◆ コロナの感染拡大、不安増す職場
感染した労働者は被害者 (週刊新社会)
新型コロナの国内隔離・治療中の患者数は9月13日現在、7189人。累計感染者数が7万5768人まで上っている。
帝国データバンクの調べでは、新型コロナウイルスに感染した労働者が判明した上場企業(グループ会社や関連会社を含む)は、7月28日時点で累計530社に上り、6月来(382社)から約4割増加した。
3月から4月にかけて急増したものの、緊急事態宣言による移動自粛より、それ以降は労働者の感染ケースも少ない状態が続いていた。しかし、経済活動の再開が本格化した7月以降、労働者で新型コロナの感染が新たに判明した企業が相次いだ。4連休明けの7月27日には23社で新たに判明し、1日当たりで最多だつた4月14日(29社)に次いで多い規模となった。
クラスターが発生した職場や、過去に感染者が発生した企業で再度感染が判明したケースもあり、企業では感染拡大防止に向け、一時的な休業や店舗閉鎖に踏み切るなど、緊急事態宣言発令時と同規模の厳しい対応を独自に取るケースも出始めた。
そんな最中、病院、レストラン、交通産業など、接触機会が多い職場で、コロナ感染の報道が流れるが、注視しなければならないのは、感染した労働者に対する企業の対応だ。
◆ 企業イメージ優先 =私鉄=
首都圏私鉄の電車乗務員職場での出来事を紹介する。8月に新型コロナの感染者が、はじめて確認された。ところが、会社は公表せず、噂や推測だけが職場に漂った。
乗務員たちは不安を抱くも、慢性的な要員不足で休むこともできない。感染者と濃厚接触者とみられる者は勤務を外され、少しでも接触した乗務員には、秘密裏に管理職が聞き取り調査をする。
会社の対策は、「消毒液を職場に置く」「乗務員搭載鞄の取っ手の消毒」「返納時の行路表の消毒」。
この程度の対策で、感染が明るみに出ないからと「全員のPCR検資」もやらない。徹底的な緘口令は感染の事実を抑え、職場全体を疑心暗鬼にさせる。
会社は「ニユースソースになること」「イメージダウンになること」を心底嫌う。それでも、何らかの理由で報道は避けられない。
「阪急電鉄は8月25日、50代男性運転士が新型コロナウイルスに感染したと発表した。運転士は20日まで神戸本線や伊丹線で乗務。鼻声が続いており、翌21日にPCR検査を受けた結果、陽性が判明した。熱などの症状はなく、自宅療養しているという。
同社によると、運転士が勤務していた西宮北口駅(兵庫県西宮市)の執務室や車両の消毒は終えている。運行に影響は出ていない。勤務中は常時マスクを着用しており『利用客との濃厚接触は考えにくい』としている」。(神戸新聞)
企業は労働者の命よりも会社イメージを優先する。明るみに出なければ、ひた隠して個人問題に転化する。
首都圏私鉄と阪急の差はそこにあり、どっちにしてもダメージを受けるのは当該乗務員だ。
◆ リスクの不安が仲間に =清掃=
緊急事態宣言の解除後、感染者数が再び増加し始めた頃から、これまで感染者が出ていなかった各区の清掃專務所でも出始めた。
この聞の感染症対策(三密回避や消毒等)に旭え、水際対策(濃厚接触に満たない職員の自宅待機など)の体制の確立により、どこの事務所でも延べの感染者数は1人におさまっている。
しかし、実際に感染者が出た職場では、様々な問題や課題が浮き彫りとなっている。
濃厚接触者については、保健所がその状況を聞きPCR検査の是非の判断を行うが、事務職員などは、自分のデスクがあり行動を特定できるが、収集職員にはデスクが与えられてなく保健所としても、行動状況の把握や感染者との接触判断が非常に難しいようだ。
また、濃厚接触の判断に満たずPCR検査されない職員に対して、「本当にあいつは大丈夫なのか?」という不安から、「あいつとは(ペアを組んで)仕事したくない」ということに発展してしまい、収集作業に重要なチームワークが希薄化してしまう心配もでた。
一方、収集作業における感染リスクへの不安や、感染を拡大させない(事業を滞らせない)緊張などが長期化してくると、不満や苛立ちなどの矛先が職場の仲間に向けられ始めている。
感染者が出ると「あいつは何をやっているんだ」とか「自己管理の意識が低い」といった声や、噂が噂を呼び、事実とは全く異なる情報などが広まり、「感染者=悪者」といった空気感がつくり出されている。
また、濃厚接触者(自宅待機)の数が増えると、収集コースの応援体制(持ち場以外をカバーする)がとられ、体力的な負担も大きくなる。
すると、「俺らは大変なのに自宅で待機なんていいよな」と、人員配置数が適正でないそもそもの問題が問われるのでなく、問題が職場の仲間に押し付けられている。
新型コロナウィルスの特性上、「いつ誰が感染してもおかしくない」状況であるにも関わらず、こうした差別的言動が起きてしまう悲しい実態がある。
『週刊新社会』(2020年9月22日)
感染した労働者は被害者 (週刊新社会)
新型コロナの国内隔離・治療中の患者数は9月13日現在、7189人。累計感染者数が7万5768人まで上っている。
帝国データバンクの調べでは、新型コロナウイルスに感染した労働者が判明した上場企業(グループ会社や関連会社を含む)は、7月28日時点で累計530社に上り、6月来(382社)から約4割増加した。
3月から4月にかけて急増したものの、緊急事態宣言による移動自粛より、それ以降は労働者の感染ケースも少ない状態が続いていた。しかし、経済活動の再開が本格化した7月以降、労働者で新型コロナの感染が新たに判明した企業が相次いだ。4連休明けの7月27日には23社で新たに判明し、1日当たりで最多だつた4月14日(29社)に次いで多い規模となった。
クラスターが発生した職場や、過去に感染者が発生した企業で再度感染が判明したケースもあり、企業では感染拡大防止に向け、一時的な休業や店舗閉鎖に踏み切るなど、緊急事態宣言発令時と同規模の厳しい対応を独自に取るケースも出始めた。
そんな最中、病院、レストラン、交通産業など、接触機会が多い職場で、コロナ感染の報道が流れるが、注視しなければならないのは、感染した労働者に対する企業の対応だ。
◆ 企業イメージ優先 =私鉄=
首都圏私鉄の電車乗務員職場での出来事を紹介する。8月に新型コロナの感染者が、はじめて確認された。ところが、会社は公表せず、噂や推測だけが職場に漂った。
乗務員たちは不安を抱くも、慢性的な要員不足で休むこともできない。感染者と濃厚接触者とみられる者は勤務を外され、少しでも接触した乗務員には、秘密裏に管理職が聞き取り調査をする。
会社の対策は、「消毒液を職場に置く」「乗務員搭載鞄の取っ手の消毒」「返納時の行路表の消毒」。
この程度の対策で、感染が明るみに出ないからと「全員のPCR検資」もやらない。徹底的な緘口令は感染の事実を抑え、職場全体を疑心暗鬼にさせる。
会社は「ニユースソースになること」「イメージダウンになること」を心底嫌う。それでも、何らかの理由で報道は避けられない。
「阪急電鉄は8月25日、50代男性運転士が新型コロナウイルスに感染したと発表した。運転士は20日まで神戸本線や伊丹線で乗務。鼻声が続いており、翌21日にPCR検査を受けた結果、陽性が判明した。熱などの症状はなく、自宅療養しているという。
同社によると、運転士が勤務していた西宮北口駅(兵庫県西宮市)の執務室や車両の消毒は終えている。運行に影響は出ていない。勤務中は常時マスクを着用しており『利用客との濃厚接触は考えにくい』としている」。(神戸新聞)
企業は労働者の命よりも会社イメージを優先する。明るみに出なければ、ひた隠して個人問題に転化する。
首都圏私鉄と阪急の差はそこにあり、どっちにしてもダメージを受けるのは当該乗務員だ。
◆ リスクの不安が仲間に =清掃=
緊急事態宣言の解除後、感染者数が再び増加し始めた頃から、これまで感染者が出ていなかった各区の清掃專務所でも出始めた。
この聞の感染症対策(三密回避や消毒等)に旭え、水際対策(濃厚接触に満たない職員の自宅待機など)の体制の確立により、どこの事務所でも延べの感染者数は1人におさまっている。
しかし、実際に感染者が出た職場では、様々な問題や課題が浮き彫りとなっている。
濃厚接触者については、保健所がその状況を聞きPCR検査の是非の判断を行うが、事務職員などは、自分のデスクがあり行動を特定できるが、収集職員にはデスクが与えられてなく保健所としても、行動状況の把握や感染者との接触判断が非常に難しいようだ。
また、濃厚接触の判断に満たずPCR検査されない職員に対して、「本当にあいつは大丈夫なのか?」という不安から、「あいつとは(ペアを組んで)仕事したくない」ということに発展してしまい、収集作業に重要なチームワークが希薄化してしまう心配もでた。
一方、収集作業における感染リスクへの不安や、感染を拡大させない(事業を滞らせない)緊張などが長期化してくると、不満や苛立ちなどの矛先が職場の仲間に向けられ始めている。
感染者が出ると「あいつは何をやっているんだ」とか「自己管理の意識が低い」といった声や、噂が噂を呼び、事実とは全く異なる情報などが広まり、「感染者=悪者」といった空気感がつくり出されている。
また、濃厚接触者(自宅待機)の数が増えると、収集コースの応援体制(持ち場以外をカバーする)がとられ、体力的な負担も大きくなる。
すると、「俺らは大変なのに自宅で待機なんていいよな」と、人員配置数が適正でないそもそもの問題が問われるのでなく、問題が職場の仲間に押し付けられている。
新型コロナウィルスの特性上、「いつ誰が感染してもおかしくない」状況であるにも関わらず、こうした差別的言動が起きてしまう悲しい実態がある。
『週刊新社会』(2020年9月22日)
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