「な」と「の」で悩む

不思議だな、と思うことがある。
どういったわけか、松浦は異性に縁がない。びっくりするくらい、ない。
原因を考えることも怠らない。しかし冷静に、客観的に分析すればするほど、これはもう神の見えざる手が働いているとしか思えない。

つい先日も、同志だと思っていた知り合いの入籍を知った。
その人の個人的な事情は、他人である松浦には分からない。が、他人だからこそより客観的に見ることが出来る部分もあると思う。
当然、サンプルとしてシミュレーションに加えた。
何度となく思考実験を繰り返したが、松浦との運命を分ける決定因子は見つけられなかった。
やはり、何か不思議な力の存在を感じずにはいられない。

松浦は不思議な力を持っている。
松浦は不思議の力を持っている。
松浦は不思議の力に支配されている。

たぶん、二人の差は「な」と「の」の違いみたいなもので、意識しなければ見過ごしてしまうものなのだろう。
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