OMTインフォメーション

翻訳のこと、会社のこと、生活のこと、音楽のこと、読書のこと

英語の歌詞その1

2009-11-12 13:30:36 | 日記
仕事中によく音楽を聴く。
といっても、大体はラジオやCDを小さな音でかけっぱなしにしているだけだが。
それでもいい曲や、名演が流れてくるとグッと引き寄せられる。

今日聴いていたのはこれ、



Kenny Burrell、ジャズ界(ギタリスト)の大御所中の大御所の
「God Bless The Child」というアルバムだ。
1931年生まれで現在も現役で活躍している(演奏と大学での教鞭をとっている)
だけですごいことなのだが、そんな彼が1970年に出したアルバムである。

特にアルバムのタイトル曲である、
「God Bless The Child」
は本当に素晴らしい演奏を聴かせてくれる。
ルバート(フリー演奏)からインテンポの合奏に入る
導入部のギターの弾き出しがすごい。
タイミングも音も完璧だと思う。

パソコンを打ちながらも、つい注意がそっちにいってしまう。
がーっ! 仕事にならーん!!

注意がそれたついでで、棚から「スタンダード曲集」を引っ張り出し、
この歌を調べてみた。
なんと、ビリー・ホリデー(「奇妙な果実」が有名)の作詞作曲なのね。

Mama may have, papa may have,
But god bless' the child that's got his own!

うーん、意味がよくわからん。

前後の流れを呼んでみると、

Bible said,
(…)
Strong gets more,while the weak ones fade,

とあるから、聖書からの引用なのだろう。

彼女(ビリー・ホリデー)が親にお金をもらいにいった時に、
「神が祝福するのは、自ら恵みを持つ子供だけ」といわれ
追い返されてしまったことに、怒って作った歌らしい。

要するに、
「自分のお金くらい、自分で稼げ」
と言いたかったのを聖書になぞらえて言ったのだろう。

いずれにしても、歌詞の翻訳はその文化的背景や信仰を
理解していないと難しい。
技術翻訳であっても、やはりその分野の技術知識がなければ、
とんでもない翻訳になってしまう。

まあ歌詞の内容については今度、知り合いのアメリカ人
(ミュージシャンであり、大学の講師でもある)に確認してみることにする。

つい、注意がそれて音楽に聴き入ってしまっていたのが、
ついでに調べた歌の歌詞で「翻訳」に話が戻ってしまった。

これも翻訳人の陥る「スパイラル」なのだろう。