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ホワイトアルバム

2011-08-12 14:38:09 | 日記
パット・メセニーのこのアルバム、



『Pat Metheny Group/still life (talking)』
をなぜ私がホワイトアルバムと呼んでいるのか、それを
以前のブログに書いたつもりだったが書いていなかったので
改めて書こう。

以前のブログでは師匠のゆうぞうさんから「パット・メセニーですごい
アルバムがあるよ、確か白いジャケットだったと思う。」といわれた
ことがあったと書いた。
私はそれ以来、10年近くにわたりパット・メセニーの幻の白ジャケを
さがしていたのだが見つからずじまいというか、ゆうぞうさんの確認を
とれずにいたわけだ。

ある日まったく別のブログで上記のアルバムのことを書いたら
ゆうぞうさんからコメントがきた。

「それだ!! 白ジャケ…」

信じられますか? みなさん!!
人の印象は様々あってよいが、上記のジャケットを「白ジャケ」
というには、私はあまりの抵抗がある。

しかもこのアルバムは私が初めてパット・メセニーを聴いた時の
ものである。つまり最初から持っていたわけである。

なんと10年間私は幻のアルバムを求めてさまよっていたのだ。

俺の10年を返せ! といいたい。

ところで、ゆうぞうさんなのだが、私はあの人を異常だと思う。
彼すごいんだ。よく話をしていて、ミュージシャンの曲や演奏の
話になるのだが、彼は聴いたCDのほとんどをソラで歌えるのだ。
誰がどのタイミングでどんなふうにシンバルを入れているとか
それだけにとどまらず、ギターとか歌とかメロディまでも、頭に
入っているようなのだ。

私はメロディー楽器奏者だが、正直私を含めあんな人は見たことが
ない。自分では気が付いていないようなのだが、ハッキリ言って
あれは特殊(というか異常)な才能だと思う。


しかしだ! それにもかかわらず、100人いたら100人がちゃんとやりそうな
ブレイクの場面で、あの人はブレイクし忘れたり平気でするのだ。
意図的ではない。なぜなら先日はミスしてペロッと舌をだしていたから(笑)。

あと、バック・コーラスを歌っていて、みんなが歌い止んでいるのに
一人だけ声をだしちゃった場面も何度も見た。

本当に不思議だ。1回聴いたメロディーを諳んじてしまうような才能を
もちながら、上記のアルバムを「白いジャケット」といってみたり、
そこをミスっちゃうとちょー気まずいぞ、という場面で「いけね!」とか
やってる(笑)。

つくづく不思議な感覚をもった人だと思う。

まあおかけで、あの人といると普段の10倍くらい楽しい(笑)。


これが実物。私のデジカメを奪い取り、
あろうことか、自分で自分の顔をとりやがった。

改めて紹介するが、今度8月21日(日)にまたRock'n Roll closetが開催される。
その際、本名カズトBandのドラムとして出演されるようだから、一度、みてやってください。


がんばろう、東日本!!
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Wayne Shorter/Native Dancer

2011-08-09 17:11:01 | 日記
ついに買った!



『Wayne Shorter/Native Dancer』

歴史的名盤ゆえに、レコード屋さんに売ってなかったんだよね。
ずっと探し回っていたのだけど、
友人の堀江さん勧めに従い、結局ネットで注文した。

このCDの存在を知ったのは、Kurt Rosenwinkelのアルバムで
「Ana Maria」が採りあげられていたことによる。

もちろん、マイルス・バンドやウェザー・リポートが大好きな
私はウェインを凄く尊敬していたし、「ネフェルティティ」など数々の
名曲を遺していることも知っていたが、正直、「Ana Maria」(カート・
ローゼンウィンケルの演奏だけど)を聴いたときは、マジでぶっ飛んだ。
椅子から転げ落ちそうになった。

いままで聴いたこともないようなサウンド、特定し難いコード進行、
激しさとリリシズムがいりまじった美しいメロディ、すべてが新しい
世界だった。

ウェインの印象はむしろ作曲者としてのほうが私にとっては強いかも。


Youtubeにある「Ana Maria」の演奏をことごとく聴きまくった。
結局、このアルバムにたどり着いた。
CDを購入する前に、CDの中身はネットで全部知っていた。
(なんと便利な世の中、でも安っぽい世の中だ)

でもね、こういうのは絶対買わなきゃだめよ、
お金を払わなきゃだめ…よ。

というわけで、ついに買った。


奇跡のようなアルバムである。
ボサノバとはちがったブラジル、太陽を信仰する民の音楽、
呪術…。

孤高の人:Milton Nascimento(ミルトン・ナシメント)


ボボ・ブラジルではない(笑)

なんということだ。こんな凄い音楽がこの世にあったのか…。
(ココバットを食らった!!(笑))

ウェインやナシメントの演奏のすばらしさはもちろん言うまでもないが、
このアルバムを凄いものにしている陰の立役者はハービー・ハンコックである。
随所でハッとするような凄い演奏をしている。

ところで以前にも紹介したが、パット・メセニーのアルバム、


『Pat Metheny Group/Still life (talking)』

このアルバムを私は「ホワイト・アルバム」と呼んでいるがその
経緯については以前ブログで書いたので省略するが、このアルバムはパットと
ナシメントとの出会いが生んだものであることを、改めて確信した。
私が「おえおえ軍団」と呼んでいる歌声と、ナシメントの歌声がそっくりだ。

上記のアルバムは私がジャズ・ギターに目覚めるきっかけとなったアルバムであり、
いまでもメセニーの中では最もよく聴いている作品かも知れない。

まあ、単に私がブラジル好きなだけの話なんだろうけど、それにしても
こんな世界とつながりがもてるなんて、すごくラッキーだと思っている。

世界には私たちが知らない音楽なんて無数にあると思う。
そしていろんな世界の音楽があってもよいと思うし、そのすべての
ジャンルを私は受け入れているつもりだ。

だけど、この凄さが理解できないなら、ちょっとその人の感性を疑っちゃうかも…。
そのくらいすごいぞ。絶対お勧め。

大丈夫、日本!!
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精進百撰 - 水上勉

2011-08-04 18:04:16 | 日記
私の料理好きは半端ではない(と自分では思う)。

いろんなきっかけがあったのだが、その一番目にあげられるのが、
この本と出会ったことだと思う。



『精進百撰 - 水上勉』


水上さんがこの本を書かれた7~8年前に、彼は中国である大事件に遭遇し、
帰国後、心筋梗塞を患う。心臓の3分の2が壊死していたという。
その事件とは「天安門事件」である
集中治療の後、どうせこのまま終わるなら、子供の頃育った環境で、
暮らしたい(精進料理の食生活)と、長野の山村に移り住まれた。
そういう中で書かれた本である。

いずれにしてもあの天安門事件の鮮烈な記憶をもつ私にとって、
氏の存在の意味は大きかった。あのような忌まわしい事件
(民主化に立ち上がった人民を軍隊が戦車で踏みつけたのだ、
絶対に忘れられないし、どんなことがあっても絶対に忘れない!)
から復帰し、瀕死の状態から生き続けたヒーローだった。

この本が発行されたのが1997年だ、3分の1しか心臓のない人が
ずっと生き続けているなんてミラクルだと思った。
だからその人の書いた料理本はどんなものなのだろうと大変興味をいだいた。
その闊達とした氏の語り口は非常に説得力をもって響いた。
ここに出てくる内容のほとんどを試した(作ってみた)んじゃないかな。
これが、めちゃくちゃにおもしろいのだった。

そうして料理にはまってしまったわけである。

もちろん精進料理なので、肉はおろか、魚介類、そしてネギ、ニンニクなどは
一切使わない。

それゆえに、昆布や油(とくにごま油、いわゆる天ぷら)、そして高タンパク
(豆腐、大豆)を上手に使う。
近くの畑でとれた季節の野菜はもちろん、こんにゃく、高野豆腐、そして
炊き込みご飯、杏のデザートなど、こうして入力しているだけで幸せな気分に
なる。

いつも傍らにおいて、今日はなににしようかな、などと眺めている。

自然とともに生き、大地を食らうそのダイナミズム。
氏の作品(小説)の作風を彷彿とさせるような生き方をされたと思う。

氏が亡くなられて何年になるか…。

近年、中国は大きな変貌を遂げたように思われる。

最近の列車事故の対応など見ていると氏が遭遇された時代の中国と
一体何が変わったというのか、非常に疑問が残る。


大丈夫、日本!!
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Jaco Pastorius - Word of Mouth

2011-08-03 15:03:57 | 日記
震災以来、自分でも「ちょっとおかしいな」と思ってしまうくらい、
心も体も不調だった。体の方はまだ完全な回復とはいえないのだが、
心の方は8月に入って急速に回復してきた気がする。

ひとつには、7月にあれほど低迷していた仕事が8月になって少しずつ
動き出してきたことがあるが、努めて週末は外出したり、いわゆる
気晴らしを行うようにしたことが功を奏していると思う。

そんなこんなで、いろんな出会いがあった。

人との出会いはもちろんなのだが、
どういえばよいのか、「新しい世界観」に出くわしたというか、
目の前にいままでとは全く異なる世界が広がっているのに気がついた。

そう思わざるを得ない要因の一つがこのCDであり、私にとっては事件だった。


『Jaco Pastorius - Word of Mouth』

私のようなギタリストはどうしてもギター演奏にばかり耳がいってしまいがちで、
どうしてもリスニングを楽しむ、音楽を楽しむという聴き方がおろそかに
なってしまいがちなのだが、今回は大丈夫。なぜならギターが入っていないから(笑)。

まあ、純粋にこのCDを楽しんでいる。

本当に楽しい。心がウキウキする。
なんかいいことが起こりそうな予感がする。
ワクワクする。

こんなの初めての経験である。

ジャコ(じゃこと入力すると「雑魚」と変換される(笑))といえば、
史上もっとも際立つ才能をもつベーシストであり、超絶のテクニック、
まったく新しい感性、時に激しく、また時にリリカルに…。
まあ、今までのベースとは全く違うことをやった、ギターでいうなら
ジミヘンみたいな人、いわゆる革命児だ。

もちろん、このアルバムでも彼のテクニックは際立っているのだが、
それにもまして圧倒されるのが、オーケストリゼーションを含むアレンジ力、
その世界観、懐の広さだ。

まさか、ジャコのアルバムに、古きよきアメリカが、ジャズの伝統が、
ガーシュウィンが、デューク・エリントンが潜んでいるとは誰も思うまい…。
まるでギル・エバンスのように現代印象派的視点からそれを俯瞰してみせ、
最後は日本刀のようなロック魂ですべてを叩っ切ったりする。
おそろしいぞ、これは!!

最後の曲「John and Mary」はジャコの二人の子供の名前。
スチールドラムのサウンドが「この世の楽園」「戦争や人種差別のない
平和な世界」を連想させる。

これほどの慈愛にあふれた世界観を提示できるなんてすごいことだ!

晩年は誰も手がつけられないくらいの薬中で、喧嘩で殺されたジャコの
頭の中にこんなに平和で素敵な世界がひろがっていたなんて、まるで
奇跡を、夢を見ているみたいだ…。

エンディングで流れるゴスペルのコーラスは、マジで泣けてくる。
聴くたびに涙が出そうになる。


ところでこのアルバムのもうひとつのセールスポイントは、
なんといっても数多くの豪華ミュージシャンの参加であろう。

特に際立ってすごいのが、ドラムのジャック・ディジョネットである。
はっきりいってオーケストラの指揮をやっているのは彼?と思わせる
くらいにサウンドにマッチしている。ドラムの1音、1音があまりに
ハマっていて、カッコよい。彼のドラムを聴くだけでも、このCDを
買う価値はある。絶対お得(笑)。

1枚のCDが自分の人生に与える影響などという言い方をすると、
まるで自分の人生そのものがちっぽけなものに思えてしまい、
少し悲しい気もするが、それでもいいさ。

そのくらいこのCDが好きだ。

そしていつかこんなCDを自分でも作れたらいいいな、と思う。
夢の世界だ。

ところで私の今後を方向づけるような事件が他にもいくつかあった。
それは後日報告いたします。

大丈夫、日本!!
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