どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

悪魔にもできなかったこと・・ドイツ

2023年05月06日 | 昔話(ヨーロッパ)

     雪の白いのは/シャハト・ベルント編 大古幸子・訳/三修社/2006年

 

 むかし三人の兄弟が、悪魔と協定を結びました。悪魔は兄弟に、欲しいだけのお金をいつでも手にはいるようにしてあげました。その代わりに、十年後には、悪魔のものになることになっていましたが、それぞれの兄弟がだした問題をもし悪魔が解決できなかったら、自由になれるという条件がついていました。

 そのときのために、一番上の兄は、馬を買い人を雇って小高い所に絶えず石を運び上げました。二番目の兄は、人を雇い、大きくて太い樫の木をものすごく細かく打ち砕き森の中にまき散らさせました。しかし、一番若い弟は、十年後のことは気にもかけないで、たえず居酒屋に入り浸り、飲んだり食べたりして楽しく日々を過ごしていました。

 十年後、一番上の兄は、悪魔に、山の石を30分以内に砕いて砂粒にするよういいます。二番目の兄は、森の中にあるかけらをつかって、もういちど一本の樫の木に組み立てるよういいます。悪魔はふたりの問題をいとも簡単に解決し、ふたりは 悪魔のものになりました。

 一番若い弟は、居酒屋でなかなか酒を飲み終わらず問題をだしません。時間が十分にあるという弟に、いらいらした悪魔が問題をだすように叫びます。弟は悪魔を外に連れ出し、片脚をちょいとあげて、ブーッと一発放ち、「さあ、今のやつを取り戻してきてくれ」といいました。

 悪魔は問題を解決できず、若い弟は自由になりました。

 

 あれこれ考えずに、知恵比べを楽しむ昔話でしょう。


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