おんらく館~のこぎりものには福がある~

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悔しい調律と嬉しい調律

2016-02-22 | 調律
お陰さまで、最近ご新規のお問い合わせが随分増えてきました。

その中から2件を


1件は、「出ない音がある」というアップライトピアノ。
前回の調律から10年くらい空いていて、お嬢さんが結構弾いているとの事。

音が出ない場合、多くはスティックといって、ハンマー等アクションを動かす軸が硬くなって動きが悪くなっていたりするんですが、今回はその逆で、軸であるピンが半分くらい抜けかかっていて、グラグラになりすぎたためハンマーが真っ直ぐ打弦せず音が出なかった、というパターンでした。

見ると他にもグラグラのハンマーは多数あり、中にはピンが抜けていないけど、軸がゆるくなっていてぐらついている、というのも結構ありました。

また、調律の際のチューニングピンも、低音の1本は、音を上げてもまたすぐ戻ってしまうくらいゆるいものがあり、止まるけどゆるい、というのも数本ありました。

お客様にお断りをしてから、有料修理ということで作業を進めました。

作業中、またその後の調律中に、結構大きな共鳴による雑音もありまして、ネジも全体的に緩んでいたので、どこだろう?と探しながら作業を進めていました。

雑音の原因が特定できないまま、調律も終盤、低音を合わせていたときにフと見ると、響板が大きく割れているではありませんか!!

ノイズの方向から見ても、原因はその響板の割れに間違いありません。

一方、こうなってしまうと、この場ではどうにも修理が出来ません。


お客様もずーっと側で作業を見ていたので、そのまま呼んで事情を説明したところ、すぐに納得はしてくれましたが、内心どうにも自分の気持ちが納まりませんね。。。

やり残し感というか、妙な敗北感があって、そのまま申し訳ない気持ちになってしまいます。

後日修理の際の見積もりと、買い換えた場合のことを聞いて、お客様にメール報告しました。
出したばかりなのでまだご返事はありませんけど、ちゃんと気持ちよく弾ける環境になって欲しいなとただ願う今日この頃です。



もう1件は、その翌日。
今度はグランドピアノですが、ご主人が気に入って購入され、毎日何時間も弾いているというピアノ。


伺ってみたら、防音室もあつらえ、大きなグランドがドーンと入っていました。

メーカーの調律師が納入調律に来たということですが、メーカー調律は値段が高いので自分に依頼したとのこと。。(笑)

ただ、聞いてみると、買った後から戻りの悪い鍵盤がありタッチがもたつくとのこと。

ひどいところは既に直してもらったとのことですが、見ると確かに全体的に硬め。。。


分解掃除して、ピンを磨いて調整しなおしました。

とにかく気に入ってずっと弾いてるということなので、その他も時間の限りチェック、調整しました。


こちらは大変喜んでいただけて、帰宅後メールにて改めてお礼をいただきました!




ピアノも生き物ですから、なかなか思うようにいかない時もありますが、少しでも喜んでもらえるよう、今後も気を引き締めて作業をしていきたいと思った次第です。。。