ちょっとピンぼけ/倉敷界隈

日々の記録。見たり、聞いたり、買ったり、食べたり。

今日の見もの(おまえうまそうだな)

2013年07月08日 23時17分37秒 | 見もの

おまえうまそうだな
2011年 89分 日本 県立図書館蔵

映画(本や音楽、アニメでもだが)はタイトルとジャケットを見ればだいたい善し悪しが想像できる。それで言うと、この映画は多少子どもっぽいだろうがいい話に違いないと思って手にとってはいたのだが、なかなか見るチャンスがなくて見られないまま時が過ぎていっていた。まぁ、なぜかしらこういうことが起こることもあるのだ。それでもきっかけと言うのはあるもので、チビとママが幼稚園のイベント中にこれを見て、『あと10分で終わりという時に見られなくなっちゃって残念。最後まで見たかったなぁ・・』なんてことがあり、県立図書館で検索したら在庫していたのでポチって見た。たくさんのビデオやTV、映画を見て「お話グルメ」なチビが、最後まで引き込まれて見たのだから、どの家庭でも親子で見たらいい映画だと思う。

草喰い(草食)恐竜のお母さんは、ある日偶然川に流れてきた卵を拾い、自分が産んだ卵と一緒に育てることにした。数日後、殻を破って生まれたのは、自分とは違うとがった歯をした恐竜の赤ちゃん。肉食い(肉食)恐竜かもしれないからと周囲には言われるが、お母さんは赤ちゃんに「ハート」、同時に生まれた自分の赤ちゃんに「ライト」と名付ける。二匹の恐竜は仲良くすくすくと育っていったが、ある日ハートは衝動に突き動かされて森林地帯から草原地帯へ行く。そこには肉食恐竜たちがいて、草食獣を殺して食べていた。殺戮を見て怖がるハートだが、そのティラノサウルスにおまえも同類の肉食じゃないかと言われる。このチビ恐竜をからかう大人の肉食獣を止めたのが片眼のデカいボス。帰れ、(大人たちは)この子に手を出すなといい去って行ったが、森に帰るハートを一匹がつけてきた。そこで一悶着あり、迎えに来たライトを襲おうとする。必死に相手に噛みつきライトを救おうとするハートは、ついに相手のしっぽをかみ切ってしまいそれを食べてしまう。

「肉うめぇ」

ハートは肉食獣として目覚めてしまった。そのまま本能に突き動かされてライトまで襲うハート。ハッと気づいてショックを受け、お母さんとライトの前から去ってしまう。ひとりで生きていく決意をしたハートは、群れには属さない一匹オオカミの肉食恐竜としてたくましく成長し旅を続ける。そんなある日、ハートは落ちていた卵を偶然に見つける。すると卵の殻が破れ、アンキロサウルス(草食恐竜)の赤ちゃんが生まれる。腹を空かしたハートが「おまえうまそうだな」と食べようとすると、赤ちゃんはハートをお父さんと勘違いし、自分の名前は「ウマソウ」だと信じてしまう。ハートは自分を育ててくれた母親を思いだし、その子を育ることになった・・。

実は同時に本も借りた。本は市立図書館で借りたのだが、普通の絵本と新聞の二倍ぐらいの大きさの「読み聞かせ用の大型本」だったが、内容は上のストーリーのうまそうに出会うシーンから、かけっこと称してうまそうをアンキロサウスたちの群れに返すところまでで、それ以前も以後も書いてはなかった。映画にあわせ、脈絡が続いて理由をわかりやすく説明するために前後を創作したのだろう。

感想だが、やはり親が子どもにかける無償の愛を感じて、チビ恐竜に「よかったね。君を愛し君が愛する人が傍らにいて嬉しいね。」そう言いたい気分だった。前述のおおかみこどもほどではないが、そんな親(この場合は本当の親ではないが)を見て、ファミリーとか子どもを育てること、親とはどういうものか、子どもとして何をして貰っていたか、親に何を感じてきたか・・が見られて素敵だった。

この中で、「肉食の自分が草食のうまそうと一緒にいてはいけない。いつかうまそうを食べてしまうかもしれない。どんなに離れがたくてもいつまでも一緒にいられない。別れるしかないのだ・・」と考えたハートが、かけっこをしようとうまそうに言って、走るうまそうから離れていき別れようとするシーンがある。私としては、相手のことを思い泣く泣くした行為と褒めたいぐらいだが、ネットの書き込みに、『本当の親に育てられてない自分から見て「なんて勝手な奴だ」と思って腹が立った』と書いている人がいた。その人の立場になってみないと本当の気持ちはわからない。想像や己の考えと、実際の体験では重さが違う。それを改めて感じた映画でもあった。

さて私が一番覚えているシーンはこれだ。

ハートが敵のしっぽをかみ切って食べた時、初めて肉を食べた彼が「肉うめぇ」と嘆息するシーン。あのワンシーンがなかったら私のこの映画に対する評価が別物になっただろうなと思うぐらいのシーンだった。併せて、あの言い方、声優ってすごいよなぁとも思った。さすがプロ。あの一言にあれだけの感情を込められるのは、私らじゃぁ絶対できないと思う。

と言うことで、小さなお子さんにもわかりやすいし、本と併せて読んであげるとか色々な使い方があるでしょうからお勧めです。