さじかげんだと思うわけッ!

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『甲州食べもの紀行』

2008-12-21 20:57:21 | 

すでに一ヶ月ほど前の話になりますが、山梨県立博物館で行われていた秋期企画展『甲州食べもの紀行』の話をしましょう。

山梨は内陸県です。つまり、海がありません。
ともすれば貧しく見られがちな食文化ですが、そんなことは決してなかったというのが、今回の企画展のテーマです。
確かに山国ゆえ、米などの農作物は育てづらいと面はありますが、逆に言えばそれでも人々は生きてきた。
貧しいなら貧しいなりの創意工夫を施し、結果意外なほど豊かな食文化を築くことが出来たのです。

天領であったとはいえ、城下町であった甲府では実にいろいろなものが食べられていたようです。
特に鮮魚を出す料亭が多くあったといいますし、現在でも実は一世帯あたりのまぐろ消費量が、静岡市に次いで甲府が二位だといいます。
内陸県のくせに、かなりのマグロ好きなんですねー。
この企画展の目玉として、信玄(1521~1573)が食べていたとされる饗宴料理がありました。
『甲陽軍艦』を中心としたたくさんの文献を参考にして作られ、式三献から七ツの膳を経て、菓子で締めくくられます。
これを一人で食べるのかどうかはわかりませんが、かなりの量です。

それ以外にも、果樹・粉食・米・肉・魚などの幅広い食材に関する考察、食材の生産を支える農林漁業まで実に幅広い展示が行われていました。
非常に興味深い内容でしたが、いささかテーマが広くて、いささか小難しくなりすぎたかもしれません。
でも、貴重な資料を多く見ることも出来ましたし、ユーモアに富んだ展示は、多くの人に受け入れられたのではないかと思います。