バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

アントルシャ・ロワイヤルとアントルシャ・カトル

2017-08-24 10:26:02 | 日記
アントルシャ・ロワイヤル(=entrechat-royal)アントルシャ・カトル(=entrechat-quatre)に挑戦してみましょう。
まずはバーで、正確な脚の動きを理解しましょうね。
アントルシャ・ロワイヤル
両手バーで右脚前5番ポジシオン。
ドゥミ・プリエから真っ直ぐに跳び上がって空中で両爪先の間を足1足分ほど開き、一度右脚前に引き付けてから、右脚後ろの5番ドゥミ・プリエに着地します。
シャンジュマン・ドゥ・ピエの要領で跳び上がって脚の前後を入れ替える前に、もう一度5番ポジシオンに引き付けてから前後を入れ替えて着地するのです。
離した両爪先の間隔は、5番ポジシオンで立っているときのそれぞれの爪先の位置から垂直に延長線上を目安にするといいですよ。あまり間隔を開け過ぎると、バタバタと乱暴な動きに見えてしまいます。
アントルシャ・ロワイヤルは、ルイ14世が得意としたことからロワイヤル=王様のアントルシャと呼ばれるようになったそうですよ
 アントルシャ・カトル
両手でバーで右脚前5番ポジシオン。
ドゥミ・プリエから真っ直ぐに跳び上がって、両爪先の間を足1足分開き一度右脚を後ろ側に引き付けてから、もう一度両爪先の間を足1足分開いて右脚を前に戻し、5番ドゥミ・プリエに着地します。
アントルシャ・カトルの場合は、右脚前5番ポジシオンで始めたら右脚前で着地します。5番ポジシオンの前後が入れ替わることはありません。
アントルシャ・カトルのカトルという意味です。
右脚前の5番ドゥミ・プリエから跳びあがったら、右脚は一度後ろ側に引き付けられてから前に戻ります。同じように左脚も一度前側に引き付けられてから後ろに戻りますね。それぞれの脚が空中で2回交差しています。2×2=4というわけでカトルです
アントルシャ・ロワイヤルもアントルシャ・カトルも、膝下や足先だけの動きと勘違いしてはいけません。ターン・アウトした内腿を離したり交差させることで生まれる動きです。
両膝と両足首をしっかり伸ばして、脚をドラムのスティックのようにイメージして動かすとキレイですよ
アントルシャは両脚を横に動かします。“バタ足”のように前後にバタバタ動かすのは美しくありません
アントルシャ・ロワイヤルもアントルシャ・カトルも、そのまま4回・8回と続けることもあれば、他のパに繋いでいくこともあります。5番ドゥミ・プリエに着地したあと、中途半端に膝の力を抜いてトルソーが浮き上がらないように気を付けて下さいね。ドゥミ・プリエでしっかり床を押して、次の動きのための“バネ”を貯めるようにしましょう。
アントルシャにはこのほか、トロワサンクシスセットユイットと脚を交差する回数が増えたり、着地が5番ドゥミ・プリエではなくク・ドゥ・ピエになるもの、さらにはそのドゥシュやドゥスなど少しずつ複雑に難しくなっていきます。ですから、まずはロワイヤルとカトルをしっかり丁寧に練習して正確に動けるようにしておきましょう。
〈2010.01.25初出 2017.08.24修正〉

シソンヌ

2017-07-06 12:17:00 | 日記
シソンヌの練習をしましょう。
以前、跳躍するパを5つに分類しました。
両足で跳び上がって両足で着地する
両足で跳び上がって片足で着地する
片足で跳び上がって両足で着地する
片足で跳び上がって同じ片足で着地する
片足で跳び上がってもう一方の足で着地する
シソンヌは に分類されるパです。
今回はシソンヌの基本の≪基≫、シソンヌ・ウーヴェルトシソンヌ・フェルメを練習します。
まずウーヴェルトから。
鏡に対してアン・ファス、アームスはア・ラ・スゴンド。
右足前5番ドゥミ・プリエから両足で跳び上がり、右足のドゥミ・プリエに着地
左脚はアラベスクに残す
これが基本のシソンヌ・ウーヴェルト(=sissonne ouverte)です。
ウーヴェルト(ouverte)とは、開いた、開いているという意味です。
着地したとき、片方の脚がアラベスクに残って“開いて”いるでしょう
アラベスクに残した脚は、ポワン・タンジュ・デリエールを通って左後ろの5番ドゥミ・プリエに引き付けます。
この跳躍を繰り返しながらアン・ナヴァン(=前方)に進みます。
跳び上がったとき、両脚とも膝・足首・爪先をきちんと伸ばしましょう
アラベスクに一旦残す脚は無理に高く上げる必要はありません
着地のときは股関節のターン・アウトを守り、膝や爪先が正面を向かないように気を付けましょう
アラベスクに残した脚を5番ドゥミ・プリエに引き付けたとき、骨盤が前傾してトルソーが“お辞儀”のように前屈みになってしまってはいけません
無理に高く跳ぼう、高く脚を上げようとして、トルソーや骨盤が横向きになったり、胸が不自然に上がって肩甲骨の辺りが縮んではいけません。そしてアラベスクの側のウエストの後ろ辺りが縮んでしまうのも良くありませんね。腰を痛める原因になってしまいますよ
つぎにフェルメです。
基本のシソンヌ・ウーヴェルトでは一旦アラベスクに脚を残しましたが、フェルメでは脚を残さず、着地に続いてすぐに5番に引き付けます。
フェルメ(fermee)とは、閉まった、閉じたという意味です。
脚をアラベスクに残さず、すぐに5番ポジシオンに“閉じて”いるでしょう
注意しなければならないポイントはシソンヌ・ウーヴェルトと同じです。
片足で着地してすぐにもう片方の脚を5番に引き付けなければなりませんから、ドゥミ・プリエで骨盤を垂直に保つように気を付けましょう
アラベスクから必ず膝と爪先を伸ばしたままポワン・タンジュ・デリエールを通過して5番に引きつける
着地の瞬間にアラベスクした脚の膝がゆるみ、膝下が膝よりも上に撥ね上がるような動きをしないように気を付けましょう
今回はもっとも基本のシソンヌ・ウーヴェルトとシソンヌ・フェルメを、鏡に対してアン・ファスのアン・ナヴァンで練習しましたが、シソンヌは後ろ方向にも横方向にも進みます。後ろ方向(アン・ナリエール)の場合はドゥヴァンに脚が上がり、横方向(ア・ラ・スゴンドまたはドゥ・コテ)の場合はア・ラ・スゴンドに脚が上がります。そして、一般的にはエファセやクロワゼで行ないます。
上達にともなってシソンヌ・デヴロッペ、シソンヌ・トンベ、シソンヌ・シャンジェ、etc.etc.と複雑な動きになっていきますから、まずは基本のシソンヌをしっかり身に付けましょう
<2009.06.03初出 2017.07.06修正> 

ポワント・レッスン ドゥミ・ポワントからポワントへ

2017-05-27 11:26:12 | 日記
ポワントのレッスンをはじめましょう。
“ポワントにしっかり乗って”とアドバイスすることがありますが、“ポワントに乗る”とは爪先の上に全体重をかけて脱力することではありません。トゥの部分から真っ直ぐに引き上げることが“爪先に乗る”です。
それでは基本の基の≪基≫を練習してみましょう
両手バーで6番ポジシオン。
&2 右脚ドゥミ・ポワント→3 &4 フル・ポワント→5 &6 ドゥミ・ポワント→7 &8 ア・テール→1 &2 左脚ドゥミ・ポワント→3 &4 フル・ポワント→5 &6 ドゥミ・ポワント→7 &8 ア・テール→…………
これを右左交互に4回繰り返しましょう 
ドゥミ・ポワントは足首がしっかり伸びきるところまでカカトを高く引き上げます。足首が“くの字”になっていてはいけませんね。
次のフル・ポワントは足指の関節を一つずつ床から離すつもりで、さらにカカトを引き上げます。フル・ポワントになったときに爪先を床に押し付けて甲の部分を押し出すようなことをしてはいけません。
ドゥミ・ポワントに戻るときにも足指の関節を一つずつ床に付けていくつもりで下していきます。足首が“くの字”にならないように気を付けて下さいね。
両手バーで6番ポジシオン。
&2 両脚でドゥミ・ポワント→3 &4 フル・ポワント→5 &6 プリエ→7 →8 →1 &2 フル・ポワントに→3 ゆっくり→4 戻る→5 &6 ドゥミ・ポワント→7 &8 ア・テール→…………
4回繰り返しましょう 
ドゥミ・ポワントからフル・ポワントに立ち上がったとき、アンダーバストはトウの接地面(爪先)よりも前に位置します。少し前傾しているように感じるかもしれません。
ポワントで立ったところを真横から見たときに、接地面→膝の真ん中→骨盤の真ん中→肩→耳の真ん中→…と繋がる直線が床に対して垂直でなければなりません。
くれぐれも、身体の前面を通る線が床に対して垂直にならないように気を付けて下さいね。
プリエをしていくときには両膝が少しずつ前に出て行きます。お尻を突き出してトルソーが前かがみにならないように気を付けましょう。
プリエを進めていくことで甲の部分がストレッチされます。大切なのはこの自然なストレッチですから、“甲出し”のためにと深くしゃがみこんでバーにぶら下がるような姿勢になってはいけません。
プリエが終わったらもとのフル・ポワントに戻りますが、爪先よりもアンダー・バストのほうが前に位置するように気をつけましょう。
ドゥミ・ポワントに下りるときには力が抜けたようにカカトを落さないように気を付けましょう。カカトは常に高い位置に引き上げておきます。そしてドゥミ・プリエに下りるという下向きの運動に対して、トルソーは逆に上(斜め前方)に向かって引き上げるようにイメージして下さいね。
ア・テールに下りたときに重心がカカトの上に落っこちないように気を付けましょう。
いかがでしたか?
すでにポワントのレッスンを経験している方にとっては何でもないムーヴマンかもしれませんが、初めての方にとってはたったこれだけのことでも思うように出来ないと感じられるのではないでしょうか。
ドゥミ・ポワントからフル・ポワントへ、またフル・ポワントからドゥミ・ポワントへ、この部分の移行がスムーズに出来るようになることがとても大切ですよ。

普段のバー・レッスンでポワン・タンジュをしたときに、足首がまっすぐに伸びない“くの字”状態の脚の人にはポワントのレッスンはまだ早いでしょうね。“くの字”状態の脚ではポワントの上にまっすぐに重心を引き上げることが出来ないからです。無理に立とうとすれば、足指の付け根部分を無暗に曲げて立つことになり、脚に悪い負担を掛けてしまいます。

〈初出2012.05.10 修正2017.05.27〉

エシャッペ

2017-04-20 12:42:49 | 日記
エシャッペの練習をしましょう。
エシャッペにはエシャッペ・ルルヴェ、エシャッペ・ソテ、グラン・エシャッペ、エシャッペ・バチュなどいろいろな動き方がありますが、今回練習するのはその基本の≪基≫のエシャッペ・ルルヴェです。
エシャッペ(=echappe)は“逃げる”という意味の言葉が元になっているパです。
両脚の動きをみれば、その意味が納得できますよ
では、はじめましょう。
鏡を正面にして両手をバーに。
右足前5番ドゥミ・プリエ
2番ドゥミ・ポワント
 左足前5番ドゥミ・プリエ
2番ドゥミ・ポワント
右脚前5番ドゥミ・プリエ 
動きとしてはこれだけです。
ですが、注意しなければならない大事なポイントがいくつもあります。
5番ドゥミ・プリエから2番ドゥミ・ポワントに立ち上がるとき。
両足を左右に押し出しながら膝を伸ばします。
ドゥミ・プリエからポン と安直に2番ドゥミ・ポワントに飛び乗ってはいけません。
2番ドゥミ・ポワントでは
左右の爪先・足首・膝はそれぞれ外に向いていますか?
足の親指側よりも小指側に重心が落ちていませんか?
胸が上がって肩甲骨のあたりから後ろに反っていませんか?
両方の内腿をお臍に向かって引き上げるとイメージするといいですよ。
5番ドゥミ・プリエに戻るとき。
膝を緩めて反動をつけ飛び降りるような動きをしてはいけません。
少しおおげさかもしれませんが、2番ドゥミ・ポワントから5番ドゥミ・プリエに下りる動きは
2番ドゥミ・ポワントしている両足をトルソーの真下に、一瞬5番ポジシオン・ドゥミ・ポワントに引き集めてからドゥミ・プリエに下りる
とイメージしてみて下さいね。
5番ドゥミ・プリエに下りたときに
お尻を後ろに引いてお辞儀のようなプリエになっていませんか?
ドゥミ・プリエはしっかり床を押さえるつもりで、プリエを保って下さい。この時にプリエが緩んでしまうと、次のエシャッペのための“バネ”を溜めることが出来ません。
そうですね、水をたっぷり含んだスポンジを両足でしっかり押し付けて絞るとイメージするといいでしょう。
ドゥミ・プリエをしたとき、ドゥミ・ポワントに立ったとき、いちいちトルソーが前後に動かないように気を付けましょう。
エシャッペで大切なのは、左右の脚が同じ強さ・同じ速さで同じ距離を動かなければならないことです。
例えば2番ドゥミ・ポワントに立った時、身体の中心線からの左右の爪先の距離 は、同じでなければなりません。
エシャッペ・ルルヴェ、とてもシンプルなパですけれども、振り付けのなかでひとつの見せ場にも出来るようなパですから、丁寧に練習していきましょう。
エシャッペ・ルルヴェは、この2番ドゥミ・ポワントに立つ動きのほかに4番ドゥミ・ポワントに立つ動きもがあります。
4番ドゥミ・ポワントに立つ動きでは、後ろ側に開く足の上に重心が残りやすくなっったり、上体が反ってお腹が出てしまいがちです。
トルソーの真下、中心軸の真下で“前後を均等に”とイメージして下さいね。

〈2009.05.06初出 2017.04.20修正〉

パ・ドゥ・シャ

2017-03-13 11:41:37 | 日記
パ・ドゥ・シャの練習をしましょう。
パ・ドゥ・シャ:pas de chat=猫のステップという意味のパです。
ごく一般的な欧米スタイルのパ・ドゥ・シャを練習しましょう。
でははじめましょう。
右脚後ろ5番ポジシオン、アームスは低い3番。
ドゥミ・プリエをして、後ろ側の右膝を引き上げながら左脚で跳び上がる。
空中で両足の爪先が触れ合うように、左膝も素早く引き上げる。
右脚から着地して左脚前5番ドゥミ・プリエに収める。
これが基本の形です。
右方向への移動を伴います。
このパ・ドゥ・シャで大切なポイントは跳び上がるタイミングです。
右膝を思い切り良く引き上げても、その右脚が下りはじめてから跳び上がるのでは空中にいることは出来ません。
カックン カックン と横方向への大げさな足踏み、カニ歩きをした程度の動きにしかなりません
当たり前のことですが、跳び“降りる”のではありません。跳び“上がる”のです。
大事なポイントは
右膝が頂点に達する前に跳び上がって左膝を引き上げる
見えない力で両腿を外に押し上げられるようにイメージすること
空中で両爪先が触れ合うまで、先行する右膝も引き上げ続けること
空中で5番ドゥミ・プリエの形を見せる、とイメージしましょう
そして、着地して5番ドゥミ・プリエに収めたときにはトルソーを引き上げておくこと。
着地のたびにトルソーが脱力して沈むようでは、続けて跳び上がるたびに必要以上の力が必要になりますから疲れてしまいますよ
今回は右脚後ろ5番ポジシオンから後ろ側の右膝を引き上げて跳び上がり、右方向に移動して左脚前5番ポジシオンに収めましたが、同じ右脚後5番ポジシオンから前側の左膝を引き上げて跳び上がり左方向に移動して右脚前5番ポジシオンに収める動き方もあります。
また右なら右、左なら左の一方向に続けて進むこともありますし、右左交互に跳び続けることもあります。
高く跳ぶことも出来れば、高さを抑えて低く小さく跳ぶことも出来るパです。
まずは軽やかに跳べるように練習しましょう。
パ・ドゥ・シャ=猫のステップですから、足音をたてないように着地するのが理想ですね 

<2009.10.18初出 2047.03.13修正>