奥 山 豊 和 (おくやま とよかず)公式ブログ

培った経験と人脈を活かし、生まれ育った故郷を元気に。
対話重視、市民が主役の市政運営を取り戻します。

地方の時代、地方政治に期待。

2023-03-17 22:01:23 | 日記

地方分権一括法が施行されたのが今から23年前、2000年4月。

これにより国と地方の役割分担が明確化され、「機関委任事務制度の全廃」により、これまでの上下関係から対等な関係となったと言われている訳ですが、地方議会に身を置いていた私自身、残念ながらその実感はあまりありません。

地方自治体は「自らの判断と責任により、地域の実情に沿った行政を展開」することが期待されており、この表現は、2015年からの「地方創生」にも重なります…

この20年。私が政治の世界に足を踏み入れた時から「地方の時代」だと言われ続け、この動きは「政治主導」により進められてきたはずですが、一向に「東京一極集中の是正」が進展しません。

道州制の議論、首都機能移転の議論…

リスク分散、災害に強いしなやかな国造りのためには避けて通れないはずですが、具体的な動きは見えません。

政府予算はいつの間にか100兆円をゆうに突破していますが、膨張し続ける政府機能をいかに縮小し最適化していくのか。

「官から民へ」という流れにも、同じ目的があるはずです。

人口減少社会という右肩下がりの時代に、地方が変わり、地方自治体が自ら考え自ら行う「自己負担・自己決定・自己責任」の組織に生まれ変わらない限り、この国の将来はないものと思います。

くしくも統一地方選挙の年。

地方政治を志す方々によって、地方から「国のかたち」を議論する大きなうねりを起こして頂きたいものです。

 

そこで、いわゆる「三位一体改革」の流れから見直しの議論がある地方交付税制度について。

これまでの交付税は計算式が複雑なため、面積と人口を基準とする新型交付税に見直し、総額の縮減を目指そうとする国の動きに対し、地方六団体は、国税5税の法定率を引き上げ「共有財源」とする、「地方共有税」制度の創設を提唱しています。

しかしながら、地方公共団体といっても大小様々ですし、いわゆる都市と農村、不交付団体もあることから一枚岩となってはおらず、今後の議論を注視していくといったところでしょうか。

ちなみに私は秘書時代、地元のために、特交(特別交付税)の獲得に全力でお手伝いをしてきました。首長さん方を役所にご案内し、地元の実情を真剣に訴える姿をいつも横目でみていました。地方が生きていくために、自治体運営に必要な財源だし、その先に、市民生活の充実に繋がると信じていたからです。

交付税のあり方についてもう一点。

合併自治体は多くの旧役場庁舎、支所を抱えており、それが交付税算定基準の一つになっていますが、方やデジタル化自治体DXの時代、マイナンバーカード半強制の流れの中で、証明書発行で窓口に行く必然性はなくなります。

支所が不要になるような政策誘導をする一方で、それを維持し続けることが財源確保に繋がっているこの矛盾。

やはり、交付税制度は分かりやすいものに改め、財源と権限をセットで移譲していくことが望ましいのではないでしょうか。

 

その平成の大合併は、国が「合併特例債」というアメをぶら下げることで市町村合併を推進するものでした。

合併による一体的まちづくりのために必要な事業を行うために、後で国から7割が交付税で面倒をみてもらえることから、合併自治体は自分で返せないのに国が返してくれるからと目一杯の借金をし、それが「有利な財源」だという錯覚を起こしています。

一方で、そもそも自主財源の乏しい地方自治体が、これを断る理由がないというのも悩ましいところです。

今でこそ、PFI方式など民間資金の活用による公共施設整備の手法もありますが、基本的に、国の補助金を取りに行くことが目的化し、地方議会もそれを良しとしてきた事実が、金太郎飴のようなまちづくり、身の丈以上のハコモノ整備へと突き進んだのではありませんか。

これが、「地方分権」が目指した理想、新しい時代の国のかたちと言えるのでしょうか。

いわゆる「地方創生」関連の地域活性化策についても、十分な検証が必要です。

 

そこで、首長と対等な唯一の政治機関、「議会」の出番です。

議会=「チェック機関」

かつての議会は、執行部を監視する役割のみが重要視されてきました。

いわゆる夕張市の財政破綻。

赤字を短期借入金で見えなくしていた財政運営に対し、議会は「チェック機能」すら果たせなかったと指摘されています。議会が機能しなければ、こうした結果を生む、破綻の責任は議会にもあると言われる所以です。

議会の強みは、地域密着で地域の顔役でもある議員が、住民の多種多様な意見を吸い上げる点にあります。

(年齢や性別も含め、議会に多様性が求められているのは、より幅広い民意を反映させるためです。)

まさに、私が4年間の広報広聴委員長在任時に特に力を入れたのは「開かれた議会」づくり、徹底して市民の声を聴くという活動でした。それを政策立案に繋げる、「政策形成サイクル」の構築が道半ばだったのが唯一の心残りです。

かつて、条例制定権も予算の減額修正権も持ち合わせていなかった地方議会でしたが、分権改革によりこの縛りは全廃され、年4回と決められていた定例会開催の縛りもなくなりました。

自己負担・自己決定・自己責任が求められている地方政治において、議会はそれを動かす中心的存在になっているはずです。

議員定数や議員報酬を減らすことだけが、「議会改革」ではありません。

政策や予算をつくる力を磨くこと。

(若手議員の仲間の話。修正案の提出を考えていたところ、なんと議会事務局の反対にあったそうです。)

「チーム議会」の力をいかに高めていくのか、本当の「議会改革」はこれからです。

私が横手市議会に在籍していた8年間。

議会として、執行部側との関係性がどんどんどんどん疎遠になっていったような気がします。

合併直後の先輩方は職員とたくさん話をし、政策を磨いていたと聞いています。

地方分権時代の二元代表制は、緊張感を持ちつつも執行部と議会がいたずらに対立をするのではなく、切磋琢磨しそれぞれの強みを活かしながら、まちの将来のためにいい政策を創っていく。

そんな関係性でありたいものです。

 

時は人口減少社会、厳しさを増す財政運営の中で、いわゆる「地方消滅」、財政破綻というものが現実的になるかもしれません。

そうならないように、自治体運営の手綱をしっかりと握る、地方政治における一つ一つの判断が、自治体の将来を左右する…

被害者は、真実を知らされていない市民なのです。

私が、古巣の市議会に期待している点は、まさにそこにあります。

今日は3月議会最終日。

「議会の意思」というものに、大いに注目しています。

 


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