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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

生物濃縮でマスに高濃度セシウム

2012年10月16日 | ノンジャンル
 ▼ 中禅寺湖の苦闘
   マス遡上 汚染乗り越え


 秋の深まりで紅葉が始まった栃木県日光市の中禅寺湖。体を婚姻色に染めたヒメマスやホンマスが、産卵のため生まれた川に遡上(そじょう)している。
 さかなと森の観察園の中を流れる菖蒲清水では、川底の一部が赤く見えたり水中映像で観察できるが、マスには放射性物質汚染という受難が待っていた。

 中禅寺湖は東京電力福島第一原発から約百六十キロの距離にある。原発事故で栃木県の山々に放射性物質が降り注ぎ、暖かくなると雪解け水とともに、戦場ケ原を流れる湯川などの河川から中禅寺湖に流れ込んだ。
 動物性プランクトンや昆虫、小さな魚を食べて成長するマスからは、徐々に高い放射性セシウムが検出された。
 事故から約二ヶ月後の二〇一一年五月のヒメマスは、一㎏当たり54ベクレルだったが、今年二~三月の測定では、ヒメマス195.7ベクレル、ニジマス168.9ベクレル、ブラウントラウト280ベクレルという数値になった。
 四月一日に釣り解禁を予定していた中禅寺湖漁協は、国の基準値を超えたため解禁を延期し、釣った魚を湖に戻すキャッチアンドリリースを初めて試行することで、五月の解禁にこぎ着けた。
 産卵時期に地引き網で捕れた天然魚のヒメマスやホンマスは地元日光の料理としてホテルや旅館、食堂などに供給されていたが、九月の検査でもヒメマスから140ベクレルが検出されて流通はできない。
 漁協では遡上してきたマスを捕獲し、魚体は廃棄して人工ふ化だけを続けている。
 卵巣からは51ベクレル、精巣からは37ベクレルが検出されていて、放流用に他の湖の漁協とこれまで契約してきた受精卵の注文が来るのか、苦悩は続く。
 中禅寺湖漁協専務理事の鹿間久雄さん(62)は「一日でも早く3・11以前の湖に戻ってほしい」と話す。
文と写真・立浪基博/紙面構成・武田雄介

『東京新聞』(2012/10/14【TOKYO発】)

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