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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2020年9月24日)

2020年09月27日 | 暴走する都教委
 ◆ 全国初の公立小中高一貫教育校は、
   12歳児に「落ちこぼれ」の烙印を押すか?!
(レイバーネット日本)

 公開議案は、学校における新型コロナ感染症の拡大防止の取組を徹底するために新たに医療の専門職(=教育庁技監)を配置するということで、「処務規則等の一部を改正する規則の制定」。
 非公開議案には「元東京都公立学校教員等の退職手当支給制限処分について」という議案が3件あった。これはいったい何?ネットで調べると「有罪判決が確定し、失職したため、職員の退職手当に関する条例第15条第1項第2号の規定により一般の退職手当等の全部を支給しないこととした」(埼玉県)事例や傷病や死亡により退職した場合の退職金についての規則がヒットした。傍聴を初めて9年半、私は初めて知った案件だが、これまでも議案となったことがあったのだろうか。
 報告事項は、公開議題が来年度の高校入試関係で2件。

 定時制高校を閉課程にする(潰す)方針(当面は、小山台高校及び立川高校)を掲げる都教委が、この2校の定時制課程の入試をするかが気になったので、配布資料を見たところ、日程が書かれていた。来年度は潰されずに済んだ
 それは、ずっと取り組んできた人たちの行動によるものだ。都教委は、2校を閉課程にできなかったのだ。
 他に、①「都立小中高一貫教育校入学者の決定方法について」 ②「都立高校における発達障害教育の充実について」 ③「八丈町における都立特別支援学校の分教室の設置について」が公開議題。
 非公開議題には今回も、教員の懲戒処分があった。 

 ①「都立小中高一貫教育校入学者の決定方法について」

 2022年度、立川国際中等教育学校付属小学校を新設する。2017年4月の定例会で「公立で全国初の小中高一貫教育校」の設置、と意気込んで説明があったのを思い出す。
 都教委が管理しモデル校にして、「一貫教育校の成果を都内区市町村に発信すること等を通して、都の教育全体の充実を図る」のだという。現在は、開校に向けて準備中とのこと。今日は、この学校の概要と小学校入学者の適性検査についての説明がなされた。
 「高い語学力と豊かな国際感覚を備えた、世界で活躍できる人材を育成」を目標に、「小学校1年生から外国語(=英語)の授業実施、帰国児童・生徒や在京外国人児童・生徒の受入、探究的な学びを重視(=10学年で全員が海外で研究・ボランティア等の活動に参加)」するという。
 都教委は「エリート校をつくるのではない」というが、「エリート校」そのものだ。都教委のこれまでを見ると、こうしたエリート校へは、ノンエリート校への配分を削って、お金をたっぷり投入してきた。この学校にはさらに手厚い予算が組まれることだろう。今更ながらだが、都教委において平等は死語である
 1年生の入学者決定の流れは、《抽選→適性検査→抽選》。2次の適性検査は1日目が筆記、2日目が集団活動、インタビュー、運動遊び。「一定の基準を満たした受検者を2次合格者とし」、3次の抽選で80人に絞る。
 報告資料に筆記検査の問題例が示されていたが、余程訓練されなければ答えられないような難問だ。この点については、教育委員の一人から問題視した発言があった。適性検査に合格させるには、幼児期から受験勉強を始めさせることになる。
 附属小学校は各学年80名で中等教育学校へは「原則進学」とし、中等教育学校は80名を新たに募集して160名とする。
 「原則進学」とは、3年前の説明では、「附属小学校から中等教育学校への進学については、本人の日常の成績等を基に、学校が進学者を決定する」とのことだった。わずか12歳で「落ちこぼれ」とされる子どもが出るのだ。「落ちこぼれ」とされる子どものその後の長い人生を考えると、ぞっとする。なんて非人間的なことか。こんな学校に子どもたちを行かせてはならない、と思う。
 ②「都立高校における発達障害教育の充実について」

 文科省が学校教育法施行規則を「改正」し、高校においても小中学校のように、発達障害等を持つ生徒に対し、通級による指導(大部分の授業は通常の学級で受けながら、一部の時間、障害に応じた特別の指導を別室で個別に受けること)が可能となった。
 これを受けて都教委は都立高校1校で2018年度から実施。また、学校外で発達障害のある生徒に対し、グループ指導が基本のコミュニケーションアシスト講座を実施した。
 来年度からは、対象となる生徒が在学する全都立高校に導入する(通級による指導を本人が希望し、学校が必要と判断した場合に実施)。コミュニケーションアシスト講座は継続するという。
 ③「八丈町における都立特別支援学校の分教室の設置について」

 これまで、知的障害のある生徒については、中学校の特別支援学級を卒業後は島外の特別支援学校が設置する寄宿舎に入り、その特別支援学校に通ってきた。
 来年度から、都立青鳥特別支援学校八丈分教室を設置し、モデル事業(八丈高校生徒の交流・共同学習 島内の団体・企業と連携した就職等の進路指導)を実施するという。
 ②は、発達障害を持つ生徒が通級によって話を聞いてもらえるなどの利点はあるだろうし、③は卒業後、島の中で生きていく選択が可能となるだろう。
 しかし、どちらも、インクルーシブではなく、あくまでも知的能力による分離教育の枠内での「改善」でしかない。
 少人数学級にし、ゆとりをもって子どもたちに接することができる教員定数にすれば、共学共生=インクルーシブが可能なことは、諸外国を見ればわかること。しかし、教育委員からは、こうした視点からの発言は全くない。
 次回定例会は10月8日(木)。

『レイバーネット日本』(2020-09-25)

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