とらとおじいさん/アルビン・トレセルト・文 アルバート・アキノ・絵 光吉夏弥・訳/大日本図書/2011年
ジャングル一といばっていたとらが、オリに閉じ込められてしまいました。
そこへやってきたおじいさんにお願いして、オリからだしてもらった とらでしたが、でたとたんにおじいさんに おそいかかります。食べることはしないと約束していたにもかかわらずに!。
おじいさんは、とらに 「おまえさんは わしを たべるというが むちゃでないか だれかに きいてみたい」と 木や牛、道にきいてまわります。
木は、「えだをはり、はをしげらせて、にんげんたちを、こかげで やすませてやったり、あまやどりを させて やったりしているが、にんげんは、わしのだいじな えだをきって たきつけに もってってたりするんだ。まあ、しかたがないから とらに たべられてやるんだな」
牛は、「にんげんのために、はたらきどおしなのに、ありがたがるどころか、むちで ぴしぴし やってこきつかう。しかたがないから とらに たべられてやるんだな」
道は、「にんげんや くるまが とおりやすいように、たいらな いいみちを つくってやっているが、にんげんは あちこち ほりかえしたり、つばをはいたり、ごみを すてたり するんだ。おんしらずは、にんげんもとらも おんなじさ。まあ、とらに たべられてやるんだな」
おじいさんは、とらの ばんめしに なるよりしかたがないと 思ったとき、きつねにあいます。きつねは よく 話を聞こうと とらのところへ いき そして、さいしょから 再現してくれるよういい、とらが オリにはいると 戸を閉めてしまいます。
インドのパンジャブ地方の昔話を脚色したとありましたが、類似の昔話が世界のあちこちにあります。「ちいさい げき」とあるように、とら、おじいさん、木、牛、道、きつねの会話で進行していきます。
昔話を、劇の台本風に構成していて、親しみやすくなっています。