まじょかもしれない?/服部千春・作 かとうようこ・絵/岩崎書店/2019年
ナナちゃんは、おむかいのおうちの モモコさんが、いちばんすきでした。
前歯が2本無いモモコさんは、「まじょのモモコさんなのさ」と言いましたが、ナナちゃんは、うそだとおもっていました。
モモコさんは、「まじょは ずうとながいきで、まじょのおばあさんといえばといえば、歯抜けって きまってるもんさ」といいます。
ナナちゃんが、まじょには、おとものクロネコがいるんだよ」といっても、「わたしはねぇ、もう三百歳なんだ。おとものねこは、みーんな、わしよりさきにしんでしまう。このまえのネコがしんだときは、そりゃあ もう かなしくて、かなしくて・・。だから、いまは、つぎのおともをどうしようかと なやんでいるところなんさ。」
あるひ、乳歯が抜けてしまったナナちゃんが、「わたしも まじょになれる?」と聞くと、モモコさんはいいました。「ながーいながーいあいだ、たくさんのしゅぎょうを して、やっとまじょに なれた。ナナちゃんの歯は、そのうちおとなの葉がはえてくる。まじょの歯は、そういうもんさ」。
まじょにはなれそうにない ナナちゃん。
ところが、クロネコのかわりに、くろいイヌが モモコさんの あたらしい おともになりました。それには、こんなわけがありました。
ある日、おくの家のサイトーさんが引っ越して、家がこわされた空き地には、くろいイヌが残っていました。きんじょの人が こえをかけても、いぬはおこって 歯をむきました。ところがモモコさんが、声をかけると、イヌはじっと モモコさんのかおを、みました。
モモコさんは、イヌに 「サイトーさん」となづけ 家においてやることにしました。
ナナちゃんは、モモコさんが やっぱり ほんとうの まじょみたいと、おもいました。なぜって、「犬のサイトーさんは、ほかのだれにもなつかなかったのに、モモコさんにだけは ちがったもの」。
ナナちゃんは、素敵に年齢を重ねるおばあさんに とても ひかれていたのでしょう。ほんとうにまじょとおもっていたのかな?