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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「自衛隊を南スーダンに送るな!いのちを守れ」

2017年01月10日 | 平和憲法
 ◆ 青森県の取り組みと、自衛隊員の家族、高校生、市民の声 (教科書ネット)
谷崎嘉治(青森県九条の会共同代表事務局)

 ◆ 青森県九条の会発足(2004年)
 2001年、9・11アメリカ同時多発テロを受け、10月に米・英等の有志連合諸国がアフガニスタン軍事攻撃を開始。これを支持する小泉政権は、同月にテロ対策特別措置法を強行成立させ、翌月に自衛隊海外派遣(インド洋)を強行し、翌年4月に有事三法案を国会に提出した。
 このような情勢の中、青森県労連、県平和委員会、新婦人をはじめとする県内8団体の呼びかけにより、「戦争いやだ、憲法まもれ!青森県民の会(略称憲法ネットあおもり)」を2002年5月3日憲法記念日に結成。憲法課題を中心とする新たな運動を開始した。
 また、2003年3月、米英軍によるイラクへの軍事攻撃開始という国際情勢の中、憲法改正に関する世論調査で「賛成」が「反対」を上回るという事態を迎え、6月10日に発足した全国「九条の会」は、『改憲のくわだてを阻むため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴えます』と、アピールを発した。
 これを受けて、青森県では共産党系と言われる「憲法ネットあおもり」「県労連」、社民党系と言われる「憲法を守る青森県民の会」「県平和労組会議」を基盤として、同年11月、全国でも珍しい共闘形態で「青森県九条の会」を発足させ、運動を展開してきた。
 ◆ なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク発足(2012年)
 2011年3月11日、東日本大震災による東北電力福島第一原子力発電所事故を受け、翌年の同日に市民グループ主体で「3・11青森県民集会」を開催。
 これを契機として、原発・核燃問題の住民運動、反原発・反核燃の市民運動が大同団結し、「なくそう原発・核燃あおもりネットワーク」が8月に発足、参加団体は翌9月に47団体に達した。
 以降、3月11日前後に「あおもりネットワーク」主催の青森県民集会を毎年開催。また、県内各地で市民団体の共同による金曜行動も継続されている。
 ◆ 市民グループが闘った青森県知事選(2015年)
 2015年6月の青森県知事選挙において、市民グループ主導で「青森県を変えよう!大竹さんと進む私たちの会」を結成し、「あおもりネットワーク」代表の一人の大竹進医師を擁立して、『原発・核燃をやめて故郷を守る』『憲法を遵守して暮らしに活かす』を前面に掲げ、共産党・社民党と政策協定、民主党・生活の党の代議士個人の応援を得て、半年間に及ぶ県知事選挙を闘った。
 現職知事との一騎打ち選挙の結果は、得票率約3:7と大差を付けられたが、原発・核燃・戦争法容認の自民党県政に対する市民グループからの挑戦として大きな一石を投じ、野党と市民グループの共同、信頼関係の醸成・発展に大きく寄与した。
 ◆ 野党統一候補 田名部まさよ勝利 参議院選挙(2016年)
 2014年「集団的自衛権の容認」閣議決定、翌年「戦争法」強行成立の前後、県内では「九条の会」を中心に活発に反対・抗議行動が展開された。
 特に青森市内では、13団体(県九条の会、市町村長九条の会、コープあおもり、青森ペンクラブ、共産党、社民党、他)共催の集会を10数回、毎月最低4回の憲法街宣・スタンディングを行ってきた。
 この運動を背景に、2016年3月、「戦争法廃止を求める青森県民ネットワーク(115団体加盟)」が発足し、2000万人署名推進の運動母体となった。
 このような中で、多くの市民団体から「2016参議院議員選挙における野党統一候補擁立の働きかけをして欲しい」という要望が、県九条の会に寄せられ、県と地域の「九条の会」9団体の連名で、2016年1月末に野党5党への申し入れを行った。
 県民の願いを背景に、民進党公認の田名部まさよ野党統一候補が実現し、わずか80票の差で歴史的な勝利を収めた。
 ◆ 南スーダン派遣反対のとりくみと市民の声
 青森の第9師団第5連隊から南スーダンに派遣されるという情勢を前に、10月三沢市開催の日本平和大会を成功させ、同時進行の「自衛隊を南スーダンに送るな!いのちを守れ!10・30青森集会(県民ネットワーク、総がかり行動実行委員会共催)」を、東北・全国から駆けつけた総勢1250名の参加者でアピールした。
 また、11月第1陣南スーダン出発の青森空港で、派遣抗議行動・アピールを行った。憲法街宣では「南スーダン派遣反対!」の署名活動を展開、地域署名活動に必死に足を運んだ政党もあり、多くの市民・高校生から話を聞くことができた。その声の一部を以下に紹介する。
 〈自衛隊員の家族〉
 ・前回の戦争法案審議の時には署名したが、今、この署名に名前を書けばおかしなことになる。もう家族で覚悟しているから署名できない。
 ・親子で自衛官だが、父親は憲法九条に守られていた。しかし、息子は守られないことになってしまった。
 ・南スーダン派遣だけでなく、言えないことも多い。話をすれば秘密漏洩となり、自衛隊員にも家族にも迷惑が掛かる。話しても、どこまで私たちを守ってくれるのかわからない。
 〈自衛隊員の家族の親戚、知り合い、友人(わりと署名に応じてくれる)〉
 ・今回の派遣と任務は何かがおかしい。
 ・「国を守る」という任務に合致しないことをさせるのは疑問だ。
 ・家族がいのちの心配をしているのに、政治がおかしい。憲法違反だと思う。
 〈自衛隊広報官経験者〉
 ・自分が勧誘して自衛隊に入った青年が、万が一犠牲になったら、何とお詫びすればいいのか分からない。
 〈高校生(声をかけるとほとんど署名に応じてくれる)〉
 ・学んできたことと違う、憲法違反だと思う。
 ・3・11時の災害救援にあたる自衛隊員の姿を見て、自衛隊を希望していた。でも、今の安倍政権のやり方では、自分がなりたいと思っていた自衛隊ではないので、安保法制を無くして欲しい。
 ・学校で自衛隊広報官から「今の世界にとって自衛隊は必要だが、若い人が入って来ない、人が足りない」と言われた。「テロをなくす」「PKOで活躍して頑張っている」姿を親にも見せたいと思って受験した。ニュースで見て、銃を持っていくかもしれないとすごく不安になってきたが、合格したので就職先として行く。
 〈一般の方〉
 ・青森から自衛隊が南スーダンに行くの?と聞き返す人が多い。
 ・南スーダンに銃を持って行くという、国のやり方・説明には理解も納得もできない。
 ・日本を守るためならいいが、今回はおかしいと思う(20~40歳代に多い)
・国が言ってるんだから安全なんでしょ!自衛隊の人を責めて!(反発も多い)
 〈以上の『声』を紹介してくれた方からのメッセージ〉
 南スーダン派遣に反対する行動について、自衛隊員の家族からSNSやFacebook上に、戦争法廃止の運動に賛意を示し、感謝の言葉を添えながらも、
 「誰にむかって反対の声をあげているのか分からない。隊員や家族が責められているように感じる」
 「見送りくらい家族との時間を考慮してほしかった」
 とのコメントが入り、
 「いのちが大事」「家族から反対の声をあげるべきだ」との反論が投稿された。
 運動への感謝の言葉に対し、「ならば、何故、反対の声をあげないのか」と問い返したことの責任の重さを運動する側は考えなければいけない。
 同時に、家族から指摘されていたように、「誰に対して声をあげているのか」を明確にすることが、隊員と家族を守ることになるということを忘れてはいけない。このメッセージを添えて本稿を終了する。(たにざきよしはる)
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 111号』(2016.12)

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