はポワン・タンジュした脚と反対の方向にエポールマンです。
いかがですか?
クロワゼにもエファセにもエカルテにもそれぞれドゥヴァンとデリエールがあります。脚の位置と身体の向きの関係、理解できましたか?
それではちょっと頭の体操を兼ねてチェックしてみましょう。
≪1≫右脚後ろ5番ポジシオン・クロワゼではどの方向を向いて立ちますか?
≪2≫左脚エカルテ・ドゥヴァンのときはどちらの方向を向いていますか?
≪3≫左脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン・エファセではどちらの方向を向いていますか?
≪4≫右脚ポワン・タンジュ・デリエール・クロワゼのときにはどちらの方向を向いていますか?
≪5≫右脚エカルテ・デリエールのときはどちらの方向を向いていますか?

自分の頭の天辺に十文字を想定すると真正面と真横が直角になりますから、クロワゼもエファセもその中間の45度の方向とイメージするようにして覚えれば、スタジオのどこにいてももちろん舞台の上でも、正確にクロワゼやエファセの方向を定めることが出来るようになりますよ