どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

好奇心のつよいむすめ・・ボリビア

2023年10月31日 | 昔話(南アメリカ)

     大人と子どものための世界のむかし話6 インカにつたわる話/加藤隆浩・編訳/偕成社/1989年初版

 

 ある夜好奇心のつよいむすめが、まどごしに通りをながめていると、マントをまとい、ソンブレロ(つばのひろいぼうし)をかぶった男がちかづいてきて、大きなつつみをさしだしながら、むすめにいいました。「こんばんわ、おじょうさん、めいわくでなかったら、このろうそくの箱を、あすまであずかっていただきたいのですが・・・。いまとおなじくらいの時間に、かならずうけとりにきますから。」

 男があずけていった箱からは、なにかへんなにおいがただよっていました。そのため、むすめは好奇心をおさえることができず、そのつつみをあけてしまいました。お驚いたことに、箱になかに入っていたのは、ろうそくではなく、死人の腕と、ふとももの骨でした。

 むすめが、神父さんに相談すると、神父さんは言いました。「その男は、この世の者でなく、亡霊なんじゃ。そいつから逃れる方法はたったひとつ。そいつがくるときに、ないている赤ん坊をおおぜい集めて、その中にいることじゃ。亡霊にとって、泣いている赤ん坊は、なによりもこわいものじゃからな。」

 その夜、好奇心のつよいむすめは、近所の赤ん坊をみんなあつめ、窓際で、気味の悪い男のやってくるのをまちました。男がやってくると、むすめは、まわりにおいてある赤ん坊たちを、つぎつぎにつねりました。ところが、赤ん坊たちは、ぐっすりとねむりこんでいて、だれひとり、おきようとしません。

 男はこの世のものとはおもえない声で、「おまえの好奇心が、いのちとりになったんだぞ!」と、さけぶと、つぎのしゅんかん、むすめを火の車におしこみ、全速力で、地獄へとひっぱっていきました。

 

 死神ではなく亡霊なので、この世になにか未練があったのかも。好奇心のつよい誰かに、酷い仕打ちにあったか?