今朝の東京新聞の人気連載企画『未来は変わる~ちばのSDGs』に南流山子ども食堂の皆さんが開催された『インクルーシブコンサート』が特集されました。
牧田幸夫記者の丁寧な取材がうかがえる記事、いつもながら読み応えがあります
南流山子ども食堂の皆さんと生涯学習センター流山エルズが共催し、流山市社会福祉協議会が後援して準備が進められてきたものだそうです。素敵な取り組みですね。
以下、紙面から。
<未来は変わる ちばのSDGs>
すべての子らに音楽を ピアニストで子ども食堂代表・金川聡美さん
流山で「共生」体感するコンサート
一月末に流山市生涯学習センターで開かれたコンサート。訪れた百十三人のうち、約三十人は発達障害児支援施設や児童養護施設の子どもらで、客席にはフリースペースも設け、子どもたちが演奏中も体を動かしたり、リラックスして生演奏を楽しんだ。
この「インクルーシブコンサート」を企画したのは市内で南流山子ども食堂を運営するピアニストの金川聡美さん(40)。インクルーシブとは、「包み込む」という意味。かみ砕いて言えば「仲間外れにしない」「みんな一緒に」。子どもの貧困問題と向き合う中で、「すべての家庭の子どもたちに平等に音楽を届けたい」と立ち上がった。
出演者は金川さんはじめ、サクソフォンの竹内沙耶香さん(41)、歌はソプラノの島田佳子さん(52)。「翼をください」「いのちの歌」はじめ、映画「アナと雪の女王」の挿入歌「レット・イット・ゴー」やアニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華(ぐれんげ)」など十三曲を演奏した。
このコンサートは寄付を募るチャリティーでも、施設を訪れる慰問でもない。違う環境で育つ子どもが一緒に音楽を体感し、相互に理解を深める。参加した女性は「演奏中に子どもが大声を出しても包み込む雰囲気があり、安心して親子で音楽を楽しめました」と感想を話した。
金川さんは母の死をきっかけに二〇一七年に子ども食堂を立ち上げた。闘病中に「元気になったら社会のためにボランティアをしたい」と話していた母の遺志を継いだ。これまでに延べ二千四百四十九人に食事を提供。コロナ禍で会食ができなくなると、食料品の配布に切り替え、延べ千九十五世帯に届けた。
ピアニストと子ども食堂代表。二つの顔を持つ金川さんは、周囲から誤解を受けないよう二つの活動には一線を画してきたという。しかし、困窮家庭が抱える問題の根の深さを知るにつれ、二つの顔を一つにして「共生社会の実現」を訴えたのが今回のインクルーシブコンサートだ。
「コンサートは食後のデザートみたいで、絶対に必要というものではないけど、あれば幸せを感じるよね。今、たまたま困難な家庭にいる子どもたちも、そのちょっとした幸せを享受してほしい。ライブならではの音のエネルギーと振動を体感してほしかった」
共演した竹内さんは音楽科で学んだ高校時代の三年間、金川さんと同じクラスだった。「彼女の人生の大きな船出に立ち会ったような気持ち」とエールを送る。「こんなに音楽を求めている人たちがいたんだ。音楽を届けに行こう、そう強く思わせてくれたコンサートでした。今後も関わっていきたい」と話す。
島田さんも「音楽は私たちの日常の中で、心を慰め元気づけてくれるかけがえのないもの。夢や希望、喜びや愛を伝えられるよう一曲一曲言葉を大切にして歌いました」。
コロナ禍で感染防止対策には万全を期した。成功裏に終え、金川さんは子どもたちの笑顔に、また元気と勇気をもらったという。「次回開催に向け準備を進めたい」と力を込めた。(牧田幸夫)
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