入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(35)

2023年04月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 

 本年度仕事始め、文句なしの好天。山路はド日陰にも全く雪はなく、これが4月20日の朝かと驚く。季節の進み方が半月以上も早い証拠に、第1堰堤の枝垂れ桜がすでに満開を迎えつつあったし、それどころか、第2堰堤を過ぎて少し上った左手の崩落地では、もう1.5㍍ほどのニョロニョロまでも目にした。
 
 さらにもう一つの大きな変化、驚きがあった。鹿の姿が完全に消えてしまったのである。上ってくる途中ばかりか、決まって幾つかの群れが出ている第2牧区の一番早く朝日を浴びる斜面にも、1頭の姿さえなかった。
 厳冬期でも目にする鹿がなぜ忽然としていなくなったのか、原因は分からないが、これも17年間の4月20日では初めてのことと言える。(4月20日記)

 昨日は初日だというのに大きなヘマをしてしまった。高遠まで来たところで小屋と自室の鍵を忘れたことに気付いたのだ。小屋に入る手段はあったが、さらに部屋への入室には相当厄介なことをしなければならず、その手間を考えて仕方なく引き返した。
 実は今年は、初日からガス設備の立ち上げと検査、修理のために下から2名の作業者がきてくれることになっていた。高遠から自宅までの往復で、失う時間がそれに影響してはいけないとかなり焦った。
 
 初日は毎年のことながらウナギ弁当を自作し、ささやかながらそれで仕事始めを祝うことにしている。いつもは一人だが、今年は前述の彼らと一緒に賑やかに食べた。その後も撮影の打ち合わせ、牧場の点検と忙しく一日は過ぎた。

 きょうも春らしい穏やかな気候で、鳥の声がしきりとする2日目、やはり鹿の姿はない。毎年のことながらすでに下からは鹿の捕獲を催促されているが、今の状態では要望に応えられるかどうか、とにかく相手がいないのだから話にならない。牧場内やキャンプ場を見回っても、目に付くはずの奴らの落とし物が圧倒的に少ない。
 もしも鹿の頭数が本当に減ったとしたなら、牧守にとっては大変喜ばしいことではあるにしても、里にいて狩猟を趣味、職業にしている人たちにすれば、ここまで極端な減少はさぞかし由々しきことだろう。それにしてもやはり原因が気になる。

 急遽、露天風呂の蓋を新しくすることになり、下からその問い合わせが二度三度と来て、冬の間の養生に使った覆いを急ぎ外したり、内のり外のりの長さを計るのに30センチの定規しかなく、これまた大慌てといったところで、何ともまだまだ慌ただしい。

 本年度の営業案内については下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。
 
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     ’23年「春」(34)

2023年04月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 明日、上へ行く途中には、こんな風景を見ることができるかも知れない。いつもよりか季節の進み方が10日以上も早く、前回(13日)でも山道には殆ど雪が残っていなかった。毎年、古刹「弘妙寺」が花に埋もれる様子を眺めながら谷を登っていったものだが、今年はもう散ってしまっているだろう。



 昨日は、入笠牧場が撮影の舞台となった映画を松本まで見に行ってきた。この作品には当牧場の牛も1頭出演し、そのために準備に手間をかけたにもかかわらず「あっ」という間に終わってしまい、その呆気なさに思わず笑ってしまった。たくさんの美しい映像を見ていたら、撮影よりかそのために重ねた先方担当者との数々のやりとりを思い出し、懐かしかった。

 陋屋の庭にあるタラの芽が食べごろになっていたので天婦羅を揚げてみた。長いこと棚の奥にしまっておいた桜エビを思い出し、ついでにかき揚げもそれに加えることにした。こだわりの天つゆは一昨日にとろろ汁に使った4-1-1の出汁が残っていたのでそれを利用し、ついでにオコギのおしたしも添えてみた。
 オコギというのは最近あまり見かけないが昔はよく生け垣に使われ、この時季にその新芽を摘んで、総菜の足しにしたものだ。トゲがあって子供心にも摘むのが面倒だったのをこの年齢になっても忘れていない。
 何十年ぶりかのオコギの味を特に楽しみにしたのだが、天婦羅との相性が悪かったのか、期待したほどのことはなかった。しかし天婦羅は絶品と言って良く、神田の某有名店にも負けないほどの出来で実に美味かった。普段はごま油も使うが、今回はそれを忘れてしまい、だが、それが却って良かったのではなかったか。

 今ではタラの芽採りと、それを天婦羅に揚げるのは恒例の行事になっていて、連休が終わるころには上でも採ることができる。多分、今年はいつもよりか芽の出るのが早いだろう。

 赤羽さん通信多謝。いまだ「大日本湯渡り党」の総裁を僭称する身、参考に致します。それより初孫、楽しみですね。
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     ’23年「春」(33)

2023年04月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 カラスが1羽どこからか飛んで来て、味噌蔵の屋根に下り立ったかと思ったらまた羽音を残してどこかへと飛び去っていった。真っ黒い色の、ニワトリ並みの大きさをした姿、まさしく怪鳥と呼びたくなるような不気味な闖入者を朝から見た。
 
 温泉行から早くも1週間が経つ。今度は東北の某温泉へ行こうという話をしに、昨日はわざわざ高遠の「桜ホテル」の風呂まで行ってきた。湯につからないといい考えが浮かばないというのが、今ではわれわれ「大日本湯渡り党」の党員の共通した認識になってしまっているのかも知れない。
 ただ、牛が上がってくれば休めなくなるから、この計画が実現するかどうかはかなり怪しい。それに山小屋やキャンプ場の営業もあれば、撮影の仕事もすでに入っている。上に行けば当然、今のようなわけにはいかない。

 話は急に変わるが、過去と未来なら分かる。しかし肝心な「現在・今」とは、あることは間違いないが、実際にはどう捉えたらよいのだろう。一瞬?。
 かなり曖昧な記憶だが、確か0.1秒くらいと何かで読んだ。感覚的にはということだろうが、ということは、過去と未来に挟まれた殆ど存在しないような時間が「今」だ、と言ってもいいだろう。
 もっとも、その一瞬が存在しなければ、過去も未来も繋がらないだろうし、時間も流れてはいかないに違いない。この理・仕組み、よくできていると思わないでもない。
 心のラジオ体操「座る」をやっていると、止まってしまったような時間の中で、つい、そんな詮無いことを考えてしまう。しかし、これ以上思考は進まない。
 
 このごろテレビを見ていると、若い評論家と言われる人たちが、あれこれと論を張るのを聞いたり見たりして、よくもそこまで頭が回るものだと感心する。自分も若かったころにこんなに理屈が言えただろうかと、あの騒々しかった時代を振り返りお寒い気持ちになる。
 この呟きも、努めてそんな藪の中に迷い込まないようにと自制しているが、禄でもないことばかりを呟き過ぎたかも知れないと、ある種の疼きを感じるようにもなってきた。

 かんとさん年間予約、いろいろとお気遣いありがとうございます。番長さまも痛み入ります。
 本年度の営業案内については下線部をクリックしてご覧ください。
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     ’23年「春」(32) 

2023年04月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 長野県、群馬県の2県を巡る1泊2日の旅で、3カ所の温泉を訪ねたのが先週のこと、さらにその翌日には入笠に上がり、打ち合わせなど2件の用事を済ませた。
 温泉行はずっと楽しみにしていたことで、冬の衣を脱ぎ変えるにいい機会となった。また、4月はすでに3回上に行っているが、芽吹きも始まり明るい陽光の中で、あの寂れた小屋の雰囲気が一転して若返ったように見えて、一冬を超えたご苦労を労い、喜んだ。
 寒さの酷しい信州の山国においては、明度を増した太陽の光と、新鮮な青い空は、花や小鳥たち以上に人が、ずっと待ち望んでいた季節だろう。





 いつもの年なら、白い花のイカリソウが咲き出すころには牧場の仕事が始まっている。ミヤコワスレの花もそのころにはまだ固い蕾のままだが、この分だとクリンソウばかりかミヤコワスレも追いかけるようにして花を咲かせ、見送る人のいない主の出立に"馬の鼻向け"をしてくれるかも知れない。
 桃色のイカリソウの花はすでに繁茂した葉の影に隠れつつあるが、白い花は初めて目にしたのが北信の雨飾山の山麓であったため、同じイカリソウでも白い花を咲かせるのは北に育つ種で、それゆえ咲き出すのも遅れて、もっと先だろうと思っていた。
 
 この白い花を咲かすイカリソウも、山野草に興味を持ち始めた10数年も前に、人から頂戴した。その後、多くの山野草は手をかけてやれないまま雑草に負けて絶えてしまった中で、この野草は生き残った。一見、か弱そうに見えて、しかしそうではない。いかにも北の国に育つ野草に相応しいと勝手に決め、思っている。
 
 かくて命の洗濯も済んだ。今週の半ばから山に生活の中心を移す。
               
                   *****     
 
 PCに明るくないため不出来な今年度の営業案内も昨日、OTKさんの絶大なる支援を得て大分修正することができました。写真の選択、配置、大きさや説明文など、まだいろいろ思うことはあるものの、とりあえず本年度の営業案内については下線部をクリックしてご覧ください。
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     「入笠牧場」宿泊施設の案内 

2023年04月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 
   Photo by Ume氏



 入笠山の伊那側にある景観の美しい広大な牧場の、そこに隣接した静かな宿泊施設で、管理と営業は牧場と同じく、JA上伊那(上伊那農業協同組合)が行っています。入笠牧場や宿泊施設の様子は、このブログで希望する季節を訪ねてみてください。その際には、バックナンバーやカテゴリーが便利な"通路"となります。例えば、「法華道と北原師」、「入笠牧場からの星空」など。

  
山小屋「農協ハウス」:
食事の提供は致しませんが、一般の山小屋と異なり、ガスコンロ、冷蔵庫、寝具などを無料で、自由に利用できます。48畳の畳部屋は12畳ごとに仕切ることも可能です。本年度もcovid-19の感染防止のため1日2組までの受け入れといたします。
   
 料金:1名1泊4000円(完全予約制です)。



キャンプ場(A.B.C.D4か所):covid-19の感染防止のため完全予約制とし(1日10組)、できるだけ余裕のある屋外生活を楽しんでもらいたい思います。                 
料金:1名1泊1000円、プラス場所代として1張り1000円。
ただし、単独のテントの場合は1名1500円、場所代は不要です。






予約方法:
1)牧場管理棟 TEL:0266-62-4122(留守電、FAX付)留守電の場合は、こちらから確認の連絡ができるようにユックリとお名前、電話番号、ご都合の良い時間をお知らせください。ただしこの電話での受付は4月20日からになります。
2)JA上伊那東部支所組合員課 TEL:0265-94-2473。
3)当ブログのコメント欄へ、または管理人の携帯電話#をご存知の方は直接お掛けください。
2)、3)での受付はすでに行っています。

山小屋&キャンプ場への来方:
車の場合は東京方面からも、中京、関西方面からも、中央高速「諏訪南」で降りて富士見側から来るのが一番便利です。これにも、富士見パノラマロープウエイを利用する方法と、車で直接来る方法があります。    
富士見側は「沢入り」より通行規制が行われていますが、小屋やキャンプ場の利用者は対象外となり、施設利用を確認する用紙が渡されますので、管理棟で対応します。
なお、沢入りからは登山道を徒歩で来ることもできます。

伊那側からなら古道「法華道」を徒歩(約3時間)で来るのがお勧めで「赤坂口」と「諏訪神社口」があります。その他、名古屋方面からだと「伊那インター」から高遠経由で来る方法もあります。

入笠牧場の宿泊施設で期待できること:
森林放浪、川沢遊行、野鳥交歓、野花の鑑賞、焚火、天体観測、野生動物挑戦、運が良ければ牧場見学、小屋にある望遠鏡での天体観測、鹿肉のお裾分けも。
好評の露天風呂は、今年もご利用可能です。
                                  
入笠山登山口の無名の峠を越えてお出で下さい。お待ちしております。

                  
     
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