【9月28日(水)】
小田代ヶ原→泉門池→湯滝→湯滝バス停
西ノ湖から千手ヶ浜を経て、高山の山腹を巻いて弓張峠に出たところ
蚊の大群に襲われて、ほうほうの体で退散した先には
小田代ヶ原が冠水して出来た美しい小田代湖が広がっていた。
小田代湖の出現は4年ぶりだという。
今年の小田代湖は、過去最大級ではないかと言われているようだ。
この写真は2010年9月29日の小田代ヶ原で、草紅葉が大変美しかったが、今年は全て水没している。
写真中央に佇むシラカンバは、「貴婦人」という愛称で親しまれ、絶好の撮影対象となっている。
この写真も2010年9月29日のもの。
撮影した角度が違うので、背景の山々が異なるが、水面と草紅葉の違いが面白い。
私が小田代ヶ原に着いた時には、既に12時半を過ぎており
朝、黒山の人だかりのようにたくさんいた人々は3分の1ぐらいに減っていて
ベンチに座って味噌汁を作り、ゆっくりとお昼を食べることが出来た
湖には、マガモも泳いでいる。
こんなに美しい景色なのに、展望台のベンチ周辺にはゴミが散乱している。
ゴミを拾いながら思ったが、ここを利用、もしくは通過した大勢の人は
私がゴミを拾うまで、ゴミが散乱した状態を見ても何とも思わなかったのか、そこが不思議だ。
ベンチには禁煙マークが貼られているものの、あれでは人が座ってしまったら見えないではないか。
それを知ってか知らずか、隠れるようにしてタバコを吸う人がいたが
こそこそと人目を気にして、隠れるようにしてまで吸いたいタバコって、何なのだろう
赤沼の自然情報センターで仕入れた情報では、木道の応急処置は済んでおり
西側も歩けるということであったので、長居は無用、そちらへと向かう。
西側の木道は冠水してグラついているようだが、木道の上に木を載せるような応急処置が施され
グラつく部分はトラロープで固定されており、気を付けながら通過できる。
今から思えば、これは林野庁がしたことなのだろうか
さすが目玉観光地の小田代ヶ原である。
素早い対応ではないか。
それとも小田代ヶ原は、林野庁の管轄ではないのかもしれない。
水面をじろじろと眺めていると、水の中の草の間を、なにやら小さな生物がうじゃうじゃ泳いでいる。
ひょえ~
その生物はミジンコのようだが、ミジンコよりはるかに大きいし
なによりものすごい数が水中をうごめいていて、かなり不気味である。
水中にはボウフラも特有の動きで泳いでおり、どおりで弓張峠で蚊の大群に襲われたわけだ
近くにいた人に、謎の水中生物について聞いていみる。
「あの~、この水中で泳いでいる生き物、なんだか御存知ですか?」
「え?水の中に何かいるのかい?あれ~、なんだこりゃ」
「おいおい、水の中で何か泳いでいるけど、なんだか知っている人いるかい?」
「え?水の中に何かいるのかい?あれ~、なんだこりゃ」
「おいおい、みんな、水の中に何かいるってさ」
「ワーワー、なになにー」と、ちょっとした騒ぎになってしまった。
私のカメラでは、どうしてもその生物をうまく撮影できなかったが、正体はこれ。
この後、この生物が何か判明するのだが、この時は結局誰もわからずじまいであった。
それにしても、美しい色合いだ。
空といい山といい水といい、なんと美しい青なのだろう。
水没している木々は、ほんのり色づき始めているように見える。
湖になっているのはここまでである。
草紅葉とシラカンバの林、男体山と大真名子山・小真名子山のリズミカルな配置。
私が大好きな眺めの一つだ。
小田代ヶ原から鹿避けのゲートを通過して泉門池に行くと
背後から小学生の騒ぐ声が聞こえてきたので、休憩せずにそそくさと先を急ぐことにした
ここからは、私が気に入っている人気の少ない光徳への道を歩くことが多いのだが
この日はどこに行っても水量が多かったので、湯滝の様子を見てみたくなり、湯滝に向かう。
途中、ネイチャーガイドを受けながら、クラス毎に行動している小学生を見掛けたが
たまたま説明途中ではなく、次の目的地に向かって歩いているクラスとすれ違った。
そこで、ガイドなら知っているかもしれないと思い、先頭を歩いていたガイドに声を掛け
小田代ヶ原にいた水中生物について尋ねてみた。
ここでびっくり
ガイドは、西ノ湖に向かう前に立ち寄った赤沼自然情報センターで
親切に台風の被害や道の情報を教えてくれた職員の方だった。
あちらも一瞬「おや」という表情になり、朝あれやこれやと聞いてきた者だと気付いたようであった。
ここで収穫
私が記憶している限りのこの時伺った説明は
小田代ヶ原にいた水中生物はカイエビという甲殻類の仲間で、田圃などでも見られるそうだ。
今回の大量発生で宇都宮大学の教授に見てもらったところ、ミズジカイエビではないかとのこと。
田圃や水溜りなどのように、水が干上がるような環境でも耐性卵として生存し
水が溜まるような環境になると、卵が孵化して大量発生につながるようだ。
そういうことを考えると、4年前に小田代湖が出現した際にもカイエビが発生していることから
4年前の産卵後の乾燥に耐えて、今回の湖の出現によって孵化したものと推測されるとのこと。
へぇ~
生き物って、不思議だし、面白いな
小学生の引率途中なのに引き止めてしまったが、赤沼自然情報センターの職員の方には
今回いろいろと楽しい話を伺えて、勉強になった。
ありがとうございました
湯滝への道は、途中二手に分かれ、直進する方が湯滝への距離が短いが
左に曲がって小滝を回り込むように眺めながら、林間を歩く。
湯滝の少し手前から、ゴーゴーと勢いよく水が落ちる音が聞こえてくる。
これは水量が多そうだ。
湯滝に出ると、水量が多いためか勢いよく水が落ちており
展望デッキに立っているだけで、たくさんの飛沫が飛んでくる。
ここでも小学生が記念撮影のために、先生に怒られながらデッキに並ばせられている。
先生も生徒も、カメラマンも大変だな
東武鉄道の駅でもらった時刻表の冊子を眺めながら、湯元まで歩くか悩んだが
ゆっくり見物しながら歩ける時間でもなかったため、そのまま湯滝入口バス停に向かった。
ところが…、バス停を目の前にしたところで、なぜか日光駅行きのバスが通り過ぎていったのだ
そういえば、8月1日にぽぴさんと日光を歩いた時にも
私とぽぴさんが持っていた冊子のバス時刻表の時刻が違い
光徳牧場で気が付かなかったら、「あわや」というところであったことを思い出した。
つまりは、私が最寄り駅でもらった冊子には、実際の運行時刻とは違う時刻が掲載されていたのである
次のバスでも、電車の時間まで余裕があるので問題はないが
車の多い国道で、30分近くバス待ちのために時間を潰すのは苦痛だった。
15時20分、やっと来た日光駅行きのバスに乗り、車中から男体山に別れを告げて帰途に就いた。
それにしても、弓張峠で蚊に刺された跡が、熱を持ってパンパンに腫れ上がり
真っ赤なしこりになって、今日になっても痛し痒しでほとほと困っている
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100年越えで発芽する種とか、ほとんど乾熱滅菌器の中に入れてるに等しい砂漠の乾季をしのげる微生物とか、シベリア凍土の中でも凍らない奴らって、ほんとに不思議で、すごい・・・。
「健気に生きて・・」というよりも、「それがなにか?」って感じでごくフツウの顔して繁殖しちゃってる。
一体どんなしくみでそんなに強い?
今のハイテク素材にも、こうした小さい生き物のしくみをマネさせてもらったものも多々あり、ヒトが頭で考えてとても解決できない答えを他の生命体から学ぶとき、ふと敬虔な気持ちになることがあります。
深海で水圧に耐えているとか、メタンハイドレートの周辺で熱水をものともしない、などという表現は、人間基準の表現ですね。
次回小田代湖出現の暁には、カイエビがまた発生しているか、一緒に見にいきませんか?