道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

スカーボロ・フェア

2007-12-22 01:38:25 | 音楽
同じイングランド民謡で、同じくかつての恋人への歌いかけであるのにも関わらず、「スカーボロ・フェア」の歌詞は、女々しい「グリーンスリーヴス」と違って、かなり強気である。
しかし、強気を越えて傲慢とも言えるほどの歌詞なのに、その旋律は爽やかで軽快。少しだけエキゾチックな音階は、テンポの良いリズムとあいまって旅情を催す。何とも素晴らしい曲である。

どうも、サイモン&ガーフィンクル版で有名になっているようだが(私はまだ聴いたことがない)、れっきとした民謡で、やはり「グリーンスリーヴス」と同じくらいの時代の成立という。
これらの民謡然り、ダウランド然り、バード然り、16~17世紀のイギリス歌曲は非常に優れたものが多い。そして、素朴ながら美しい旋律を編み出すそのセンスは、時を前後してヨーロッパ大陸で流行った華麗なるバロック音楽とは一線を画しているように思われる。

素朴であるが故に、時代に捉われず、常に我々の前に新鮮であり続ける。このようなものを「古典」と言うのであろう。


ところで、現在でも多くの人を魅了し続けている曲であるが、友人が出席した結婚式で、入場のBGMに使われたらしい。
素晴らしい曲ではあるのだが、結婚式はまずいと思う。
要するに、歌詞の問題である。

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Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Remember me to one who lives there,
She once was a true love of mine.

Tell her to make me a cambric shirt,
Without any seam or needlework.

Tell her to wash it in yonder dry well,
Which water ne'er sprung nor rain fell.

Tell her to clear me an acre of land,
Between the salt sea and the sea strand.

Tell her to plow it with one ram's horn,
And sow it all over with one peppercorn.

Tell her to reap it with a sickle of leather,
And tie it all up in a tomtits feather.

Tell her to carry it all in a sack,
And carry it home on a butterfly's back,
Then she shall be a true love of mine.

スカーボロの市に行くのかい
「パセリ、セージ、ローズマリーにタイムはいかが」
あそこに住んでいる娘によろしく
昔、あいつとは付き合ってたんだ

亜麻布のシャツを作れと言ってくれ
縫い目も針跡もないやつを

そのシャツを泉で洗えと言ってくれ
あそこは水も湧かなければ雨も降らない

1エーカーの畑を作れと言ってくれ
海と浜の間に

その畑を羊の角で耕せと言ってくれ
そして胡椒一粒を畑全体に播くんだぜ

それを革の小鎌で刈り獲れと言ってくれ
そしてシジュウカラの羽で束ねるんだぜ

全部を一つの袋に入れて運べと言ってくれ
そして蝶の背中に乗っけて運ぶんだぜ
そうしたらまた付き合ってやるよ、って