荻野洋一 映画等覚書ブログ

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スペイン版カイエ・デュ・シネマの創刊について

2008-08-22 01:56:00 | 
 Cahiers du cinéma Españaは、フランス本国の記事と現地オリジナル記事を50/50ぐらいに織り交ぜている点で、かつてのカイエ・デュ・シネマ・ジャポンと同じ編集方針を採用しているように思える。

 ただし異なる点は、ジャポン誌が、日本語という言語特性や日本の出版事情を鑑みた結果、誌名ロゴ以外はまったく独自のデザイン・コンセプトを採用したのと反対に、フランス語とスペイン語のフォント上の親和性ゆえか、ほとんどフランス本国と同じ誌面デザインを採用している点である。

 最新号(創刊14号)では、「シネ・インビシブレ(不可視の映画)」という名の特集が組まれているのだが、要するにスペイン国内で見ることが困難な映画を列挙してくやしがるという企画なのである。特集の最後に「見るのが困難な50本のフィルム」というカタログ記事がある。
 デプレシャン『L'Aimée』、タル・ベーラ『ヴェルクマイスター・ハーモニー』、侯孝賢『珈琲時光』、アサイヤス『Clean』、トッド・ヘインズ『アイム・ノット・ゼア』、ソクーロフ『太陽』、賈樟柯『世界』、コッポラ『胡蝶の夢』など、意外な有名作品や、日本ではとっくに見ることのできた作品が取り上げられている中にあって、黒沢清『回路』、諏訪敦彦『不完全なふたり』がリストアップされていた。