奥 山 豊 和 (おくやま とよかず)公式ブログ

培った経験と人脈を活かし、生まれ育った故郷を元気に。
対話重視、市民が主役の市政運営を取り戻します。

議会広報で先進地視察。~戸田・柏・志木~

2018-11-11 21:45:48 | 日記

例年よりは暖かい日が続いているのでしょうか。5日連続の出張から戻りました。

5日(月)と6日(火)は、広報委員会の行政視察で首都圏方面へ。

視察団団長として冒頭にご挨拶の機会を頂くというのも、ありがたい経験です。感謝の気持ちを表しながら、短時間で横手のPRもしなければなりません。



まずは、埼玉県戸田市。

荒川を境に東京都と隣接する18.19㎢に約14万人が暮らし、新宿まで電車で20分というアクセスの良さから、県内一人口が増えている、ボートで有名なコンパクトなまちである。

また、年間約10,000人の人口が入れ替わり、高齢化率16%で平均年齢は40.6歳という我々とは真逆の傾向にあり、子育て世代をターゲットにした様々な施策を展開する「若いまち」でもある。

やはり表紙の写真はそれを前面に出しており、題字の「とだ」は、市内小中学校をローテーションして子どもたちが書いているんだそうだ。



「常任委員会の年間活動成果」という特集コーナーがとても興味深く、それぞれの委員会が一年間の活動テーマを設定し、月に1回程度調査研究を行い、執行部に対し具体的な提言書の提出まで繋げているという活動の成果が大変分かりやすくまとめられていた。



決まったことだけを羅列する議会だよりではなく、こうした日常の議会活動の成果をしっかりとアピールしていくことも議会改革の一環として物凄く大切な要素なんだろうと思う。ぜひ参考にしていきたい。

議会モニター制度については、導入してはいるもののやはり共通の課題があるようだ。モニターさんの声を議会だよりに反映させるという意味では、上記した委員会活動報告の掲載に結びついているようで、読み手の立場にたった紙面づくりを進めるために大きな意義があるのだろう。

オプショナル研修としてお願いした、「戸田市シティセールス」も秀逸の内容。

広報戦略一つとってみても、血税を投入するにあたり明確なターゲティングと戦略が感じられる。

呼び込んだ人をどうやって定着させていくかという明確な課題に対し一つ一つが具体的だし、何より緻密な分析に裏付けられた覚悟を感じさせる取り組みの蓄積があって初めて、「選択されるまち」に「市民が誇りを持って住み続けられるまち」になるのだと痛感した。

目的、政策効果、責任、全てが曖昧な「シティセールス」など、単なる自己満足だと笑われてしまう。


続いて、千葉県柏市。

都心へのアクセスが抜群によく114.74㎢に424,000人が暮らす、こちらも人口が増加しているまち。

2020東京オリンピックのホストタウンとして、ラグビー・ニュージーランド代表、あのALL BLACKSの事前合宿誘致に成功した何ともうらやましいまちでもある。人脈に加え、施設が整っていることと、民間企業の協力も大きいようだ。まさに、オール柏。

こちらが議会だより。



左はよくあるザ・議会だよりで、これを「より見やすく読んでもらいやすいデザイン」とするために、平成29年に大きなリニューアルを行ったそうだ。

「Gikai-plusかしわ」のプラスとは、「見やすく・わかりやすく・読みやすく」という3つをプラスしたいという思いを込めたロゴマークのようで、中核市議会議長会で表彰を受けている、まさに「議会をもっと知りたくなる情報誌」と言えよう。

編集作業を外部委託しているというのが大きな特徴で、各社から完成形のイメージを提案してもらうプロポーザル方式により業者選定をしており、「職員からではこんなアイデアは出てこない」というのが、議会事務局の方々の率直な感想であった。

1面には定例議会で話題になった案件を一つピックアップし、従来型の文章中心ではなく、「写真やイラスト・図等のビジュアルを多用し『読み見せる』市議会だよりにシフト」。縦書きから横書きにリニューアルしたことによって、傾向として横文字や数字が多い紙面が格段に読みやすくなっている。

いわゆる概要の記載はどこにもなく、議案のピックアップと各議員の一般質問、そして議決結果の一覧の掲載が中心で、とてもシンプルな内容。

「文字の羅列」からの脱却は私たちも課題であり、「いつ会議を開いて、それから委員会に付託をして…議案〇〇号〇〇の条例…」というような一方通行の表現を乗り越えて、今議会では具体的に何が決まって市民生活にどんな影響があるのかということをピンポイントでお知らせすることも、読み手の立場を考えた議会だよりの役割であるような気がしている。


最後に、埼玉県志木市。

9.05㎢に約35,000人が暮らす県内最小の市。市役所の窓から見えた大きなマンション群は富士見市だそうで、志木駅も住所としては新座市にあるという、人口は微増中のまち。

議会運営委員会が議会だより編集委員会を兼務しているというのが特徴的で、表紙にやはりインパクトを感じる。



左が市報で、右が議会だより。とても似ている…

何でも、「Shiki」の文字は議会がオリジナルなんだそうだ。

私たちと同様に表紙の写真は議員自ら撮影していて、議会中話題になったテーマに出来るだけ沿うかたちで題材が決められている。

ちなみに、この定例会では「男性が家事に関わる取り組みについて」という一般質問をした方がいて、「おんどり料理教室」という男性が調理する姿を取材されたそうだ。

私たちは市内7中学校の取り組みを絶賛紹介中だが、今後の展開としてこういった視点で表紙を考えていくというのも、大変おもしろい取り組みだと思う。

3市議会共通の課題としては、配布方法が挙げられる。

全戸配布をしようとしても低い自治会の加入率が根底にあって、新聞折込の他、公共施設、スーパーやコンビニ、金融機関など人が多く行き交う場所に置かせてもらうなど様々な手段で配布を行っているようだ。

そうした背景から、議会活動を広く市民にお知らせするために、いかにして多くの市民の「目に止まる」議会だよりにしていくかという切実な想いが、様々な改革に取り組む原動力でもあるようにも感じた。

「良いとこ取りでいいんです」。

私も全く同感だ。これまでの経験から、町村議会は総じて広報の充実に取り組んでおり、全国町村議会議長会でコンテストを行っていることからも、意欲が高いように感じている。

そうした興味深い取り組みを参考にしながら、分かりやすい表現に積極的にチャレンジしていきたいし、ネット全盛の時代にあって、敢えて紙でお知らせすることの意義を意識しながら、引き続き双方向の紙面づくりに取り組んでいきたいと思う。

様々な視点から「広報広聴の充実」を突き詰めていくことはすなわち、議会改革そのものであるということも、改めて感じたところだ。

移動、移動で息つく暇のない慌ただしい日程ではあったが、お陰様でとても充実した視察研修を行うことができた。どこの議会も定例会の狭間に行政視察に出かけているであろう大変お忙しい中をご対応下さった皆様に、改めて深く感謝申し上げます。

学んだことを共有しながら今後の紙面づくりに活かすため、さっそく振り返りのための委員会をセットしたい。


追伸・そして、北の大地へ。

ゆうばりから、始めよう…

地方自治に携わる全ての人に捧げる、夕張市で見て聴いて感じたこと。 


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