8月最終日。ところで、プレミアムフライデーってどうなったんだろう?
東北北陸では大雨。一部河川の氾濫も起こっているようでお見舞い申し上げます。普通に起こる集中豪雨、同じ被害を繰り返さないよう、最優先でできることから始めなければなりません。
さて、夏の終わりに私のブログは夏真っただ中。追ってご報告することとしていたことが片付かないままに、9月を迎えてしまいそうです。
では、産業建設常任委員会行政札報告は、ようやく三部作完結編。
連日のヤバい位の長文となっていますが、情報公開はもちろん、自分が学び今後に活かしていくことを整理する意味を込めて、自分にしか解読不可能(笑)の殴り書きのノートを基に記憶を呼び起こしながらの投稿となっていることをご理解いただければありがたいです。
高山市の挑戦 地方都市における海外戦略の取り組み~行政の“決意”&民間の“底力”~
と題し、観光・インバウンドについて学ばせていただいた。
ちなみに、前日の富山市も広い市であったが、高山市はなんと2,177.61㎡ということで日本一。香川県や大阪府、島しょ部を除く東京都よりも広く、面積の92.1%は森林で4県10市町村と隣接し、北東に北アルプス飛騨山脈、南東に御嶽山、西に白山連峰に囲まれる、9町村との平成の大合併を経て誕生した自然豊かな農業と観光のまちである。
1年のうちで稼ぎ時だった7月に発生した大雨によって、特急が不通となり観光に大きな打撃があったそうで、小さい自治体(面積ではなく)だからこそ、「他からお金を集めて外に出さない」ことを徹底しているそうだ。
現市長になってから特に力を入れたのが海外戦略で、当日ご対応頂いたのも、高山市役所海外戦略部長。
ここに、市長のリーダーシップと行政の本気度が伝わってくる。
約89,000人が暮らす高山市には、年間462.3万人の観光客が訪れ、うち外国人宿泊者数は51.3万人、観光消費額は940億円で経済波及効果は何と1,994億円。
確かに、我々が宿泊したホテルでも、フロントに並んでいるのは様々な方面からの外国人ばかりで、フロントの方もすべて英語対応だった。
~国際化と国際交流~
昭和35年、アメリカ合衆国コロラド州デンバーとの姉妹都市提携を皮切りに、市制施行50周年の昭和61年には、国際観光都市宣言をし、翌62年に飛騨高山国際協会が設立され、この辺りからがインバウンドの始まりと言えるようだ。
アジア、ヨーロッパ、南米の10の市と友好協力協定を結んでおり、平成8年からは海外からのモニターツアーを実施し、障碍者や外国人からの生の声を施策に取り入れてきたそうで、「住みよいまちは、行きよいまち」の基本理念の下で、バリアフリーのまちづくりが進められている。
また、高山駅前には常に英語対応の観光案内所(ビジット・ジャパン案内所)があり、誘導案内も多言語併記になっていて、外国人が安心して一人歩きできる環境となっている。
いわゆる「おもてなし対応」の外国人観光客受け入れマニュアルについては、10年前にすでに行っており、今はもう実施していないという。一律にこうやりましょうという段階はすでに終わっていて、旅館など各施設ごとにノウハウが蓄積され、外国語パンフレットや散策マップは実に9言語10種類に対応。高山と歴史的なご縁があるイスラエルから年間1万人ほどのお客様が訪れているというデータから、ヘブライ語にも対応しているという。
wifi環境整備も4年前から取り組んでおり、今はホテルやカフェ等民間主導でどんどん進んでいることから、行政のwifi整備は役目を終えていて、観光・緊急情報等必要な情報をメール送信しているという、充実のサービスである。
通訳ガイドの育成・確保という点については、飛騨高山国際協会が実施するボランティア通訳による市民と外国人観光客との交流を進めていて、平成28年からは、飛騨地域広域で「地域通訳案内士」の養成も進められている。
観光ホームページは平成8年からすでに多言語化。日本政府観光局・JNTOの海外事務所20か所に外国語パンフレットが置かれていて、海外で開催される旅行博覧会には1985年から参加しており、海外の取材対応は年間50~60件こなしているそうだ。
「(在外の)日本大使館や総領事館に挨拶をするだけで、その国からお客さんが来てくれるはずはない。売るべきところにしっかりと売り込まなければだめだ」ということで、こういった海外へのプロモーションは決して行政だけではやらず、官民連携の組織である「飛騨高山国際誘客協議会」と一緒に行われている。市長がトップセールスで動く場合もあるそうだが、「行政が扉を開いて民間に儲けてもらう」という徹底ぶりだ。
以上のように、市の人口の6倍の外国人が宿泊しているという、にわかインバウンドとは次元の違う官民連携の取り組みが、観光による地域活性化が叫ばれるずっと以前から行われていることに度肝を抜かれてしまった。「半端ない」取り組みである。
~海外戦略とブランド化~
高山市は、20年前、まだインバウンドなんて言葉が無かった時代に自ら香港に売り込みをかけ、市の職員を、パリ・デンバー・香港のほか、国内では観光庁、JNTO、JETRO、中部国際空港セントレアに派遣している。
「自らの価値に気付き、それをより高める」ことを基本姿勢とし、農畜産業・商業・工業・教育・文化と観光が、「販売促進・誘客促進・交流促進」の観点から相互の利益に繋がる広域連携と都市間交流の推進が図られている。それが、国際貢献を通じて「平和の推進」にも結びつくという。
現地採用ではなく、昨日まで税務課にいた職員が普通に人事異動の一環で海外赴任となり2~3年は滞在し、なんと、課長試験を受けるためには英検準二級を持っていることが必須条件だというのには、一同驚愕であった。世界に目を向けて仕事をしようと、オール市役所で海外戦略を推進する覚悟の現れと言えよう。
これだけの取り組みをしている「飛騨高山」にとって、やはり外国人を迎え入れるというのは初めは「手間暇がかかる」ことのようだが、しかしながら、それこそが「インナーブランディングの推進」になるんだそうだ。
「歴史、伝統、文化、価値観、風習、生活様式、商習慣等の違いが大きい海外の方々を迎え入れること」
↓
「自ら(日本)の魅力や価値観を再確認することができる機会」
↓
「伝統文化の承継、自然環境の保全、サービスの向上、産品の質の向上等自らの魅力や価値を守る・高めることを国民的な広がりのある取り組みとすることで『日本ブランド』の確立に繋がる」
↓
「より多くの方々に訪れていただける観光地」
つまりは、インバウンド対策として、wifi整備や多言語化、「おもてなし講習」なるものをどれだけ行おうが、まずはここに暮らす私たち自身が、「他の文化を受け入れる姿勢」の意味を理解しなければならず、それは、国内観光にも通じることである。日本人観光客を受け入れる延長線上に外国人のお客様がいるのであって、高山市の「海外戦略部」は、その特命を担っているのだ。
国宝や世界遺産のある観光地にも、それを目的に訪れる方は多いだろう。しかしながら、日本に訪れる外国人旅行者が求めているものは「ありのままの“暮らし”に触れる」こと。
だからこそ、地域の特性を活かしたDMOの推進が叫ばれているのであって、どの地方でも外国人旅行者を取り込める「チャンスとポテンシャル」があるということに他ならない。
ちなみに、DMOの現状についてお聞きをしたところ、一般社団法人飛騨・高山観光コンベンション協会が担っているそうで、昨年ジャパン・ツーリズム・アワードの大賞を受賞したものの、高山でさえDMOとしては試行錯誤の最中だというのには、正直驚いた。これだけやっていても足りないということなのだろうか?
東京函館間が4時間強の時代に、高山と東京は4時間半かかるそうだ。横手は「うちより近いですね」と言われた。「横手市は知名度が高いですよ」とも言われた。
「観光は水物だが、創造性のある産業」。人口減少社会においてこれからも私たちの生活を維持していくためには、「観光に力を入れて、地場産業を活性化させていくこと」。インナーブランディングとは「地域の良さを再認識」することであり、それはすなわち「郷土愛」の醸成にも繋がっていく。
日本人観光客相手だと、どうしてもシーズンに集中しキャパシティーを超えてしまう。しかしながら、インバウンドというのは曜日は関係ないそうで、年間を通じてお客様が平準化されることによって、観光産業として雇用も確保しやすいようだ。確かに、「今は暇な時期」とおっしゃっていながら、重伝建エリアには、外国人が溢れていた。
最後に、高山市で海外戦略を担う職員の皆さんが共有なさっていること…
・歴史の積み重ねによって今がある。
・民間事業者と連携し、最前線に立って一緒に汗をかく。
・ニーズやトレンドの把握を怠らず、後世に伝えるべきものはしっかりと守る。
・広域的な取り組み。他の自治体とは、競争かつ「共創」で。
「May I help you?と、誰もが言えるまち」、「May I help you?と、言わなくてもいいまち」に。
担当部長の言葉から、このまちが「対お客様」で一つになっているということ、行政の本気が伝わってくるようだった。
国が、訪日観光客、年間2000万人を目指すと宣言してから、インバウンドという言葉は流行語のようになり、全国各地で外国人をみかけない都市はなくなった。2020年にはさらに倍増の4000万人と上方修正したようで、そういう意味で東北は最後のフロンティアなのかもしれない。
取り敢えずの建物を建てて、税金で一過性の二次交通の整備を行って、安易に観光!観光!と叫んだところで、きっと見向きもされないだろう。本気の本物には、たとえ何時間かかろうが数多の人が訪れるし、結果として賑わいも生まれていくのだと思う。
結びに、今回の行政視察は行く前から興味深く楽しみにしていたが、想像以上に得るものが大きく、わがまちが抱える根本的な課題を再確認する時間でもあった。
委員会としての振り返りをしっかりと行い、個々の政策提言のみならず、チーム委員会ひいてはチーム議会としての行動に移していかなければならない。
改めて、お忙しい中をご対応下さった全ての皆さまと事務局に心から感謝申し上げたい。
今日は一般質問の届け出日でしたが、今回は見送ることにしました。
前回は我々2期生そろい踏みでしたが、今回は1期生そろい踏みのようです。ぜひご注目下さい。
さて、産業建設常任委員会の行政視察2日目は、富山市におけるコンパクトシティの取り組みについて学んで参りました。
コンパクトシティを考える上で決して外すことのできない富山市は、平成の合併で全国で11番目に広い総面積となり、実に富山県の29.24%という、一市町村が県内に占める面積の割合が全国一の市である。
横手市の総面積692.80㎡、人口90,923人と比較し、1,241.77㎡に417,472人が暮らす中核市が取り組んでいるコンパクトなまちづくりとは一体どんなものなのか、興味津々で猛烈な暑さの中を富山市役所へ。
ご説明下さった担当職員の方の話ぶりには、おそらく年間相当の行政視察対応をなされているんだろうなと、我々がどんな事に関心を持っているのかポイントを押さえた分かりやすいプレゼンであった。
まずは、都市の特性として、富山県は全国2位の自動車保有台数で自動車分担率が7割を超えていることから、「過度な自動車依存は公共交通の衰退を招き、路線バスなど身近な公共交通機関ほど利用者が大幅に減少」しているという、共通の課題を抱えている。
富山市は県庁所在地で全国一低密度だそうで、富山市に限らず、このようにまちが薄く拡大していくこといくは、まちを維持するためのコストが増えていくということで、人口減少と高齢化がこの問題をさらに深刻化させ、結果として市街地を衰退させるという悪循環に繋がっていく。
組織を「都市整備部」から「活力都市整備部」としたのは、ハード整備中心のイメージからソフト重視へ。高い自動車分担率とはいえ、裏を返せば3割の方、特に高齢者や女性は車を自由に使えないことを物語っていることから、いかにして歩いて暮らせるまちづくりを通じて活力を創造させるかというのが、コンパクトなまちづくりの基本にあるように思う。
~お団子と串の都市構造~
富山市のコンパクトなまちづくりの基本構想は、「鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集積させることにより、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを実現」させることのようだ。
「串」というのは、「一定水準以上のサービスレベルの公共交通」であり、「お団子」は、「串で結ばれた徒歩圏」を指していて、「公共交通の活性化」、「公共交通沿線地区への居住推進」、「中心市街地の活性化」を3本柱としながら、郊外を否定せず規制強化ではなく、あくまでも、「誘導的手法」を基本。
この居住推進地区へ人口の4割を集めたいという目標を掲げつつも、市民がまちなか居住か郊外居住かを選択できるようにしており、「郊外居住も優良なものは否定しないが、郊外のバラ建ちは問題」だそうで、旧富山市中心部だけのまちづくりであってはならず、1市4町2村が合併した「地域拠点は整備し、旧町村を含めて全市的にコンパクトなまちづくりを展開」している。
まずは1本目の柱、コンパクトシティの土台であり背骨でもある「公共交通の活性化」について。
LRT・次世代型路面電車システムをはじめ鉄軌道7路線、約90のバス路線が、富山駅を中心に放射線状にネットワークを形成することによって、「過度に車に依存したライフスタイル」を見直し「歩いて暮らせるまちの実現」を目指している。(インフラ整備には結構な投資がなされているようだ)
特に、生活交通の確保としては、コミュニティバス事業を行っていて、中山間地域は市の直営、市街地等の平野部は自主運行を基本とし、この、公共交通の維持・運行・支援に関する予算は年間8億円強で、一般会計に占める割合は約0.5%ということである。
続いて、2本目の柱、「公共交通沿線地区への居住推進」について。
まちなか居住と、公共交通沿線居住を促すため、建設費補助等の事業者向けの支援と、住宅購入や家賃・リフォーム補助等市民向けの支援を行っており、バランスよく各世代がこの補助制度を利用しているそうで、郊外から公共交通沿線へ、公共交通沿線からまちなかへと、段階を踏んで人々の居住の流れが中心部へと向かっているようだ。居住を選択できるということと、2段階あるという部分が、大変興味深い誘導策だと思う。
最後、3本目の柱、「中心市街地活性化」について。
どこの自治体も頑張りたい、この「中心市街地活性化」。中心市街地への集中的な投資は、「税の還流という観点からも合理的であり効果的」なんだそうだ。地価の維持にも繋がるという。
15.2億円を投じて、積雪寒冷地の気候にも配慮したにぎわいの核となる全天候型多目的広場「グランドプラザ」を平成19年に整備するだけにとどまらず、高齢者向けに市内各地から市街地へ出かける公共交通料金を割引する事業を行っており、「高齢者の外出機会の創出、中心市街地活性化、交通事業者への支援」とまさに一石三鳥。実際にこの取り組みによって、高齢者の歩数増→医療費削減の数値も示されている。すごい!
また、7つの小学校が2つに統合されたことから、空き校舎を活用して、温泉水を利用した介護予防センター、公民連携により、病児保育や産後ケアも兼ね備えた地域包括ケア拠点が整備されており、こうした公共投資が呼び水となって、民間投資による市街地再開発事業が進んでいるようだ。
ハードソフト両面で、徹底して富山駅に、市中心部に人が向かう流れを生み出したことによって、結果として民間投資による中心市街地活性化に結びついたように思えてならない。
中心市街地への公共投資だけでは、結局は「いつか来た道」を繰り返すだけである。
~コンパクトなまちづくりの効果~
このような総合的な取り組みによって、
・10年前と比較し、電車の利用者が増加。
・都心への転入増が続いている。
・歩行者が増加し空き店舗が減少。
・全体の児童数は減少しているが、都心の児童数は増加。
結果として、県全体の地価平均は平成5年以降下落し続けているが、富山市では4年連続で地価が上昇している。
~立地適正化計画、市長の覚悟とリーダーシップ~
富山市の取り組みを参考に、国交省が制度化した「立地適正化計画」。
「人口減少や少子高齢化を見据え、公共交通の活性化を図り、その沿線に居住や商業、医療などの都市機能を誘導することで、人口や市街地の拡散を抑えながら、持続可能な都市を実現させるための計画」のことを言う。
これまで順を追ってご紹介してきた、富山市の取り組みそのものと言えよう。
国庫補助のかさ上げが、この計画をつくる大きなメリットではあるが、進め方を一歩間違えば、「郡部の切り捨てだ」という議論に直結しかねない難しい課題でもある。
一概に「誘導」と言っても、都心と地域生活拠点では求められる施設の意味合いが違っていて、富山市独自の取り組みとして、「商業施設が不足する地域において、商業施設を誘導することを目的」に、スーパーやドラッグストアなど、「施設を新規出店する事業者に対する補助制度を創設」している。
歩いていける場所で買い物できなければ生活は成り立たないというのは、被災地の集団移転先でも同様の問題が起こっている。宮城県岩沼市の「玉浦西地区」では、地元企業の英断があったそうだ。
持続可能なまちづくりのために、「誘導」することの真意をどうやって住民に理解してもらい、地域に合った団子と串=コンパクト&ネットワークを進めていくか。このことが大きな課題であって、「補助金を得たいがために計画を作ることを目的化」してはならない。
国土形成を主導してしまっている富山市。本当に学びの多い研修であった。
平成14年、現市長である森市長が就任されてから、集約型都市の在り方について議論が始まる…
森市長は、なぜコンパクトシティが必要なのか、何度も何度もタウンミーティングを重ね、その意思が組織全体に浸透しているからこそ今があるのだと思う。住民との対話を通じてエリアを設定し、4割を誘導したい。そのために必要な公共交通を整備するという方針を決定したそうだ。
中心市街地に公共投資をする際に、その投資が何年で回収できるかをシュミレーションしなければならない。しかしながら、投資が回収できそうにない地域であっても、市民生活に必要不可欠なものであれば投資をしなければならない。中心の投資と郊外の投資は全く意味が違うということも学ばせていただいた。
住民に対し、「ここに住んでくれ」などと強要することなどできない。しかしながら、望ましいまちの将来像として、まちにどんなものが必要かということを、自分がこうしたいと押し付けるのではなく、対話の先に導くべきなんだろうと思う。
コンパクトな富山市は、雄大な立山黒部のように、温かく市民を包み込む街だった。
長文、失礼しました。
次回、いよいよ完結編です。
飛騨高山へ。「閑散期」という割に、人で溢れかえっていた…
昨日から始まった9月議会、今日は決算特別委員会が開かれた。
「平成29年度における主要な施策の成果を説明する書類」を基に審査が行われたが、昨年に比べだいぶスピーディーに議事が進んだような気がする。
議会としてのチェック機能を果たし政策提言に繋げるという意味で、決算議会というのはものすごく大切であり、今日発言をされた議員というのは、それぞれの立場から日頃から意識している点について29年度事業の成果を振り返りながら、今後の方向性について問題提起をしているものと思う。
本会議場を使って行われる決算特別委員会。
政策分野毎に、担当する職員の皆様がその都度入れ変わって詳細な審査ができる一年で唯一の機会でもある。
議会から質問が出るテーマというのは注目案件であり、課題のある事業だと言えるし、そのやりとりはネット中継を通じて公開されていることから、互いに重みのある議論をしなければならないと思っている。
若輩の私はまだどこの境地にも達していないし、何も諦めていない。しっかり準備をして審査に臨むことが敬意を表することであり、その分野のプロである担当課長に正面から胸を借りることが、学ぶということだと私は理解しているし、何のためにここにいるのかという部分にも繋がるはずだ。
以下、今後分科会で議論する機会があるということから、所属する「産業建設」以外、「老朽危険空き家対策事業」、「健康の駅推進事業」、「教育相談・不登校適応指導教室事業」、「財産経営推進計画推進事業」、「シティセールス2020事業」などについて質問してみました…
空き家対策は、将来世代への先送りとならないようメリハリのある事業展開が必要と思う。
利用者1万人を目指している「健康の駅」は、今後企業や学校に積極的に出向くことを考えているようで、介護予防・認知症予防にとどまらず、交流の場づくりであったり、食育の視点から幅広い世代、多様な方々が健康の駅に事業に関わりを持つことによって、健康意識の向上と全体の底上げが図られることを期待している。
「教育相談・不登校」については、先週、フリースクールの実情に触れたホットなテーマであることから、デリケートな課題をあえてタブー視することなく、子どもたちの視点から親御さんにも寄り添った「居場所づくり」について、官民が連携して取り組めるように議論していかなければならないと思う。
「財産経営推進計画(FM計画)」について、今般示された将来の施設展望・グランドデザインには、いつのまにかFM(ファシリティマネジメント)の視点がどこかに行ってしまった印象を個人的に持っていることから、組織内で意識が共有されているのか確認したところ、(公共施設を今後4割削減するという)FM計画を推進する方向性に何ら変わりはないそうだ。
そして、「シティセールス」。具体的に誰が何をするのか、横手市として何をどう売り込んでいくのかというところをもっと整理するべきではないかとご提案申し上げた。
というのも、昨日、増田まんが美術館が来年5月のリニューアルオープンを控えていることから、マーケティング調査を踏まえ内外にPRするための補正予算(889万1000円)が提案された際、当初はマンガのPRもシティセールスの一環だと強調していたのが、随分あいまいになっているからである。
今日は議論が低調だった農林部と商工観光部関係は、分科会においておまえがしっかり議論しなさいというご指導だと受け止めて(笑)、敬意を持って準備を進めたいと思います。よろしくお願いします。
議会が行っている行政視察は、基本的にその分野の先進事例を学び、自分たちが抱える課題解決に活かすために実施するものだと私は理解している。ありがたいことに、横手市の「健康の駅事業」や「食と農のまちづくり」には、年間を通じて多くの議会からご注目をいただいている状況にある。
最近は、「公共温泉施設の民間譲渡」について2つの議会が視察されているようで、どういう視点から横手市をご指名いただいているのか存じ上げないが、大いに「参考」にしていただければ幸いです。
そうした中で、私ども産業建設常任委員会では、7月31日(火)~8月2日(木)の3日間、長野・富山・岐阜方面にお伺いし、いずれも目からうろこの取り組みに刺激を受けながら、わがまちが抱える問題の根本的な所を再認識して帰って参りました。
根本的に地域課題というのは共通する部分があり、どんなアプローチでもってそれを解決し一歩前に進めていくか、その手腕と手法の違いが、結果として大きな差を生んでいるような気がしてならない。
まずは、長野県上田市における「産学官連携」について。
「真田丸」の上田市には信州大学繊維学部があり、平成14年に学内に設置されたAREC(エーレック)・浅間リサーチエクステンションセンター長をお務めの、元上田市職員でもある岡田先生のお話から。
国の補助金を得ながら行政が立てたインキュベーションオフィスというのは、枚挙にいとまがないと思う。言い方変えれば、金を出せばこういったハコをつくるところまでは可能だということである。
そういう施設ができたからといって、すぐさま地元の産業が劇的に活性化するはずもなく、上田市が始めたのは、産学官連携推進協議会の設置で、平成12年スタート時の会員企業は地元商工会議所を中心とする36社だったのが、今や名だたる一流企業も含め260社を超える状況にあるという。
ARECの運営には市からの公費負担は一切なく、会員企業の会費や事業収入などで賄われており、この黒字経営を続けること。現在は84室あるオフィスが常に満室であること。そして、会員200社超を維持し続けることが、ARECが評価され続けるための基準なんだそうだ。
なぜここまでの規模に成長できたかと言えば、何といっても「評論家でもコンサルでもない、現場に根差した」岡田先生の存在。そして、大学が研究している最先端の技術と、地場産業が、地域の一次産業が抱えている課題をうまくマッチングすることによって、元々技術を持っている地元の中小企業が新たなビジネスを創出し、地域全体の産業振興へと繋がっているようだ。
例えば、信州大と地元企業が共同でほうれん草の収穫機械を開発したケースというのは、大学の先生が日々行っている研究と、現場の農家がほうれん草の収穫に大変な苦労をしているという事実、そして、技術を持った地元企業という3者をARECという存在が仲介役となり引き合わせたからに他ならない。
地域の課題というのは、大学の研究室にあるのではなく、現場にあるということなのだ。
こういった様々な連携事例が、困っていることを何でも気軽に大学に相談でき、企業も積極的に手を上げやすい雰囲気になっていて、ARECでは様々な会員企業の得意分野の情報を蓄積していることから、ARECに相談すれば情報が得られるし、何か面白いことがやれそうだという好循環を生み出しているという。
続いて、こうした取り組みが自治体の枠組みを超えた連携に繋がっている「東信州次世代イノベーションプラン」について。
連携するメリットとしては、
・商工団体等が主催し、同じような内容を隣接市町村同士バラバラにやっていた企業向けのセミナーのようなものが、一体で行えるということ。
・海外への販路拡大や売り込みについて、単独市町村でブースを持つのは大変だが、隣と一緒にやることで、海外進出そのものに対するハードルが下がっている。
・企業誘致など、企業へのアプローチはエリア全体で行う。
・ホームページの多言語化対応や、RESASなど情報分析を行う専門官の設置、東京分室の開設を共同で行う。
など、可能性は様々あり、行政の広域の枠組みとは若干異なるこの東信州9市町村の塊が生まれたのは、議会同士の繋がりも大きな力を発揮したそうだ。
県内第二の都市を維持することの意味を勘違いしているかのようなどこぞの自治体にも、ぜひとも見習っていただきたい。
ともすれば市町村というのは、これまでは何も考えず上から降ってくるものを待ってさえいればよかったのかもしれない。
しかしながら、地方創生の時代、市町村独自の取り組みを国がサポートするというかたちに変わってきており、市役所職員にとって、やりがいのある楽しい時期に入っているとも言えるのではないだろうか。
この産学官連携・広域連携を通じて、起業をしたいという目的意識のあるUIJターンも徐々に入ってきているようだし、何よりも地域に「感度の高い経営者」が増えているそうだ。
このように、「自治体、人材、アイデアと、地方におけるビジネス創出の環境が『急激に』に整いつつある」中で、地域活性化のキーパーソンとなりうる「地方版ビジネスプロデューサー」をいかにして育てていくのか、地域全体で支えていくのかという視点が大切になってきている。
地域おこし協力隊についても、単独自治体だけで活動するのではなく、横の連携を意識した取り組みも応援をしていかなければならない。
今回、ARECの視察を通じて、キーワードはやはり「人」であり、隣り合う自治体が連携していくことの重要性を改めて再認識した。
優秀な成績で卒業する大学生ほど起業を考えるという時代に、都会ではなく地元でもチャレンジできる環境として、ARECのような土台が必要だし、人口減少社会に企業誘致・企業集積を進めるのであれば、エリアの設定と、その業種にダイレクトに人材を供給できる実業教育を地元で行うことが必須であるように思う。
地方創生の手引きには、「産学官金労言との連携」の重要性が説かれている。
国際教養大学という宝物を抱える秋田県に何ができるのだろうか。県内の大学とどのように関わることができるのだろうか。横手市は何をしなければならないのか。
やるべきことがたくさんあるというのは、ワクワクするではないか。私たちも、今回の学びを活かし、議会の立場でできることを一生懸命にやりたいと思っている。
次回、富山市のコンパクトシティです。
今日は大曲の花火。短いはずのみちのくの夏もこれで終わりに。
今年は特に長くて強烈な暑い夏は、甲子園での金農旋風に沸いた熱い夏でもあった。
まちから人が消え、試合終了と同時に水道のメーターが跳ね上がったとか、こんなに秋田が盛り上がったのは、生まれて初めてだったような気がする。
王朝の高く分厚い壁に跳ね返されてしまったものの、君たちのチャレンジは多くの人の魂を揺さぶり、記録と記憶に残る素晴らしい夏だった。ありがとう。
金農パープルは、私に力を与えてくれる!!!
さて、一時秋の気配に包まれたものの、あっという間に今夏の猛暑を取り戻したこの1週間。
20日(月)は、定期的に行っている横手市議会議員研修会。
講師は、早大マニフェスト研究所招聘研究員で、青森中央学院大学の佐藤淳先生。各地の改革議会のアドバイザーをされているなど、「目覚めた議会」であればぜひともご指導を仰ぐべき先生である。
「議会報告会から政策サイクルを」というテーマでお話をいただき、実際に「ワールドカフェ」の体験も行った。私ども議会改革推進会議における先般の行政視察。そして、広報公聴委員会で日頃から話題になっている課題を具現化させる、一歩前に進めるために急遽行われた今回の研修会。
ますますモチベーション高く、「真の改革議会」となるべく、歩みを加速させていければと思う。
21日(火)は、来週からはじまる9月議会に向けた議案説明会と行政課題説明会。
秋口に示すとされていた「横手市のグランドデザイン」のたたき台が初めて議会に示された。
「将来世代に負担を先送りしない」ための提案だと言うが、私には「将来世代から選択肢を奪っている」ようにも思えるし、全国平均の倍所有している公共施設を4割削減しなければならないとしているFM計画(財産経営推進計画)と、半減する人口ビジョンはどこへ行ってしまったのだろう…そして、立地適正化計画のつまみ食い。
各論に賛成反対はあると思うが、それを乗り越えてチーム議会として行動することが、アップデートされた私たちの使命なのだ。
午前中は、議会だよりの編集会議が開かれ、決算議会でもある9月議会の議論をどのように分かりやすくお伝えするか、行政視察の目的と成果が伝わる紙面づくりにするための話し合いを行った。次回の表紙も、中学生の頑張りを大々的にお伝えします。お楽しみに。
市民と共にある私たち広報公聴が問題意識を持ってしっかり仕事をすること、躊躇なくどんどん変わっていくことこそ、「真の改革議会」に続く道であると信じている。
22日(水)。地元大雄地域局が、各集落会館に出向いて行う「集落座談会」に参加。
今年で11年目という大雄地域独自の取り組みで、今回は集落ごとに事前にとりまとめた課題や要望について地域局として答えを用意しての会合であった。
常に市民の一番身近な場所にいて、自ら出向き少しでも課題解決に繋げようとひたむきに取り組んでいる皆さんには、本当に頭が下がる思いだ。
地元の集落会館には例年になく多くの方々がお集りになり、普段なかなか膝を交えて話す機会がないであろう様々な課題について話し合うことができたことも、この集落座談会の意義と言えよう。
毎年同じ要望が上がっているのにも関わらず、なかなか改善されない状況をみていると、現状の市役所組織の在り方を考えずにはいられない。前日の行政課題説明会で出された来年度の組織機構改革案は、所詮机上の理想論であって、現場が抱える根深い課題に向き合おうとしているのだろうか。
出てくる要望というのは、どれも日常生活に即した身近な話題ばかりである。大気圏の上を飛ぶ夢物語など一切出てこない。
23日(木)。隣接する岩手県西和賀町と北上市を交えた、3市町議会研修交流会が西和賀町で行われた。
これまで互いに交流はあったものの、3議会同時にというのは初めての試みだったようで、共通する地域課題を捉えた研修と、議員同士とても有意義な意見交換をすることができた。
議会改革のお手本である北上市議会。広報委員長さんからは私たちが模索中の様々な取り組みについて貴重なご助言ご指導をいただいたし、元々歴史的経済的にも繋がりのある県境を越えた枠組みが、鉄道や道路などインフラ整備の要望活動に留まらない関係性を深めていくことが重要である。
我々全国若手市議会議員の会でも強調している「自治体間連携」の取り組み。
議会間の絆をさらに強固なものにしていくことによって、互いが互いの「関係人口」となっていければ最高だ。
24日(金)。
県内若手議員有志で、能代市と北秋田市で行われているフリースクールを視察させていただいた。
能代市の「フレスク」は、仲間の市議会議員が主宰しており、100パーセント民間企業の運営。一方で、北秋田市にある「あきたリフレッシュ学園」は、県教委と市教委が合同で実施している、大自然の中で在学中の学校と自由に行き来ができる宿泊体験型の施設。
いずれの施設も目指すところは同じで、「子どもの居場所づくり」である。
横手市にも「かがやき教室」という施設が2か所あり、「長期にわたって学校を欠席している児童生徒への支援と、その保護者の援助」を行っているが、デリケートなテーマでもあることから、議会でもあまり踏み込んだやりとりはなされてこなかったように思う。
今回、立ち位置の違う二つの施設を見学させていいただいて、改めて「不登校」という課題に向き合うきっかけとなったし、わがまちの現状をしっかりと見つめながら、議会としてできることをやっていかなければならないと気付かされた。
往々にして行政というのは、「何割復帰した」という表現をしたがる。かといって、戻すことがゴールであるはずもなく、「居場所づくり」というのは、放課後児童クラブしかり、様々な視点から官民が連携して考えていくべき重要なテーマなのだ。
北秋田では、「秋田で学ぼう!教育留学推進事業」の一環で行われている「短期チャレンジ留学」の開講式に立ち会わせていただき、6日間共同生活を送りながら豊かな大自然を体験し、合川小学校・中学校で地元の児童生徒と一緒に秋田の「探求型授業」に参加するという。
この、教育留学がきっかけで移住に結びついたケースもあるようで、東京から毎年楽しみに参加している子の姿もあった。
同じ施設で、学校や日常生活に悩み疲れた子どもたちをケアしつつ、教育をキーワードに「学力No.1」という秋田の強みを活かして地方創生にも取り組んでいるというのは、もっともっと発信すべきなんだろうと思う。
ついつい仲間内で、「俺たちだけの研修ではもったいないよね」という本音がこぼれていた。
この施設は、ふるさと創生1億円事業によって旧合川町が整備したものだそうで、当時の設置目的は存じ上げないが、こういう形で子どもたちの未来をつくる場所に生まれ変わっているというのは素晴らしいではないか。
「学びを広げる」とはまさにこういうことで、身近なところにある素晴らしい取り組みに触れることができるというのも、私たち若手議員の強固なネットワークがあればこそである。
今回お世話になった、能代市議会の佐藤智一さんと北秋田市議会の佐藤光子さんには、私たち全若でも全国役員の中枢メンバーとして大活躍してもらう貴重な人材である。
とてもいい研修でした。今後ともよろしくお願いします!
最後に、新しくなった能代市役所と、道の駅ふたつい。
かつて東洋一と言われた、木都・能代を彷彿とさせる施設です。