お一人おひとりへの送り歌

人生の終焉を迎え、いよいよお別れしなくてはいけないその時に、
宗教的な儀式と共に読経又はミサなどの音楽が流れ、
悲しみを包み込む空間を共有することになります

多くの場合、広義な意味の宗教音楽が使われますが、
時には故人を偲んで思い出深い音楽が流れることがあります。

ある施設で、若い職員さんが「○○さんのお見送りの会をしたいと
思っていますが、長く関わっていただいた音楽療法の中で、
何か特別な曲はありますでしょうか？」と尋ねられました。

そのお気持ちに胸が熱くなりました。
利用者さんが音楽療法に参加されて、笑ったり、歌ったりされると、
ご自分のことのように喜ばれる職員さんでした

私にとっては、多くの皆様と音楽を介した関わりの中で、
‘あの時’‘あの表情’‘あの姿’の思い出が刻み込まれていきます
その中でも、特に印象的な‘あの時’の曲を
「送り歌」として心の中でお見送りをさせていただいています

お一人おひとりに‘その人らしい音楽’が存在していることを
音楽療法のひと時において実感することが多くあります。
大切な「送り歌」を、旅立ちの時にお届けできればと願いながら・・・